福岡県議会 > 2021-10-05 >
令和2年度 決算特別委員会 本文 開催日: 2021-10-05

  • "生活福祉資金貸付事業"(/)
ツイート シェア
  1. 福岡県議会 2021-10-05
    令和2年度 決算特別委員会 本文 開催日: 2021-10-05


    取得元: 福岡県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1    令和三年十月五日(火曜日)    午 前 十 一 時 零 分 開 議 ◯吉松源昭委員長 定足数に達しておりますので、ただいまから委員会を開きます。  審査日程に従い、本日の議事を行います。  最初に、福祉労働部所管分の審査を行います。  まず、第一四〇号議案「令和二年度福岡県一般会計決算」のうち歳出について説明を求めます。後藤福祉労働部長。 2 ◯後藤福祉労働部長 おはようございます。令和二年度一般会計歳出決算のうち福祉労働部所管分について御説明申し上げます。  お手元の歳入歳出決算概要説明書の八十一ページをお開き願います。八十一ページでございます。  歳出、五款生活労働費でございます。生活労働費の決算額は、計欄にありますとおり、二千二百三十三億四百万円余となっております。  その内訳でございますが、二項福祉企画費につきましては、支出済額の計欄にありますとおり、三十三億九千二百万円余でございます。下の八十二ページに移りまして、主なものは、令和二年七月豪雨災害の被災地、被災者支援のための経費等でございます。不用額の主な理由は、二目の災害救助費等の執行残によるものでございます。  三項児童家庭費の決算額は六百二十億一千四百万円余でございます。  八十三ページをお開き願います。主なものは、保育所や認定こども園、小規模保育等に係る保育給付費の県負担金、児童手当の支給に係る県負担金などでございます。不用額の主なものは、一目の保育対策等促進事業費等の執行残によるものでございます。  下の八十四ページをお願いいたします。  四項障がい者福祉費の決算額は五百三十五億一千六百万円余でございます。主なものは、障がいのある方の援護のための経費等でございます。不用額の主なものは、一目の障がい者福祉対策費等の執行残によるものでございます。  恐れ入ります。八十五ページをお願いいたします。  五項生活保護費の決算額は八百九十六億九千二百万円余でございます。主なものは、生活福祉資金貸付事業の原資に対する助成等でございます。不用額の主な理由は、二目の生活保護費等の執行残によるものでございます。  下の八十六ページをお願いいたします。  六項社会福祉費の決算額は八十九億一千五百万円余でございます。主なものは、子供等に対します医療費の助成経費等でございます。不用額の主な理由は、四目の地方改善事業費等の執行残によるものでございます。  八十七ページをお願いいたします。  七項労働企画費の決算額は十七億四千万円余でございます。主なものは、若者、中高年齢者、子育て女性などの雇用の安定促進経費等でございます。不用額の主な理由は、一目の中小企業労働力確保対策費等の執行残によるものでございます。
     下の八十八ページをお願いいたします。  八項職業訓練費の決算額は三十一億三千八百万円余でございます。主なものは、公共職業訓練の実施経費等でございます。不用額の主な理由は、二目の職業訓練費等の執行残によるものでございます。  八十九ページをお願いいたします。  九項失業対策費の決算額は八億九千二百万円余でございます。主なものは、緊急短期雇用の創出に要する経費等でございます。不用額の主な理由は、一目の市町村緊急短期雇用対策助成費等の執行残によるものでございます。  以上が福祉労働部所管一般会計歳出決算の概要でございます。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 3 ◯吉松源昭委員長 説明は終わりました。  これより歳入及び歳出の質疑を行います。質疑はありませんか。川端耕一委員。 4 ◯川端耕一委員 皆さん、おはようございます。いきなりトップバッターになりましたので心の準備がまだあれですけども、端的に、そして、明快な答弁をいただきたいと思います。  県における人権相談窓口について質問させていただきます。  本県における人権に関わる相談は、人権・同和対策局調整課で対応していると聞いていますが、実際にどのような対応を現在しているのか、お聞きいたします。 5 ◯吉松源昭委員長 植田調整課長。 6 ◯植田調整課長 本県における人権相談は、まずは丁寧に相談内容をお聞きします。その上で、相談者が人権侵害に伴う被害の救済を求めている場合には、法務省の人権擁護機関である法務局による人権救済制度について丁寧に説明し、救済手続につないでいます。 7 ◯川端耕一委員 ただいま法務局につなぐという説明でありましたが、実際、その法務局ではどのような対応が行われるのか、教えてください。 8 ◯植田調整課長 法務局では、人権を侵害されたという被害者からの申告を受けて救済手続を開始し、調査結果を踏まえ、事案に応じて法律的なアドバイス等をする援助、当事者間の話合いの仲介等をする調整、人権侵害を行った者に対して反省を促し改善を求めるための説明を行う説示、人権侵犯をやめさせることを文書で求める勧告、実効的な対応をすることができる者に対してする要請など、適切な措置を講じています。 9 ◯川端耕一委員 今、人権に関する対応と説明があったわけでありますが、女性議員に対するハラスメントの問題について、県民生活商工委員会、私が所属する委員会でございますが、委員会のほうで、今日この場にも渡辺委員がおられますけども、渡辺委員長として、そしてまた女性の委員の皆様方を含め熱心な議論が執り行われたわけであります。その中において、男女共同参画と、そして、人権・同和対策局としっかりと連携を取って頑張っていくという答弁が委員会では行われました。  そんな中、政治分野における男女共同参画の推進に関する法律が改正され、今後、政治分野における人権相談が男女関係なく増えてくると思います。こうした相談に対しては、人権・同和対策局調整課でしっかりと相談を受けるべきであると思いますが、どうでしょうか。 10 ◯植田調整課長 委員御指摘の政治分野における人権相談については、人権・同和対策局調整課で新たに対応することといたします。 11 ◯川端耕一委員 今、明確に新たにしっかり対応していくということでございます。しっかりと相談を受ける体制で、そして、しっかりと相談を聞いていただき、しっかりとフォローしていただきたい。  最後に、人権・同和対策局長の決意を求めます。 12 ◯吉松源昭委員長 田渕人権・同和対策局長。 13 ◯田渕人権・同和対策局長 決意でございます。県民一人一人の人権が尊重され、差別のない心豊かな社会を実現するため、より一層の人権教育啓発の推進に努めるとともに、人権侵害を受けた方からの相談体制の充実に取り組んでまいります。  委員から御指摘いただきました政治分野における人権相談についても、しっかりと対応してまいります。 14 ◯川端耕一委員 気合の入った答弁をいただきましたので、しっかりと対応していただきたいと思います。以上です。終わります。(拍手) 15 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。原竹岩海委員。 16 ◯原竹岩海委員 おはようございます。民主県政クラブ県議団の原竹岩海であります。  委員長、質問の前にお取り計らいをお願い申し上げたいと存じます。その内容でございますけども、全国の都道府県における手話言語条例制定に関する資料を執行部に要求をしたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。 17 ◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。  ただいま原竹委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 18 ◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま原竹委員から要求がありました資料については提出できますか。宮崎障がい福祉課長。 19 ◯宮崎障がい福祉課長 直ちに提出いたします。 20 ◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 21 ◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 22 ◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、原竹委員、質疑を行ってください。 23 ◯原竹岩海委員 資料を配っていただきました。いっぱい丸がついておりますが、この説明をお願いします。 24 ◯宮崎障がい福祉課長 資料は、全国における手話言語条例の制定状況です。都道府県における条例の制定状況と制定時期を記載しています。現在、三十一の道府県で制定されています。 25 ◯原竹岩海委員 平成十八年十二月十三日に国連総会におきまして、障害者の権利に関する条約が採択されました。日本は、それから八年後の平成二十六年一月二十日にようやくこの条約を批准しました。  国連の障害者の権利条約は、障がいのある人の人権を守るという国の約束とされ、また、障害者の権利条約は、我々に関することを決めるときには必ず我々の意見を聴いて決めることという理念の下に、日本人を含む世界の多くの障がいのある人が参加されてつくられたと報道されたところであります。この条約の採択によりまして、手話は言語であると明確に位置づけられ、これに伴い世界では多くの国が手話言語法を制定されておるところであります。  一方、日本国内でも都道府県や市町村において手話言語条例制定の動きは活発であり、一般財団法人地方自治研究機構の資料では、令和三年九月六日現在、三十一道府県、十六特別区、二百九十九の市、六十七の町、二村で条例制定がなされております。特に全国都道府県におきましては過半数の三十一道府県が制定済みでありまして、九州・沖縄地区では福岡県と二県だけが、残念ながらまだ制定されていないところであります。  本県の手話言語の意義や普及促進に係る本県の取組等につきましては、県行政におかれましては十分に御認識をいただいておりまして、これらの普及促進に関しましても様々な分野において積極的に取り組んでいただいておりますことに一定の評価をしたいと存じます。よって、ここでは、この件に関しましては、今日は特に時間がございませんので省略をさせていただきたいと存じます。  さて、そこで、我が福岡県では、手話言語条例制定に関しましては、今まで議会や委員会におきまして多くの議員から意見、要望がなされておりますが、この件に関しましては、県は条例制定に慎重な上にも慎重に対応されているように思えるのであります。言い方を変えますと、非常に消極的であると思えてならないのであります。  私は、県は日頃は様々な問題に積極的に取り組んでおられると認識をいたしております。しかし、今回、三十一の道府県が手話言語条例を既に制定されておるのに、福岡県はどうして現在まで条例制定をされていないのでしょうか。その理由について具体的にお伺いをしたいと存じます。また、県として条例制定へ向けた協議をされたことがあるのか。されたのなら、どのようなことが議論されたのか、お伺いします。 26 ◯宮崎障がい福祉課長 県では、手話が言語であることを規定した障害者権利条約障害者基本法を踏まえ、また、当事者団体から御意見を伺い、平成二十九年に障がい者差別解消条例を制定した際に、同条例第四条第五項において、全ての障がいのある人に対し言語その他の意思疎通のための手段の選択の機会拡大に努めなければならないこと、その言語には手話が含まれていることを規定させていただいたところです。この規定も踏まえ、手話通訳者や要約筆記者を養成する研修事業や、知事の記者会見に手話通訳者を配置することなどに取り組んできました。県では、このような経緯の中で改めて手話言語条例を制定する必要性があるのか検討を行ってきました。  こうした中、一昨年、手話の習得等に関する目的や理念をはじめ、国及び地方公共団体の責務などを盛り込んだ手話言語法案が国会に提出されました。このため、国の動きを注視する必要があると考えております。日本手話を我が国の言語として位置づけることや、その手話言語を普及させることについては、本来、国の政策として実施されるものと考えております。このため県では、手話を広げる知事の会を通じ、国において法整備を行うよう要望を行っているところです。 27 ◯原竹岩海委員 先ほどの答弁では、県の障がい者差別解消条例ということはこれなんですね。インターネットでざっと出してみました。これの三ページ目に書いてあります第四条の五項のところに県の責務について、県は、全ての障がいのある人に、言語(手話を含む)と書いてあります。それで、ここに書いてあるからきちっと改めて手話言語条例をする必要がないという認識だろうと思いますが、それでは、ほかの多くの三十一の道府県はどういった解釈でこういったことをなされたということも私は考えたわけでございます。  それで、参考までに申し上げますけども、しっかり聞いてください。話が前後するかもしれませんが、私がどうして今回、この手話言語条例制定に関する質問をするかといいますと、先般、聴覚障がい児の保護者の皆さんと意見交換する機会がございました。このときの様々な意見や要望の中に、福岡県は聴覚障がい児には、県下各地で特別支援学校の設置がなされ、県立聴覚久留米特別支援学校では佐賀県や大分県の聴覚障がい児の受入れなどされており、学校の先生方も親切、丁寧で、私たち保護者としては感謝をしておりますということです。しかし、どうしても多くの道府県が聴覚障がい児者に係る手話言語条例を制定されているのに、聴覚障がい児者に関する国連の障害者の権利条約を踏まえた県条例の制定が遅れているのかが理解できませんとの、保護者を中心とした県民の大変厳しい声があることも、今回、この席で指摘をさせていただきたいと存じます。これが県民の声であります。こういったことに対応するのが県の役目ではなかろうかなと考えておるところであります。  そこで質問でございますけども、平成二十八年に手話を広める知事の会が結成されましたが、本県はそれから遅れること一年半後の平成二十九年十月、都道府県の中で四十七番目にやっと参加されております。参加が四十七都道府県で最後の参加になった理由について御説明願います。 28 ◯宮崎障がい福祉課長 県においては、平成二十九年三月に制定した障がい者差別解消条例の中に、言語に手話を含めることや障がいのある方へのコミュニケーションの支援を盛り込んでおります。このため、手話言語条例の制定を推進していた手話を広める知事の会の活動に賛同することについては、慎重に検討してまいりました。 29 ◯原竹岩海委員 お得意の慎重が出てまいりました。いつまで慎重なのかというのが、本当に心配であります。本気を出してほしいという気持ちでこの席に立っておりますので、どうぞお酌み取りをいただきたいと思います。  手話言語条例を制定していない本県が、最後とはいえ手話を広める知事の会に正式に参加をされたわけです。漸進的とはいえ、制定に向けて調査研究をされておられるものと深く理解をしたいところであります。  さて、さきの議会において、我が会派の山本耕一議員の手話言語条例制定についての一般質問に対して、国会における手話言語法の審議を注視をしてまいるとの答弁がございました。それでは、県は国の審議の何を注視されておるのか、具体的に御説明ください。 30 ◯宮崎障がい福祉課長 県では、現在まだ成立していない手話言語法案についてどのような審議がなされるのか、法案が成立するのか、県や市町村に策定を求めるとされる手話計画とはどのようなものになるかなどを見極めていく必要があると考えております。 31 ◯原竹岩海委員 国が動かないと県は動かないという答弁なんですよ。ほかは先陣を切っております。こういったところで、地方自治も自分たちでできることは積極的に勉強して取り組んでいく、議会と一体となって。こういったのが、地方にはこれから必要なことであります。国が動かないとやらないといった答弁をこの席でされるとはどういったことなんでしょうかね。  それでは、次の質問に入りたいと存じます。  障害者基本法第三条の第三項に、全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られることと明記をされております。また、平成二十八年四月、障害者差別解消法が施行されましたことは周知のところであります。この中にも手話は言語と明記をされております。多くの都道府県ではこれらを重く受け止められ、手話言語条例を制定されたものと理解をいたしております。  私は今回、手話言語条例に関する件を訴えさせていただきました。そこで最後に福祉労働部長に、これまでの質疑を通して本県における手話言語条例制定に関しての御意見をお伺いしたいと存じます。 32 ◯吉松源昭委員長 後藤福祉労働部長。 33 ◯後藤福祉労働部長 お答えいたします。  他県が制定をしております言語条例を見ますと、手話が言語であることの認識、それから、手話言語の県民への理解促進と普及、それから、手話通訳者の養成などを行い、もって聴覚障がいのある方の自立と社会参加の実現を目指すというものになってございます。  先ほど課長も申し上げましたが、県が平成二十九年に策定いたしました県障がい者差別解消条例、これには、言語には手話が含まれることをはじめ、これらの規定を盛り込み、手話通訳者の養成、派遣などに取り組んでまいりました。  また、手話を我が国の言語の一つに位置づけることや、それを踏まえた手話言語の理解を促進させることは国全体の課題であり、国の政策として実施されるべきものと認識をしております。このため県といたしましては、国において法整備を行うよう要望をしてまいりました。引き続きこの要望を継続するとともに、今後の国の動向について注視してまいります。以上でございます。 34 ◯原竹岩海委員 せっかくの部長の答弁でございましたけども、やはり行政の継続性というのがあって、今までの答弁を繰り返したものと拝察をさせていただきます。  それで、委員長、今回、新しい知事が就任をされましたので御意見を伺いたいと存じます。委員長、知事保留質疑をお願い申し上げます。 35 ◯吉松源昭委員長 ただいま原竹委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は十月十二日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。 36 ◯原竹岩海委員 終わります。(拍手) 37 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。新開昌彦委員。 38 ◯新開昌彦委員 公明党の新開昌彦でございます。  通告に従いまして、療育手帳の交付について伺います。  まず、委員長、資料要求をしておりますので。その資料の名前は、県所管分の療育手帳の交付数の推移と、都道府県別の療育手帳の判定要件と発達障がいがある場合の取扱いについて、この二点でありますのでよろしくお願いします。 39 ◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。  ただいま新開委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 40 ◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま新開委員から要求がありました資料については提出できますか。宮崎障がい福祉課長。 41 ◯宮崎障がい福祉課長 直ちに提出いたします。 42 ◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 43 ◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 44 ◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、新開委員、質疑を行ってください。 45 ◯新開昌彦委員 療育手帳の交付について、我が会派は、平成十四年の一般質問、平成三十年の予算特別委員会、令和元年の代表質問ということで、本県の交付についてただしてまいりました。先ほど配付されました資料について簡潔に説明を求めます。 46 ◯宮崎障がい福祉課長 資料一ページは、県所管分の療育手帳の交付数の推移で、十八歳未満、十八歳以上の別に過去五年間の年度ごとの交付数を示しております。県外及び福岡市、北九州市からの転入者への交付数については内数で示しております。療育手帳交付数は、この五年間で約一・二倍に伸びているところです。  二ページは、都道府県別の療育手帳の判定要件と発達障がいがある場合の取扱いについてです。障害者基本法第二条において、発達障がいは精神障がいに含まれるとされています。したがって、発達障がいがある方には精神障害者保健福祉手帳が交付されていますが、知的障がいがあり、併せて発達障がいがある場合は、療育手帳が交付されている例があります。資料左から二列目、IQ上限については、各都道府県が知的障がいかどうかを判定する上限値です。資料左から三列目、発達障がいがある場合のIQ上限は、知的障がいがあり、併せて発達障がいがある方にIQ上限を別に設定している都道府県の状況です。北海道など十道県において別に上限を設定しています。 47 ◯新開昌彦委員 まず、発達障がいの交付の状況をお聞きしましたけども、予算特別委員会の部長の答弁では、発達障がいについて協議会を新たに設置をして、判定基準の考え方、問題点についてしっかりと議論をしていくという答弁、代表質問の知事の答弁では、判定基準についてはまだ統一的な意見の集約に至ってないということでございました。その後、協議会は設置をされたのか、また、どのような議論をしたのか、どのような方針を立てたのか、そして、その結果、どのような判定状況になったのか、お示しください。 48 ◯宮崎障がい福祉課長 県では、療育手帳の判定基準について検討を行うため、当事者団体や専門医、発達障がいがある方への相談業務を行う支援員から成る協議会を平成三十年八月に設置しました。この協議会では、発達障がいは知的障がいとは異なるため、発達障がいに対するIQ上限を設定する客観的な根拠がない、IQ上限だけでは発達障がいの有無にかかわらず一人一人の状況に応じた判定は困難であるなどの意見が出されましたが、協議を重ね、IQの上限はおおむね七十五とすること、IQ八〇までの方については、必ず日常生活能力や社会生活上の行動などを聞き取りした上で総合的な判定を行うこととする運用を昨年一月から実施しているところです。  この運用により、昨年度における療育手帳交付数のうち、IQ七五を超える方は五百五人、IQ八〇を超え非該当となった方は百六十三人となっています。 49 ◯新開昌彦委員 最後に、IQ八〇を超えて非該当となった百六十三人の方について、様々議論もあろうかと思いますが、まずは一歩前進と受け止めさせていただきたいと思います。  もう一点の課題であります。転居による取扱いについて伺いたいと思います。  これまでは、資料を見て分かるように、都道府県ごとに判定基準が違うために、転居の際、対象者の不利益にならないようにということで、平成五年、厚生労働省が通知をされております。本県もそれに従って取り組んでいると承知をしております。  今議会で、療育手帳の交付に関する事務がマイナンバー法に追加されたことに伴い、条例の一部改正が行われました。マイナンバー法による運用が実現するためには、全国的にばらばらな療育手帳の基準が統一化されることが前提となっているのではないかと私は期待をしておるのでありますが、そこで、今回の法改正によって療育手帳の対象者にはどのようなメリットがあるのか、また、各県ばらばらの療育手帳の基準、これも統一をされるのか、伺いたいと思います。 50 ◯宮崎障がい福祉課長 今年五月のマイナンバー法の改正による情報連携によって、療育手帳を所持している方は、来年六月以降、自分の療育手帳に記載されている情報をスマートフォンに取り込めるようになります。その後、この情報を表示した画面の提示により有料道路通行料金の割引などのサービスが開始される予定です。  なお、今回の法改正に伴い療育手帳の交付に係る判定基準が全国で統一されるとは聞いておりません。 51 ◯新開昌彦委員 何のためのデジタル化なのか全く分かりません。今までと全く同じだということだと思います。  部長にお聞きします。全国で統一された判定基準をつくるべきだと私は思いますが、部長はどう思われますか。 52 ◯吉松源昭委員長 後藤福祉労働部長。 53 ◯後藤福祉労働部長 今、委員から御指摘がありました療育手帳制度につきましては、身体障害者手帳、それから精神障害者保健福祉手帳、このように法令上の位置づけが明確ではなくて、また、手帳交付に係る統一的な判定基準がないという状況にございます。そういうことで、都道府県の取扱いが異なっているという状況にございます。このため、全国の統一の基準が必要であると我々としても認識をしております。  本県では、全国主要都道府県の担当部長連絡協議会というものがございまして、この協議会を通じまして国に対し、療育手帳の法令上の明確化、それから、判定基準の統一化について要望をしてまいりました。引き続き、国に対してしっかりこういったことにつきまして要望をしてまいりたいと考えております。
    54 ◯新開昌彦委員 今回のテーマである療育手帳の交付の判定基準、これは全国統一をされていないがために、先ほど申し上げた厚生労働省からの通知がありましたが、転居の際に柔軟に判断された手帳とするべしと厚生労働省が言っているわけであります。でも、実態は先ほど見ていただいたとおり各県ばらばらでありまして、さらにこのことについて言わせてもらえば、手帳の更新の際にはその居住地の判定基準で判定されることになる。だから、元に戻ることだってあるということになっているわけなんですね。要するに、手帳を持っている方が不利益を被ることがあるということであります。  本県でも、障がい者に対する合理的配慮、これは努力義務から義務化をされて、これから取組をどんどんやっていこうという段階に入っている中で制度に不備があるということに、私は大変な疑問を感じております。このことについて、またデジタル化が進んでまいりますが、全くデジタル化とは言葉だけの話でありまして、何もこれについてはデジタル化にはなっていないと。  このことについて知事の考えもお聞きしたいので、知事保留をお願いしたいと思います。委員長の取り計らいをよろしくお願いします。 55 ◯吉松源昭委員長 ただいま新開委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は、十月十二日火曜日に行う予定でありますので御了承願います。 56 ◯新開昌彦委員 以上です。(拍手) 57 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。高橋義彦委員。 58 ◯高橋義彦委員 政義会の高橋でございます。  本日は、障がいを持った児童が学校の授業終了後や休みの日に利用する放課後等デイサービスについて質問いたします。  このサービスは、児童福祉法に基づき二〇一二年度から始まり、二〇二〇年八月時点の事業所数は全国でも一万五千か所余りと急激な増加が続いています。  まず、本県の事業所数の状況について資料を事前に要求しておりますので、委員長、お取り計らいをお願いいたします。 59 ◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。  ただいま高橋義彦委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 60 ◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま高橋義彦委員から要求がありました資料については提出できますか。後潟障がい福祉サービス指導室長。 61 ◯後潟障がい福祉サービス指導室長 直ちに提出いたします。 62 ◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 63 ◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 64 ◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、高橋義彦委員、質疑を行ってください。 65 ◯高橋義彦委員 それでは、本県の事業所数の状況について御説明ください。 66 ◯後潟障がい福祉サービス指導室長 では、資料を御覧ください。  放課後等デイサービス事業所については、児童福祉法に基づき、県、政令市、中核市がそれぞれ指定を行っており、表の一番上の行の右端ですが、令和三年九月一日現在、県全体で九百二十二事業所、うち県所管は四百五十三事業所となっています。御指摘のように年々増加しています。  二枚目の表は、事業所の増加に伴う利用者の増加状況です。表の一番下の段の右端のとおり、令和三年四月は県内で一万七千五百二十六人が利用されています。 67 ◯高橋義彦委員 資料を見ると、サービスが始まった平成二十四年時点で県全体では五十五か所の事業所だったのが、本年九月では事業所数は九百二十二か所と、十年で約十七倍の数になっており、急激に増えています。  一方、放課後等デイサービス事業所は、保育士資格を持つスタッフを配置するなど形式的な基準を満たせば、原則、事業所の指定を受けられるとも聞いています。急激に放課後等デイサービス事業所が増える中、療育に精通していない事業者もいるのではないかと危惧しております。  そこでお聞きします。放課後等デイサービスの指定は、県ではどのようにして行われているんでしょうか。 68 ◯後潟障がい福祉サービス指導室長 事業所の指定は、厚生労働省の基準省令に指定基準が定められております。人員や設備の基準として、児童十人につき保育士等を二人以上配置すること、障がい児一人当たり二・四七平米以上を確保した指導訓練室を設けることなどがございます。指定に当たっては、こうした形式的な基準・審査のほか、申請者に対して所在市町村の意見書を提出することを求めております。これにより、市町村の障害児福祉計画に沿っているか、利用者の需要と現状に即したものであるかなどを確認しています。これらの申請内容については、県職員が直接現地での確認及び運営指導を行った上で指定をしております。 69 ◯高橋義彦委員 それでは次に、その指定を受けた後の県の指導体制について教えてください。指定を受けた事業所が適切な運営を続けていくためにも県による継続的な指導が非常に大切だと思いますが、指定後はどのような体制で指導しているのでしょうか。急激に増加している事業所に対して、人員など現行の体制で十分であると認識しているのでしょうか。教えてください。 70 ◯後潟障がい福祉サービス指導室長 放課後等デイサービスをはじめ、様々な障がい福祉施設の指導等を強化するため、平成三十年度に障がい福祉課内に障がい福祉サービス指導室を設置いたしました。指導室は、正規職員十二名、非常勤の会計年度任用職員五名の室長以下十七名体制で、新たな事業所の指定を担当する指定係五名と、事業所の運営状況等の指導を担当する指導係の十名の二係で業務を行っております。  指定後の事業所に職員が赴き、現地で運営状況等を確認する実地指導については、指導経験歴の長い職員を中心に指導係十名で行っており、現状においては業務遂行上、問題のない体制を確保しております。 71 ◯高橋義彦委員 組織化までしてしっかりとした体制で指導しているのは分かりましたけれども、新聞報道等によると、不正請求や虐待など不適切な事例が後を絶たないようです。また、放課後等デイサービスを含めた施設職員による虐待については、毎年百件程度の相談や通報が県や市町村に寄せられると聞いております。  そこでお聞きします。本県における不適切事例の状況はどうなっているのか、教えてください。 72 ◯後潟障がい福祉サービス指導室長 放課後等デイサービスの制度が始まった平成二十四年度以降、県所管の放課後等デイサービスの不適切事例は、虐待認定十一件、事業所の認識誤り等により給付費の返還を命じた事例三十一件となっております。なお、これまでに悪質な不正請求等が認められる事例はなく、行政処分を行った事例はございません。 73 ◯高橋義彦委員 悪質な不正請求等はないとのことですが、虐待や不適切な運営があることは分かりました。  放課後等デイサービスは増え続けており、事業所によってサービスの内容や質も様々であるとの声が私のところにも聞こえています。放課後等デイサービスが適切な運営を続けるために、県としてはどのような取組を行っていくのか、御説明ください。 74 ◯後潟障がい福祉サービス指導室長 県では、三年に一度のペースで職員が現地に赴き、実地指導を実施しています。なお、新規事業所については、開設後半年をめどに実地指導を行うこととしております。また、年に一度、障がい福祉サービスの種別ごとに全事業所の施設長らを集めて集団指導を実施しております。今年度はオンラインで開催をいたしました。  このほか、放課後等デイサービスの各事業所は、平成二十九年度から、保護者等による評価、職員による自己評価、評価に基づく改善策、これらを公表することが基準省令の改正により義務づけられました。各事業所は、毎年度その内容を県に提出しており、県ではこれらの取組が確実に行われているか、実地指導の際に確認を行っております。また、事業所は、インターネット等によりそれらの評価と改善策の内容を外部に公表することとなっております。各事業所においては、これらの取組を通じて提供するサービスの質の評価を行い、常に改善活動に取り組み、良質なサービスの提供に努めていくこととなっております。 75 ◯高橋義彦委員 ここまではサービスの指導について聞いておりますが、利用者に適切な支援を届けるためには、利用するに当たって保護者からの相談に応じ、障がい児の体や精神の状態に合った適切なサービス利用計画を立てる相談支援専門員の役割が大事だと聞いております。  そこでお尋ねいたします。県としてこの相談支援専門員の体制強化に向けてどのような取組を行っていくのでしょうか。 76 ◯後潟障がい福祉サービス指導室長 委員御指摘のとおり、保護者が抱える悩みに寄り添い、保護者が抱える課題の解決に向けた適切なサービス利用計画案を立て、利用者と事業所とをつなぐ相談支援専門員の果たすべき役割は非常に重要であると認識をしております。  県では、相談支援専門員が五年ごとに受講する現任研修をはじめ、スキルアップ研修等を実施し、相談支援技術の維持向上に努めております。また、今年度から、地域の中核的な相談支援専門員を養成するため、主任研修をスタートいたしました。この研修修了者に地域内で相談支援専門員に対する助言、指導を行ってもらうことを目的とするものでございます。これらの取組を通じて、相談支援体制のさらなる充実、強化を図ってまいります。 77 ◯高橋義彦委員 適切な運営や質の担保に向けて様々な取組が行われていることは理解できました。しかしながら、これらは事業所として最低限守るべきルールや、事業所に対して自浄作用を求めるものであると考えます。  最後に、障がいを持つ児童により質の高いサービスを提供するためには、指定後の継続的な指導はもちろん、放課後等デイサービス事業所の職員に向けた研修等のさらなる充実を図る必要があると考えますが、どのような認識を持っているのか、部長の決意と見解をお聞かせください。 78 ◯吉松源昭委員長 後藤福祉労働部長。 79 ◯後藤福祉労働部長 放課後等デイサービスの職員に対する研修の充実は、障がい児の方々の質の高い療育の維持、向上をしていく上では極めて必要であると考えております。室長が申し上げたとおり、現場での実地指導、それから、職員の皆様を集めての集団指導、こうしたことを様々取組を行っているところでございます。引き続きこうした取組を着実に実施してまいります。  また、現在実施しております事業所職員向けの各種研修につきましても、プログラムの内容充実を図るなど、事業所の運営をしっかり支援をしてまいります。 80 ◯高橋義彦委員 以上です。(拍手) 81 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。江頭祥一委員。 82 ◯江頭祥一委員 自民党県議団の江頭祥一です。  今日は、保育行政の課題、その中でも障がい児保育に係る県の取組についてお尋ねいたします。  福岡県では、以前より保育所の待機児童が大きな課題となっています。今年度の待機児童数は、昨年度の千百八十九人と比べると六百二十五人と大きく減少したものの、全国的に待機児童の多い都道府県の上位という状況は変わっていません。待機児童の解消に向けて各市町村で保育所の新設や増築などの対応を行っているにもかかわらずなかなか解消しない要因の一つとして、保育士不足が指摘されています。保育現場では、新規保育士の確保が難しいだけでなく、せっかく保育所に就職しても離職してしまう保育士が多いことも課題となっています。県が昨年度行った保育士への調査において、保育士不足の理由として保育士の業務は大変や、業務内容に給料が見合わないといった意見が多かったとお聞きしています。これは、現場にいらっしゃる保育士さんからも同様の意見をいただいております。  そういった中で保育現場の声として聞こえてくるのは、近年増加している障がいなどのあるお子様へ対する保育、いわゆる障がい児保育に対応する保育士などの負担の大きさについてです。  委員長、あらかじめ執行部に県内の障がい児保育児童数の推移などについて資料を要求しておりますので、お取り計らいをお願いいたします。 83 ◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。  ただいま江頭委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 84 ◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま江頭委員から要求がありました資料については提出できますか。浦田子育て支援課長。 85 ◯浦田子育て支援課長 直ちに提出いたします。 86 ◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 87 ◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 88 ◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、江頭委員、質疑を行ってください。 89 ◯江頭祥一委員 提出した資料について説明をお願いします。 90 ◯浦田子育て支援課長 それでは、資料上段の一の表を御覧ください。  指定都市、中核市を含む県全体の平成三十年度から令和三年度までの四月一日時点の保育所等での受入れ障がい児の児童数の推移を示しております。ここでいう障がい児は、障害者手帳の有無にかかわらず市町村が障がい児として認めた子供であり、発達障がいの子なども含んでおります。保育所等で受け入れている障がい児の人数は、県全体で平成三十年度から令和三年度までの三年間で六百八十一人増加しております。そのうち公立保育所は十六人、私立保育所については六百六十五人の増加となっております。  また二の表を御覧ください。  県全体の平成三十年度から令和二年度までの障がい児を受け入れた実績のある保育所、認定こども園、地域型保育事業の施設数の推移です。県全体で平成三十年度から令和二年度までで百二十九施設増加しております。そのうち公立保育所等は七施設、私立の保育所等は百二十二施設の増加となっております。 91 ◯江頭祥一委員 今、説明のあったとおり、平成三十年度以降障がい児保育の対象児童数は増加し、特に私立保育所において対応するケースが増えていることが分かります。  障がい児を保育所で受け入れる場合、通常の保育に必要な保育士の配置に加え、障がい児対応の保育士を配置することが一般的で、そのための人件費などについては国が財源措置を行っています。この財源措置は平成十四年度までは補助金として交付されていましたが、国の三位一体改革により平成十五年度から市町村に対する交付税措置となり、いわゆるひもつきの補助金から一般財源に切り替えられました。当初は、保育所に一定数の障がい児がいるとの前提の下、具体的に受け入れた障がい児の数でなく、保育所の児童数全体を基に算定されていましたが、この算定方法が平成三十年度から改善され、実際受け入れた障がい児の数に応じ、一人当たり一年間で百五十万円、月に換算すると十二万五千円が措置されることになっています。  この障がい児保育に対応する人件費の財源が、対応を行う私立保育所に適切に市町村より交付されるためには、各市町村が私立保育所に対する補助制度をつくり、適切な額の補助金を交付できるシステムづくりが必要だと考えます。  しかし、先ほども述べたように、保育現場からは、障がい児保育の対象児童が増加する中、対応する保育士や保育所の負担が大きいとの声が出ています。私は、そもそも各市町村が行っている補助に不十分な点があり、現場のニーズに応えられていない部分があるのではないかと危惧しています。  この点について、県としては現状をどのように認識しているのか、お聞かせください。 92 ◯浦田子育て支援課長 今年度、県で全ての市町村に確認をしたところ、私立保育所で障がい児の受入れを行っている市町村で、平成三十年度の交付税額措置の改正を踏まえた補助の見直しを行った市町村や、見直しは行っていないが以前から十分な補助を実施していると回答した市町村は全体の半分程度でした。  普通交付税は、市町村でどう使うのかを判断することができる一般財源ではありますが、県としましては、障がい児の受入れのために私立保育所側が配置した人件費等に見合った補助が必要と考えております。今後、保育所における障がい児保育の対応に必要な経費や市町村の補助制度について実態を把握した上で、財政的支援が十分と言えない市町村に対して補助制度の見直しや拡充について助言を行ってまいります。 93 ◯江頭祥一委員 今の答弁を伺っても、県も問題意識をお持ちだということは分かりました。  私立保育所に対して市町村が行う障がい児受入れについての補助制度の現状をしっかり把握し、適切な補助が一日も早く行われるよう働きかけをお願いします。  とは言ったものの、課題は補助金だけではありません。障がい児保育に対する保育所に対しては、人件費など補助だけでなく、専門的なスキルを持った人材確保への支援なども急務だと考えます。県はこれまで人材確保についてどのような取組を行ってきたのか、お尋ねいたします。 94 ◯浦田子育て支援課長 県では、平成三十年度から、障がいの特性を理解した上で個々の発達の状態に合わせた保育を行うことができる人材の育成のため研修会を実施しております。保育所でリーダー的な役割を担う保育士などを対象に、令和二年度までの三年間で三千四百一人を育成したところです。 95 ◯江頭祥一委員 県としても人材育成を行ってこられたということですが、実際に現場で障がい児保育に当たる保育士は、専門的知識だけでなく、子供の特性に応じた対応力が求められます。もともと人手不足が続いている保育現場で、こういった人材の確保が非常に難しいことは分かります。今後も障がい児保育の対象児童の増加が考えられる中で、その対応を現場の保育所や保育士だけに押しつけておくわけにはいきません。  障がい児保育を現場で担う保育所や保育士に対し、補助金による予算措置だけでなく、何らかの支援が行われているのか、現状を教えてください。 96 ◯浦田子育て支援課長 県が市町村に対し、障がい児を受け入れている保育所へ市町村が行っている具体的な支援について確認したところ、専門家による巡回支援を実施していると回答したのが二十五市町村、市町村の保育担当課の職員が定期的に保育所を訪問するなどの対応を行っていると回答したのが五市町村、関係部署・機関との情報交換のみを行っていると回答したのが四市町村、個々の保育所の対応に任せていると回答したのが二十六市町村となっておりました。  専門家による巡回支援の具体的な内容は、障がい児を担当する保育士等に対し、保育を行う上での助言や指導、悩みに対する相談対応を行うものとなっております。また、巡回支援を行うスタッフは、その市町村の実務経験豊富な保健師や保育士などのほか、外部の専門的な資格を持つ臨床心理士、言語聴覚士など、市町村によって様々です。 97 ◯江頭祥一委員 今の説明で、二十六の市町村は個々の保育所の対応に任せているという回答であり、これは具体的な支援は行っていないという状況と言えます。これからも分かるように、障がい児を受け入れている私立保育所では大きな負担を感じているのではないかと推測します。  また、保育所や保育士に対する支援を実施している市町村でも、今、答弁があったようにその支援内容がばらばらで、多くの市町村が手探りでこれまで対応してきているのではないでしょうか。県として、今後、現場の保育所や保育士のためにリーダーシップを発揮して、総合的に何らかの支援を行っていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。 98 ◯浦田子育て支援課長 障がい児保育につきましては、今までお答えしてきましたとおり、市町村の私立保育所に対する補助制度や支援内容が様々である中で、改めて保育所側が必要とする支援内容について検証する必要があると考えております。  そこで、県としましては、今後、保育所に対して障がい児を受け入れている保育所や担当する保育士の業務の実態、行政に対する保育所のニーズ、こういったことを把握してまいります。その上で、全市町村を構成メンバーとします福岡県待機児童等対策協議会の中に専門部会を設置し、有識者などにも意見を伺いながら効果的な支援策を研究の上、県内市町村に対し情報提供を行うとともに、保育所等への積極的な支援を行うよう働きかけてまいります。 99 ◯江頭祥一委員 障がい児保育については市町村が実施主体でありますが、県が適切な助言、指導を行い、しっかりとした対策を行わなければ、保育の現場負担はさらに増大し、保育士が精神的、体力的にも疲弊してしまい離職するなど、保育士不足の要因につながりかねません。現に、たくさんの保育士さんより、私自身が相談を受けて今回の質問に至ります。  広域行政を行う県が、障がい児保育についてしっかりとした取組を進めていただければ、保育現場にとってこれほど心強いことはないと思います。そこで、部長に障がい児保育に係る県の取組についての決意をお伺いいたします。 100 ◯吉松源昭委員長 後藤福祉労働部長。 101 ◯後藤福祉労働部長 保育園に通われております何らかの障がいがある児童の方々が年々増加する中、保育現場で奮闘されております保育関係者の皆様には、心から敬意を表するところでございます。とりわけ子供の特性を踏まえた個別の対応を求められている保育士の方々の御負担、こういったものは非常に大きいものがあると考えております。  県といたしましては、保育士増員のための人件費に対する市町村からの財政的支援、また、スキル向上のための専門家派遣等の支援の在り方につきまして、実際に対応している保育所に調査を行いまして、より詳細に実態を把握することが必要であると考えております。その上で、先ほど課長が申し上げました福岡県待機児童等対策協議会、この中で設置する専門部会におきまして効果的な支援策を研究し、市町村に対ししっかり働きかけを行ってまいります。 102 ◯江頭祥一委員 終わります。(拍手) 103 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。渡辺美穂委員。 104 ◯渡辺美穂委員 民主県政クラブ県議団の渡辺美穂です。  特例貸付け及び自立支援金制度における課題について質問いたします。  コロナ感染症拡大により生活費が不足して困った人のために、昨年三月から生活福祉資金の特例貸付け及び本年七月から自立支援金制度がつくられました。
     執行部にこの制度の概要と直近までのそれぞれの件数と総額の資料を要求していますので、お取り計らいのほどよろしくお願いいたします。 105 ◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。  ただいま渡辺美穂委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 106 ◯吉松源昭委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま渡辺美穂委員から要求がありました資料については提出できますか。横溝保護・援護課長。 107 ◯横溝保護・援護課長 直ちに提出いたします。 108 ◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 109 ◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 110 ◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、渡辺美穂委員、質疑を行ってください。 111 ◯渡辺美穂委員 それではまず、資料の説明をお願いします。 112 ◯横溝保護・援護課長 資料の一枚目は、生活福祉資金の特例貸付けに関するものでございます。  (一)制度概要といたしましては、コロナの影響で失業や休業等により収入が減少した世帯に対し、生活費として上限二十万円の緊急小口資金、上限が最大六十万円で延長及び再貸付けが可能な総合支援資金、この二種類の貸付けを行っております。貸付種別ごとの償還期限及び償還免除の要件は、資料記載のとおりでございます。  (二)は、事務の流れについて、白抜きの矢印で書類の動き、実線の矢印でお金の動きを表したものでございます。申込みから貸付けまでを1)から3)の矢印で示しており、1)の申込みの括弧書きのとおり、申込時には何年払いといった償還期間の希望も併せて伺っております。4)と5)は、償還に係る手続として今後想定されるものでございます。  (三)は、貸付実績でございます。今年八月末までの二つの貸付けの合計で十六万二千件余、六百七十八億円余となっております。  次に、資料の二枚目をお願いいたします。新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金に関するものでございます。  (一)の制度概要に記載のとおり、特例貸付けを利用できなくなった世帯のうち一定の要件を満たす世帯に対し、最大三か月で三十万円の支援金を支給するものでございます。  (二)は、求職活動を要件とする場合における申込みから支給までの流れを1)から3)の矢印で示しております。  (三)は、今年八月末までの支給実績でございます。県所管の町村部で百件、八百六十万円余となっております。 113 ◯渡辺美穂委員 資料二枚目の自立支援のほうなんですけれども、報道にもありましたけれども、特例貸付けの貸付件数と比べて、この七月から開始した自立支援金の支給件数が少ないというふうに思いますが、この要因は一体何だというふうに認識されておられますか。 114 ◯横溝保護・援護課長 自立支援金は、特例貸付けと違いまして収入などの要件がございます。例えば糟屋郡に単身でお住まいの場合は、月収が十二万二千円以下、預貯金が四十八万六千円以下で、かつハローワークへの求職申込みや求人先への応募などを行っていただかなければ支給対象となりません。自立支援金の件数が少ない要因は、そういった要件を満たす方が少ないことが考えられます。 115 ◯渡辺美穂委員 これらの制度のうち、特例貸付けは市町村にあります社会福祉協議会、そして、自立支援金は市及び県がその窓口になっています。  そこでまず、特例貸付けにおける社会福祉協議会の役割についてお聞かせください。 116 ◯横溝保護・援護課長 お手元の資料一枚目の(二)にございますとおり、市町村社会福祉協議会は、県の社会福祉協議会からの業務委託を受けまして、特例貸付けの申込みを受け付ける窓口としての役割を担っていただいております。  受付に当たっては、貸付希望者が殺到する中、感染防止に細心の注意を払いながら、新型コロナの影響により収入が減少して生活に困っている状況の詳細を一人一人から丁寧に聞き取る必要がございます。さらに、生活にお困りの方に速やかに貸付けを行うため、限られた時間で大勢の方からの申込みに御対応いただいていることから、県といたしましても市町村社会福祉協議会には大きな負荷がかかっているものと認識しております。 117 ◯渡辺美穂委員 もともと市町村の社協というのはぎりぎりの人数で回されているわけですけれども、この制度の窓口業務をこなすために県としてどのような支援を行っているのか、お示しください。 118 ◯横溝保護・援護課長 特例貸付けの実施に伴いまして貸付希望者が急増したことから、窓口である市町村社会福祉協議会の体制を強化する必要がございました。そのため、新たな職員の雇用や相談ブースの増設などを行っていただいているところです。市町村社会福祉協議会の体制強化に伴う経費については、全額を県の社会福祉協議会が委託料として支払っております。なお、その委託料につきましては、県から社会福祉協議会に対して全額を補助しているところです。 119 ◯渡辺美穂委員 では次に、国は、三月ですが、償還時において住民税非課税世帯であることなどを条件に、緊急小口資金の返済を免除することができると発表をいたしました。しかし、いまだその免除対象について具体的な内容が示されておらず、窓口となる社協の現場は戸惑っておられます。  県ではどの程度その内容について把握しておられるのか、お示しください。 120 ◯横溝保護・援護課長 特例貸付けの償還免除の内容につきましては、今年三月に基本的な骨格としての取扱いが国から示されたところでございます。その中で、償還免除の判定は、緊急小口資金、総合支援資金の初回貸付け、延長貸付け、再貸付けの四種別ごとに行うこと、判定方法として、例えば緊急小口資金の場合では、据置期間一年経過後の償還初年度であります令和四年度に、令和三年度または四年度のいずれかが住民税非課税の場合に償還免除の対象となること、住民税非課税の確認対象は借受人及び世帯主とすることなどが明らかにされております。  また、償還免除を受けるには社会福祉協議会への申請が必要とされておりますが、申請書類の内容や提出先、提出時期については国において検討しているところであり、県としてもそれ以上の把握はしておりません。 121 ◯渡辺美穂委員 今の御答弁にあったように、国がまだいろいろ態度を明らかにしていないので、窓口になっている社協では、一体どこまでやったらいいんだろうということで、非常にまだ戸惑っておられる現状があります。  そしてさらにですね、来年から償還免除以外の借受人の方々は償還計画を立てて償還していかなければなりません。償還計画は、貸付申込みのときに本人希望に基づいて県の社会福祉協議会が作成して送付すると聞いておりますけれども、では、貸付窓口を担っている市町村の社協では、今後の償還に関する通知やアドバイスなどの償還事務についてどこまで関わりを求められているのか、お聞かせください。 122 ◯横溝保護・援護課長 今回の特例貸付けではない緊急小口資金や総合支援資金の本則の貸付けにおいて、償還の開始や残額のお知らせの発送、償還が滞っている際の督促などの償還事務は、県の社会福祉協議会が御本人に対して行っております。そのため、今回の特例貸付けにおいても市町村社会福祉協議会が償還事務に直接携わることは想定しておりません。 123 ◯渡辺美穂委員 想定されていないということだったんですが、私が実際に社協に行ってお伺いしたら、そういった償還事務に関わらなくていいということが市町村社協に伝わっていないという現状がありました。ですから、できるだけ早期にですね、正確に市町村社協のほうにそれをお伝えをしていただきたいと思います。  また一方でですね、増大が見込まれる償還事務の内容に応じた県社協、こちらのほうの体制整備が必要になると思いますけれども、県ではどのような支援を考えておられるのか、お聞かせください。 124 ◯横溝保護・援護課長 来年度以降、県の社会福祉協議会は、十六万件を超える貸付金の償還について、総合支援資金の償還期間の上限であります十年間にわたり、定期的な残額のお知らせ、計画的な償還に向けた相談や助言、また、償還が滞っている場合の督促などの償還事務を行っていかなければなりません。また、貸付けの窓口であります市町村社会福祉協議会においては、償還計画や償還免除に関する問合せや相談が寄せられ、一人一人に丁寧な説明をしていただくことも考えられます。これらに対応するために必要な職員の確保や一部事務の外部委託等の経費については、引き続き県としても支援を行っていきたいと考えております。 125 ◯渡辺美穂委員 特に社協の窓口が混乱しないように、きちんと支援をやっていただきたいと思います。  最後になりますけれども、今年七月設立された自立支援金なんですが、これはですね来年の償還開始時においては申請期間がもう既に終了している、償還をしようとしたときにお金がない、そういった経済的に困窮している場合などに一体どうしたらいいのか、そういった借り受けた人たちの自立をどういうふうに図っていくのか、お聞かせください。 126 ◯横溝保護・援護課長 委員御指摘のとおり、住民税非課税となって償還が免除される方だけではなく、償還が始まったことにより生活にお困りになってしまう方も出てくる可能性がございます。  先ほどの資料一枚目の(二)で点線矢印としておりますけれども、総合支援資金の延長貸付け及び再貸付けを受けた方には、生活にお困りの状況が特に長く続いていることを踏まえまして、自立相談支援機関の継続的な支援を受けていただいております。その方々を含めまして、償還開始時においても生活にお困りの方につきましては、引き続き自立相談支援機関が御本人の状況に応じまして家計改善に対する助言や就労に向けた支援を行い、お困りの状況が改善されるようサポートしてまいります。 127 ◯渡辺美穂委員 今の御答弁ですと、従来からある市町村の自立支援機関が今後は対応していくというふうな内容に受け取ったんですが、今回、コロナ感染症関係で非常にこういった自立支援を求められる県民の方々が非常に増えてくるだろうというふうに思います。これまでの従来の支援機関だけで本当に十分行えるかということに非常に私はまだ疑問を持っている状況です。償還開始後、ぜひ市町村とか、それから県社協、それから市町村社協とも十分に連携を取って、必要な措置を講じていただくように要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 128 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。森下博司委員。 129 ◯森下博司委員 皆さん、こんにちは。公明党の森下でございます。  通告に従いまして、障害者差別解消法の改正について何点か質疑したいと思います。  まず、障害者差別解消法の改正法が、今年、第二百四回通常国会で成立して六月六日に公布されました。まず、その内容の概要を説明願いたいと思います。 130 ◯吉松源昭委員長 宮崎障がい福祉課長。 131 ◯宮崎障がい福祉課長 今年六月の法改正では、障がいを理由とする差別解消をより一層推進するため、これまで努力義務であった民間事業所による合理的配慮について義務化するとともに、相談に対応する人材の育成、差別解消のための取組に関する情報の収集、提供などの支援措置の強化が規定されています。 132 ◯森下博司委員 端的に言えば、障がい者に官民問わず合理的配慮を提供するということでよろしいですか。  今回の法改正を見ると、障害者の差別解消法の附則に、法の施行後三年を経過した場合に、法律の施行状況について検討を加え、必要があると認めるときは見直しを行うと規定されており、この見直し規定に基づくものと理解しております。  そこで、国においてはどのような検討が行われたか、その概要も説明してください。 133 ◯宮崎障がい福祉課長 国においては、民間事業者を含めた社会全体で合理的配慮の提供を進めていくこと、民間事業者からの相談にも適切に応じる体制整備や相談対応を担う人材の育成を図ること、相談対応事例の収集や共有、情報提供をより一層行うことなどが検討されました。 134 ◯森下博司委員 本県にも条例がありますけれども、合理的配慮が義務化されて、法と同じように三年経過後の見直し規定が本県条例にもあります。  去年十月でこの施行から三年が既に経過しましたけれども、どのような見直しがされたのか、条例の施行状況の検討の進捗状況を伺いたいと思います。 135 ◯宮崎障がい福祉課長 県では、障害者差別解消法第十七条の規定に基づき設置している障がい者差別解消支援地域協議会において、国における議論の状況を説明し、本県の条例の見直しに向け委員の皆様から御意見を聴取しているところです。県においては、法改正の内容と協議会での議論を踏まえ、対応を検討してまいります。 136 ◯森下博司委員 少なくとも、内閣府の障害者政策委員会の調査に対して本県の障がい者差別解消対策の現状を回答していると思いますけれども、その概要も説明願いたいと思います。 137 ◯宮崎障がい福祉課長 内閣府の調査は毎年実施されております。直近では、今年九月に本県と市町村における相談窓口の設置状況、主な相談事例の内容や経緯、事案の解決に向けた対応などを報告しております。  この報告の中で、ワンストップで相談に対応できる窓口を設置しているのが三十一市町、専門相談員を設置しているのが八市町となっておりまして、市町村間で相談体制の整備状況に差があることが課題として挙げられております。 138 ◯森下博司委員 解消法の第六条に基づいた基本方針では、条例で法の上乗せや横出しをすることは制限されず、障がい者にとって身近な地域において条例の制定を含めた障がい者差別を解消する取組の推進が望まれるとされており、県の取組に対しては、国も大変期待を示されているところであります。  そこで、今回の法改正に応じて、民間事業者への合理的配慮の義務化にとどまらず、法改正の趣旨を踏まえた県バージョンの人材育成と情報収集の具体的仕組みや本県の実情を踏まえた独自規定など、ぜひ意欲的な条例改正を行っていただきたいと思いますが、本県条例の改正とその方向性に関する行政の認識を伺いたいと思います。 139 ◯宮崎障がい福祉課長 条例の見直しについては、現在、国において改正が進められている法の趣旨を具体化する基本方針の内容を反映するとともに、地域協議会の意見などを踏まえることが必要と認識しております。  また、県では、県の障がい者差別解消条例第十条に合理的配慮の実効性を高めるための独自規定、いわゆる横出し規定として事前的改善措置の規定を設け、行政や事業者は障がいのある人からの改善の申出を待つことなく、施設のバリアフリー化やコミュニケーションを図るための支援など、ハード、ソフトの両面から改善措置の実施に努めることとしています。  今後、国の新たな方針を踏まえ、この規定も見直しの必要性があるのか、協議会の意見なども踏まえ議論していきます。 140 ◯森下博司委員 ここで、改正障害者差別解消法及び本県の差別解消条例の運用上の問題点について質問します。  まず、視覚障がい者の日常生活用具として音声つき体温計や体重計などは、現在、家族等に健常者がいれば認められていません。これらの用具は障がい者が一人で使用するものであり、合理的配慮の観点からは同居者がいても認められるべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。併せて視覚障がい者用のスマホのタッチキーボードについても認められないか伺います。タッチキーボードというのは、視覚障がい者の持ったスマホの画面を障がい者が触っても手で認識できないので、このスマホの裏にキーボードを固定して使う機器をタッチキーボードといいます。これについても認めていただけないか、お伺いします。 141 ◯宮崎障がい福祉課長 視覚障がいのある方向けの体温計やタッチキーボードなどの日常生活用具の給付は、障害者総合支援法に基づき市町村が実施主体となっており、県はこの給付に要した経費を国、市町村と共に負担しています。県内の多くの市町村では、体温計などの用具について、御指摘のような場合には給付が認められておりません。その一方で、十の市町では給付実績があります。また、タッチキーボードについては、五つの市町で給付実績があります。  先ほども申し上げたとおり、日常生活用具の給付事業は市町村が実施主体となります。このため十一月に開催を予定してます市町村障害福祉担当課長会議において、市町村においてこれらの給付に関する情報の共有を図り、地域におけるニーズや実情等を踏まえて検討を行っていくよう働きかけてまいります。 142 ◯森下博司委員 次に、コロナワクチン接種については、その通知文とか接種券に拡大文字はあるが、点字がついていませんでした。接種券を発行する市町村に、厚労省が発出した合理的配慮の通知が十分行き届いていないといった事例も聞きました。  コロナワクチン接種に関して、障がい者のための相談窓口の設置をしたり、情報を共有し、周知をしっかり行っていくべきではないかと思いますが、お答えください。  また、三回目のワクチン接種に向けて、接種会場における障がい特性に応じた合理的配慮について、各種家族団体をはじめ関係機関としっかり協議をして、いま一度徹底してほしいけれども、その見解をお聞かせください。 143 ◯宮崎障がい福祉課長 新型コロナワクチンの接種は、原則として居住地の市町村にある医療機関や接種会場において受けることとされております。県では、市町村に対し、接種予約や問合せにファクスや電子メール等などでも対応すること、接種券を郵送する封筒への点字表示をすること、接種会場に手話通訳者を派遣することなどの対応について通知で要請し、今年三月の担当課長会議においても説明したところです。各市町村ではこれらの要請を踏まえ、本人への伝達について対応を講じておりますが、相談窓口の設置や接種券への点字表示については、市町村間でいまだばらつきが見られます。  県では、そうしたばらつきを解消するため、各市町村における対応事例を取りまとめ、課長会議の場で情報を共有し、今後の対応を要請してまいります。また、この会議においては、当事者団体からお聞きした接種に係る課題や要望についても情報共有を図ってまいります。 144 ◯森下博司委員 最後にしたいと思いますけども、最後に部長に伺いたいと思います。  今、るる質疑をしてまいりましたけれども、合理的配慮とは何かさえ知られない行政の人も一般県民も多くおられます。また、ワンストップで相談できる箇所が県下で三十一市町、また、トラブルが起きたときに相談ができる専門相談員を設置しているところは、僅か八市町であるということも分かりました。また、障がい者への日常生活用具の給付も市町村でばらつきがある。また、先ほどのワクチンの接種会場においても全く情報が共有されてない。特に、聴覚障がい者の方たちには、電話だけの問合せでなくて、ファクス、SNS、メール、そういったものもきちっと用意をする等々、県は言ったかもしれませんけれどもそれがなされていない。先ほども三月の担当課長会議で説明をしたところと書いているけれども、これが七月、八月のワクチン接種のところでなされてないという。だから、やりました、言いましたではなくて、ちゃんとしたチェック役というんですか、今回の法改正の中にも、国と地方公共団体の連携協力の責務が追加されております。そういったことを考えると、県が市町村と国の間にきちっと入って、チェック役であり、またやっているかどうか、その見極めを誰かがしないと、言いました、そして後はお任せ、それでは今言ったような市町村にばらつきがあるということがよく分かったと思います。そういう面で、補助金を四分の一出しているとかいうだけではなくて、しっかり口も出せるように、やはり課長会議等々で物言いを私はしてもらいたいと思います。  そこで、部長、条例の見直し等の折には、合理的配慮にのっとって公平に周知徹底をすべきだと思いますので、部長の決意と今の見解も併せてお聞かせいただければと思います。以上です。 145 ◯吉松源昭委員長 後藤福祉労働部長。 146 ◯後藤福祉労働部長 委員から御指摘を受けました、市町村の対応について差があるということにつきましては、できる限りそういったことにつきまして、県からもしっかり課長会議等の場を通じまして働きかけを強くやってまいりたいと考えております。  御質問の条例の見直しについてでございます。今回の障害者差別解消法の改正では、民間事業者による合理的配慮が義務づけをされました。本県条例につきましても、法改正の施行期日であります令和六年六月までに見直しが必要であるというふうに認識をしております。その見直しに当たりましては、現在、国において改正が進められております法の趣旨を具体化する基本方針の内容を反映すること、また、委員御指摘のとおり、市町村、事業者、また県民の皆様それぞれに、合理的配慮の提供について一層の周知徹底を図ることを行ってまいりたいというふうに考えております。以上でございます。 147 ◯森下博司委員 スピード感を持って取り組んでいただくことをお願いして終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) 148 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。高橋雅成委員。 149 ◯高橋雅成委員 こんにちは。公明党の高橋です。どうぞよろしくお願いします。  質問に入ります前に、資料の提出をお願いしたいと思います。「福祉のしごと就職フェア」の実施状況及び県内の福祉避難所数と周知の状況についてであります。お取り計らいをよろしくお願いします。 150 ◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。  ただいま高橋雅成委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 151 ◯吉松源昭委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま高橋雅成委員から要求がありました資料については提出できますか。徳永福祉総務課長。 152 ◯徳永福祉総務課長 直ちに提出いたします。 153 ◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 154 ◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 155 ◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、高橋雅成委員、質疑を行ってください。 156 ◯高橋雅成委員 初めに、福祉のしごと就職フェアについて質問いたします。  資料のうちの福祉のしごと就職フェアの実施状況について、徳永課長、説明を簡単にお願いします。 157 ◯徳永福祉総務課長 それでは、お手元のA4横の資料を御覧ください。  この資料は、福祉のしごと就職フェアの実施状況についてお示しをしたものでございます。  令和元年度は、八月と二月の年二回、クローバープラザにおいて対面で面談会を実施いたしました。また、令和二年度は、新型コロナウイルス感染拡大に対応するためオンライン方式に変更いたしまして、十月、十二月、二月の年三回実施をいたしました。内容は、事業者によるプレゼン動画の配信とウェブ特設サイトへの事業者情報の掲載です。
     令和元年度、二年度の参加事業者数、参加者数は記載のとおりです。  令和三年度は対面及びオンラインで実施をすることとしておりましたが、八月の対面開催につきましては、福岡コロナ特別警報の発動に伴いまして会場のクローバープラザが休館となりましたため、やむを得ず中止をいたしました。なお、今月二十三日からは、計画どおりオンライン面談会を開催する予定としております。説明は以上でございます。 158 ◯高橋雅成委員 この福祉のしごと就職フェアは、県と県社協が主催しております。毎年度、八月と二月の二回開催を基本として、令和元年度まではそのとおりやってきたわけですけども、令和二年度からは新型コロナ感染症の影響でオンラインに切り替えるなど、実施方法が大きく変化いたしました。今年度につきましては、八月が中止、そして、十月から令和四年の来年の三月にかけて毎月一回、オンラインで面談を実施するということでございます。  もともと求職者が少ない職種であります。求人ができる唯一の機会がこの就職フェアだとおっしゃっている事業者の方もいらっしゃいます。このオンライン面談で、各回二十程度の事業者しか参加できないと絞られておりますけれども、その理由は何かお尋ねします。 159 ◯徳永福祉総務課長 オンライン面談は、ウェブ会議システムのZoomを活用いたしまして、ウェブ上に設けた部屋で事業者と求職者が面談を行うものです。参加する事業者ごとに部屋を設けることとしております。一つの事業者ごとに一部屋を設定しまして、事業者と四名程度の求職者が面談を行うことにしておりますため、それぞれの部屋の接続トラブルなどの対応が必要となってまいります。今回、この方法により初めて開催をすることから、この事業の委託先である県社会福祉協議会と協議をいたしまして、システムや運営側のキャパシティーも考慮いたしまして、二十事業者程度で実施することとしたものでございます。 160 ◯高橋雅成委員 システムのほうは、Zoomのウェブ会議システム自体は、三百人とか五百人とかいう形でもできますし、無制限というのも聞いております。そういうものもあるような話も聞いております。参加事業者を少しでも増やすようにしていただきたい。今回いろんなトラブル対応とかも、初めての開催ですのでしなければいけないということでありますけども、少しでも参加事業者を増やしていただきたいと思いますけども、いかがでしょうか。  また、オンライン面談への参加方法も、初めてでございますので丁寧に事業者に説明していただきたいと思いますけども、その点についてもお伺いします。 161 ◯徳永福祉総務課長 十月、十一月、十二月のオンライン面談会の参加を希望されている事業者は、現在六十の事業者枠に対しまして四十一となっておりまして、今のところ順調な参加希望であると考えております。  先ほど申し上げましたとおり、一回の面談会は二十事業者程度ということにしておりますけれども、今後の事業者の応募状況、また、求職者の参加の状況を踏まえまして、オンライン面談会の回数を増やすなどによりまして、参加事業者の拡大を検討してまいりたいと考えております。  また、先ほど委員御指摘のとおり、事業者の中にはオンライン面談に不安を感じる方もおられると思います。このため、ウェブ会議システムの操作方法をまとめたマニュアルの配付や、また、接続テストの実施などによりまして参加事業者を支援するということも周知をしていきたいと考えております。 162 ◯高橋雅成委員 分かりました。同じコロナ禍の中での開催となりました令和二年度と三年度ですけども、実施方法が変わっております。令和二年度が事業者によるプレゼン動画の配信、それが令和三年度はウェブ会議システムによるオンライン面談、このように変えた理由についてお尋ねします。 163 ◯徳永福祉総務課長 昨年は、事業者が事業所の紹介をプレゼンをした動画をあらかじめ収録をして、それを配信するという方法で開催をいたしました。そのため、事業者側からは求職者の反応などを確認することができませんでした。参加された事業者からは、コロナ禍でもオンラインで開催できたことはよかったが、求職者の方の顔を見ながら質疑応答などをしたいという意見が多く聞かれました。そういった御意見を踏まえまして、オンラインでも参加事業者と求職者がより対面に近い形で面談ができるよう、開催方法を変更いたしたところでございます。 164 ◯高橋雅成委員 だんだんいいものを目指していくというのは大変いいことだと思います。ただ、これまで対面だったのが、昨年は動画配信、そして、今年はオンライン面談と。実施方法が次々に変わると、参加事業者も求職者も戸惑い、参加を見合わせるという方も増えていく心配が一方であります。今後の福祉のしごと就職フェア開催の方針、どのようにやっていくのかについてお伺いします。  また、対面で実施する場合も、会場になっておりますクローバープラザの都合で参加事業者が抽せんという形で数が絞られております。なるべく多くの事業者が参加できるように工夫してほしいと思いますけども、いかがでしょうか。 165 ◯徳永福祉総務課長 福祉のしごと就職フェアは、社会福祉施設や事業所にとって人材確保の貴重な機会となっております。令和元年度までは大きな会場での対面方式で開催をしてきましたけれども、昨年度から新型コロナウイルス感染が拡大する中で開催できる方法としてオンラインを取り入れて実施をしてきたところです。さらに今年度からは、県社会福祉協議会のホームページに事業者のPR動画や求人情報を掲載する特設コーナーを開設いたしまして、事業者が就職フェア以外でも求人活動ができる環境を充実しております。  今後も対面、そしてオンライン、この二つの方法を最大限に活用いたしまして、より多くの事業者と求職者に参加をしていただけるよう、就職フェアが充実したものとなるように工夫をしてまいりたいと考えております。 166 ◯高橋雅成委員 それでは、部長のこのフェア開催の充実に対する決意をお伺いします。 167 ◯吉松源昭委員長 後藤福祉労働部長。 168 ◯後藤福祉労働部長 高齢化の進展に伴いまして、福祉、介護サービスのニーズはますます増加、多様化をしておりまして、サービスを担う人材の確保は極めて重要であると認識をしております。そのような中、当部では、平成七年度から毎年度実施しております福祉のしごと就職フェアは、社会福祉施設や事業者の人材確保の支援、そして、それらの施設に就職を希望される方々への支援を目的として開催をしてきております。  県といたしましては、先ほど課長から御答弁さしあげましたとおり、新型コロナウイルス感染症拡大の中で、試行錯誤しながら開催をしてまいりました。本日、委員からもいただいた御意見を踏まえながら、今後とも事業者や求職者の皆さんに一人でも多く参加していただき就職につながるよう、フェアの充実について取組を進めてまいります。 169 ◯高橋雅成委員 よろしくお願いします。  それでは次に、県内の福祉避難所についてお伺いします。資料の説明をお願いします。 170 ◯徳永福祉総務課長 恐れ入ります。お手元のA4縦の資料、県内の福祉避難所数と周知の状況について御説明いたします。  福祉避難所は、市町村が、災害時に高齢者や障がい者など配慮が必要な方を受け入れていただくよう、お願いをしている施設です。福祉避難所のうち、災害対策基本法等で定める基準を満たし、その名称や所在地を市町村が公示をしている施設が指定福祉避難所でございます。  県内の状況ですけれども、令和三年三月三十一日現在、福祉避難所は六百七十一か所ございまして、そのうち指定福祉避難所は百八十二か所となっております。また、広報紙などを通じて住民の方々に福祉避難所を周知している市町村は四十五ございますが、十五の市町村は周知ができていない状況でございます。説明は以上です。 171 ◯高橋雅成委員 周知していない市町村が十五ということですけども、私の障がいを持っている知人からお伺いしました。この方はこのようにおっしゃってました。医療的ケア児とか人工呼吸器を使用している障がい者には、万一のときの非常用の電源の確保が不可欠です、しかし、この非常電源とか自家発電がどこの避難所にあるか、誰も知らされておりませんと。また、こうもおっしゃってました。福祉避難所は、一旦指定避難所に避難した後に移動するようになっておりますけども、障がい者は迷惑をかけるからと避難所に避難することを遠慮する傾向があります、最初から福祉避難所に避難するほうがよい場合もあるんじゃないでしょうかとおっしゃっておりました。  高齢者や障がい者の側に立った福祉避難所の在り方が求められると思いますけども、現実は福祉避難所がどこにあるかさえほとんどが知らされておりません。この理由はなぜか、また、こうした現状についてどう考えられるか、お伺いします。 172 ◯徳永福祉総務課長 要配慮者の避難につきましては、まずは身近な避難所で受け入れて、必要に応じて福祉避難所に搬送することとしていることから、広く周知を行っていないということを一部の市町村からお聞きをしております。県といたしましては、要配慮者が災害時に円滑に避難をしていただくためには、まずは福祉避難所の対象となる要配慮者、そして、その御家族の方、さらに、避難を支援する地域の民生委員や消防団などに対しまして、それぞれの避難先となる福祉避難所の情報を具体的に周知をすることが重要であると考えております。 173 ◯高橋雅成委員 今年の五月に福祉避難所の確保・運営ガイドラインというのが改訂されました。指定福祉避難所の受入れ対象者を特定して、特定された要配慮者やその家族のみが避難する施設であることを公示できることや、指定福祉避難所への直接の避難の促進、こうした内容で、要配慮者の支援を強化するという内容でございます。福岡市議会では、この九月の定例会で、公明党の市会議員が福祉避難所の件で一般質問しまして、ここにありますように、市は今、公示しておりませんけども、避難所の公示を今後検討すると答弁をいたしました。  福祉避難所の公示、周知が必要と考えますけども、そのための県としての取組、市町村への支援策を教えていただきたいと思います。 174 ◯徳永福祉総務課長 今年の五月に災害対策基本法施行規則が改正され、指定福祉避難所については、名称や所在地だけでなく、受入れ対象者についても公示をすることが義務づけられました。  県としましては、規則改正後、直ちに市町村担当者研修会を開催いたしまして、今回の改正の趣旨や公示の必要性、また具体的な公示の仕方などについて説明を行ったところです。ただ、周知がされていない市町村もございますので、今後も市町村における周知の状況について把握をいたしまして、周知をしていない市町村に対し個別に働きかけを強化してまいります。 175 ◯高橋雅成委員 では、最後に部長にお伺いします。  熊本の災害のときに、市役所の会議室を障がい者に開放した、非常に助かったという話をお伺いしました。また、逆の例ですけども、仙台の東日本大震災のときですけども、発達障がいの子供を持つ親子が周りを気遣って一般の避難所から自宅に戻りました、その戻った後に被災したという例もお伺いしました。  災害時の障がい者や高齢者などの要配慮者の避難所対応は非常に大切だと思ってます。その対応は市町村の役割ですけども、県として最大限のサポートをしていただきたいと思います。部長の決意を最後に求めて終わります。 176 ◯後藤福祉労働部長 東日本大震災、また、熊本の震災、こういった近年の大規模災害におきまして、高齢者や障がいをお持ちの方々などの避難が適切に行われずに災害の犠牲になられた事例、また、避難生活の環境が十分でなく健康を害する方、こういった事例がございました。  本県においても五年連続で災害に見舞われております。災害時におきまして、高齢者などの特別な配慮が求められる方々が確実に避難ができる体制や、避難先での生活を安心して送っていただくことができるよう、環境の整備が重要であると考えております。県といたしましては、先ほど課長も答弁いたしましたとおり、要配慮者の方々やその支援者に対します福祉避難所の情報の周知や資機材の整備が図られるよう、市町村をしっかり支援してまいりたいと考えております。 177 ◯高橋雅成委員 終わります。(拍手) 178 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 179 ◯吉松源昭委員長 ないようですので、以上で、原竹委員、新開委員の知事保留質疑を残しまして、第一四〇号議案の質疑を終わります。  次に、第一四五号議案「令和二年度福岡県母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計決算」及び第一四六号議案「令和二年度福岡県災害救助基金特別会計決算」の二件について一括議題とし、まとめて説明を求めます。後藤福祉労働部長。 180 ◯後藤福祉労働部長 歳入歳出決算概要説明書の百七十七ページをお開き願います。  第一四五号議案、令和二年度福岡県母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計の歳入歳出決算について御説明を申し上げます。  この会計は、母子家庭、父子家庭及び寡婦の経済的自立と生活意欲の助長を図りますとともに、扶養しております児童の福祉の増進を図る、その双方を目的といたしまして、各種の資金の貸付けを行うものでございます。  まず、歳入でございます。収入済額は、計欄にありますとおり四億六千万円余、予算現額に対しまして一千四百万円余の収入増となっております。その主な理由でございますが、貸付金の元金償還額等が見込みを上回ったことによるものでございます。また、収入未済額が二億五千八百万円余となっておりますのは、納入義務者の経済的困窮などによるものでございます。  下の百七十八ページに移りまして、歳出でございます。決算額は一億一千六百万円余となっております。主なものは、母子家庭に対します各種資金の貸付費でございます。  一番下の不用額の主な理由ですが、貸付額が見込みを下回ったことによるものでございます。  以上が、福岡県母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計の決算の概要でございます。  引き続き、百七十九ページをお願いいたします。第一四六号議案、令和二年度福岡県災害救助基金特別会計の歳入歳出決算について御説明を申し上げます。  この会計は、災害救助法に基づきまして災害救助を実施する際の財源とするために、あらかじめ基金を積み立てておくものでございます。  歳入でございます。収入済額は二億二千四百万円余となっております。内容は、基金の運用益などでございます。  下の歳出でございます。決算額も同額の二億二千四百万円余でございます。内容は、基金に必要とされる法定積立額の不足額を埋めるために積み増しを行ったものでございます。  以上が福祉労働部所管の特別会計決算の概要でございます。よろしく御審議のほど、お願い申し上げます。 181 ◯吉松源昭委員長 説明は終わりました。これより質疑を行います。質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 182 ◯吉松源昭委員長 質疑がないようですので、第一四五号議案一件の質疑を終了し、福祉労働部所管分の審査を終わります。  次に、労働委員会事務局所管分の審査を行います。  第一四〇号議案「令和二年度福岡県一般会計決算」のうち、歳出について説明を求めます。野口労働委員会事務局長。 183 ◯野口労働委員会事務局長 それでは、労働委員会事務局所管分の決算につきまして御説明申し上げます。歳入歳出決算概要説明書の九十一ページをお願いいたします。  五款生活労働費のうち労働委員会事務局所管の決算額は、十項労働委員会費で二億一千五百万円余でございます。これは労働委員会の運営等に要した経費でございます。九十二ページのほう、不用額を生じております主な理由でございますが、これは一目の報酬の執行残でございます。  説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。 184 ◯吉松源昭委員長 説明は終わりました。これより歳入及び歳出の質疑を行います。質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 185 ◯吉松源昭委員長 質疑がないようですので、第一四〇号議案の質疑を終了し、労働委員会事務局所管分の審査を終わります。  この際、しばらく休憩します。再開は午後二時十分をめどに放送をもってお知らせします。    午 後 一 時 三 分 休 憩    午 後 二 時 十 分 再 開 186 ◯井上博隆副委員長 ただいまから委員会を再開します。  休憩前に引き続き議事を進めます。  農林水産部所管分の審査を行います。  まず、第一四〇号議案「令和二年度福岡県一般会計決算」のうち歳出について説明を求めます。重吉農林水産部長。 187 ◯重吉農林水産部長 それでは、農林水産部所管の決算について御説明いたします。歳入歳出決算概要説明書の九十七ページをお開き願います。  第六款農林水産業費の決算額は六百九億一千九百万円余となっております。  内容について御説明いたします。一項農林水産業企画費は、決算額七十九億七百万円余でございます。この主なものは、新規就農者対策や中山間地域農業の振興に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは県産農林水産物輸出促進事業で、これは国の補正予算に伴うものでございます。不用額につきましては、九十八ページに参りまして、その主な理由は県産農林水産物輸出促進費の執行残でございます。  九十九ページをお開き願います。二項農業費は、決算額百十億四千五百万円余でございます。この主なものは、施設・機械等の条件整備や農地中間管理機構事業に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、産地生産基盤パワーアップ事業で、これは国の補正予算に伴うものでございます。不用額を生じております主な理由は、産地生産基盤パワーアップ事業費の執行残でございます。  百ページをお願いいたします。三項畜産業費は、決算額二十四億一千六百万円余でございます。この主なものは、家畜伝染病の予防や県産畜産物の消費対策に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは強い畜産業づくり対策事業で、これは国の補正予算に伴うものでございます。不用額を生じております主な理由は、強い畜産事業づくり対策事業費の執行残でございます。  百一ページをお開き願います。四項農地費は、決算額百七十一億一千八百万円余でございます。この主なものは、ため池整備等の農業・農村整備に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っておりますのは、農業・農村整備事業において地元調整に日時を要したことによるものでございます。不用額を生じております主な理由は、災害に強いため池等整備事業費の執行残でございます。  百二ページをお願いいたします。五項林業費は、決算額百五十一億一千六百万円余でございます。この主なものは、森林整備、治山事業に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、治山事業、林道事業において地元調整に日時を要したことによるものでございます。不用額につきましては、百三ページに参りまして、その主な理由は森林整備推進対策事業費の執行残でございます。  百四ページをお願いいたします。六項水産業費は、決算額七十三億一千五百万円余でございます。この主なものは、沿岸漁場整備、漁港整備に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、漁場、漁港整備において地元調整に日時を要したことによるものでございます。不用額につきましては、百五ページに参りまして、その主な理由は漁港修築事業費の執行残でございます。  百六ページをお願いいたします。第十一款災害復旧費の農林水産部所管の決算額は五十一億七千八百万円余となっております。  内容について御説明いたします。一項農林水産施設災害復旧費は、決算額四十八億二千万円余でございます。これは、農地、農業用施設、林道の災害復旧に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っております主なものは、団体営耕地災害復旧事業において地元調整に日時を要したことによるものでございます。不用額につきましては、百七ページに参りまして、その主な理由は団体営耕地災害復旧事業費の執行残でございます。  三項庁舎等災害復旧費は、決算額三億五千七百万円余でございます。この主なものは、平成三十年七月の西日本豪雨による被害を受けた農林業総合試験場の復旧に要した経費でございます。翌年度へ繰越しを行っておりますのは、復旧工事において地元調整に日時を要したことによるものでございます。不用額につきましては、百八ページに参りまして、その理由は事業費の確定に伴う執行残でございます。  以上で、農林水産部所管分一般会計の決算につきまして説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。 188 ◯井上博隆副委員長 説明が終わりました。  これより、歳入及び歳出の質疑を行います。質疑はありませんか。江藤秀之委員。 189 ◯江藤秀之委員 自民党県議団、江藤秀之です。  通告のとおり、県産木材の利用拡大について質問させていただきます。近年、地球温暖化の影響に伴い、局地的な豪雨や大型の台風等による激甚災害が頻発しております。本県においても五年連続で豪雨による甚大な災害が発生したところであります。このため、土砂災害の防止や、水を育んだり二酸化炭素を吸収するといった、多面的機能を有する森林の重要性は一層高まっております。この重要な森林を守り育てながら木材を生産するのが林業であります。私は、県の林活議連の会長も務めておりますので、今回、林業の振興、とりわけ県産木材の利用拡大に向けた本県の取組について質問をさせていただきたいと思います。  まず、利用拡大の前に県産木材の供給について伺います。  県では、主伐を推進して木材の供給拡大を進めていると承知しておりますが、具体的な取組内容、また、この取組によって生産量がどのように推移しているのか、お尋ねしたいと思います。 190 ◯井上博隆副委員長 佐伯林業振興課長。 191 ◯佐伯林業振興課長 主伐推進の取組としましては、主伐を行う事業者に対し搬出経費を一部助成するとともに、主伐後の植栽や、植栽した苗木を鹿被害から防ぐ施設の設置に係る経費を国の補助金に上乗せして助成をしております。これらの取組により、昨年の木材生産量は二十七万六千立方メートルとなり、事業開始前の平成二十五年に比べ七割増加しているところでございます。 192 ◯江藤秀之委員 主伐推進の取組により、木材生産量は順調に増加をしていることは分かりました。  一方で、木材価格は、昨今の世界的な木材不足、いわゆるウッドショックの影響によりまして一時的に高騰はしたようですが、地元の森林組合のおじちゃんたちからは、近年横ばいで推移しちょるけん、平成の初めから見たら半分以下に落ちちょうばいというような言葉もいただき、また、伐採した後の再造林については、多くの費用や人手がかかって大変だよということも言われております。  このような中で、森林所有者が少しでも多く収益を上げるために、林業の低コスト化を進めることが重要だと思います。そこで、県では、林業の低コスト化、効率化を図るため、どのような取組を行っているのでしょうか。 193 ◯佐伯林業振興課長 低コスト化の取組としましては、森林作業の集約化を図るとともに、生産基盤となる林道の整備に加えまして、作業道整備や高性能林業機械の導入を支援しております。また、伐採・搬出など一連の作業工程を効率化できる技術者の育成にも取り組んでおります。  伐採後の植栽につきましては、主伐と一連の作業とすることで、主伐に使用した機械を植栽の準備行為や苗木の運搬に利用でき、効率化が図られます。このため、主伐と植栽を一連の作業の導入に係る経費を一部助成しているところでございます。 194 ◯江藤秀之委員 今後とも作業の低コスト化、そして、効率化を進めて、森林所有者の収益性を高めながら木材生産量を増やしていただきたいと思っております。  最初の質問で、生産量は順調に増加していると答弁をいただきましたが、今後も生産量を伸ばしていくためには、需要の確保が必要だと考えます。戦後、先人たちの努力によって植林された人工林が大きく育ち、その多くが建築用材としての利用期を迎えております。この充実した資源を有効に活用して林業の成長産業化を実現するためには、まず、切って、植えて、育てて、また切る、このサイクルを回していくことが大変重要なわけであります。そのためには、何よりも切った木材を使うことが前提となってくると思います。  そこで、木材需要拡大の取組についてお伺いをいたします。県庁一階ロビーなどで木材が使われるようになったので、まずは公共建築物における取組内容とその成果についてお答えください。
    195 ◯佐伯林業振興課長 県では、平成二十三年度に策定しました公共建築物等における木材利用の促進に関する方針に基づきまして、県有施設の木造化、木質化などを積極的に進めてまいりました。昨年度は、戸畑高校弓道場の木造化や県庁地下食堂などの内装木質化に加え、市町村でも上毛町の放課後児童クラブ館や東峰村の宝珠山弓道場といった施設で木造・木質化が進んでおります。  この結果、昨年度の公共建築物における木材利用量は約九千七百立方メートルとなり、方針策定前の平成二十二年に比べ六割増加しているところでございます。 196 ◯江藤秀之委員 公共建築物での利用状況はある程度は分かりました。県や市町村が率先して施設の木造・木質化に取り組むことは、民間への波及効果が大きく、木造利用を進めていく上で大変重要な役割なので、引き続きしっかりと取り組んでいただければと思います。  次に、建築物の多くは民間で建てられます。民間建築物における木造利用拡大の取組についてお伺いをいたします。 197 ◯佐伯林業振興課長 民間建築物への取組としましては、木材のよさを生かしたモデル的な木造建築物を表彰するとともに、木造・木質化を検討する民間事業者に対しまして建築士をアドバイザーとして派遣し、木造建築に関する設計や工法など技術的な支援を行っております。  加えて、今年度は店舗やオフィスなどにおきまして、県産木材を利用し座席を対面式から横並びにするといった新型コロナ感染防止対策を行う事業者に対して、その経費を一部助成しているところでございます。 198 ◯江藤秀之委員 公共建築物だけでなく、民間建築物への木材利用拡大の取組を進めているとのことでした。  県内の建築物のうち木造で建てられている割合は、直近でどのようになっているのですか。住宅と住宅以外に分けてお答えいただきたいと思います。 199 ◯佐伯林業振興課長 昨年の建築着工統計調査によりますと、県内の木造率は延べ床面積で、住宅が五九%、住宅以外が七%となっております。 200 ◯江藤秀之委員 今お答えいただきました住宅については、六割が木材で建てられているようです。また、住宅以外は一割にも満たないということで、まだまだ低い水準ではないかと思います。これは、オフィスなどの中大規模の建築物において、その多くをコンクリートなどで建てているからではないでしょうか。  そこで、私は最近注目されておりますCLTにちょっと関心がありますので、クロス・ラミネーテッド・ティンバーですか、CLTについてちょっと質問させていただきたいと思います。  CLTは、集成材の一種で、木の板を繊維方向が直角に交わるように何層も張り合わせたパネルで、厚みがあり、強度も強く、コンクリートよりも軽いため、中高層の建築物における新たな建築資材として期待をされております。実際、横浜市では、CLTを活用した十一階建ての国内初純木造ビルが建築されている話を聞いています。また、二〇四一年には、住友林業が高さ三百五十メートル、地上七十階建ての木造超高層ビルを建設する構想を発表するなど、CLTなどの新たな建築資材の活用は木材利用の拡大に非常に有効であると考えております。  そこで、CLTの普及拡大に向け県ではどのように取り組んできたのか、また現在、県内にCLTを活用した建築物は何棟あるんですか、併せてお答えください。 201 ◯佐伯林業振興課長 県では、建築士や市町村の営繕担当者などを対象に、CLTの専門家による講習会や県内にあるCLTを活用した建築物の構造見学会を開催してきたところでございます。また、毎年、県が開催しております木造建築に関するフォーラムにおきまして、県内のCLTを建てられた事業者から具体的な設計・施工の事例発表をしていただいております。  CLTを活用した県内の建築物は、平成二十九年に初めて建てられ、今年三月末現在、十四棟まで増加してきております。 202 ◯江藤秀之委員 県内では十四棟が建設されているとのことです。まだまだ活用できる建築物は多くあるのではないかなと思います。  木材需要は、今後、人口減少が見込まれる中、住宅での伸びが期待できませんので、CLTなど新たな技術を活用し、非住宅部門分野での利用拡大を図るべきだと考えます。私は、林活議連の九州連絡会議の会長も務めておりますので、昨年、国に対し、公共建築物、非住宅、中高層建築物等への木材利用、CLT建築の本格的普及、木質耐火部材などの新たな技術の開発など、需要拡大を図るよう要望活動を行ってまいりました。また、さきの通常国会においては、公共建築物等木材利用促進法が改正され、公共建築物のみならず民間のものも含めて、これまで以上に建築物への木材利用を促進することとなりました。  県においては、現在、次期総合計画や農林水産振興基本計画を策定中であると思いますので、私は、法律の改正も踏まえまして非住宅分野での木材利用の拡大を次期計画にしっかりと掲げた上で、県産木材のさらなる利用拡大に向けて積極的に施策を展開すべきだと思っております。  そこで、最後になりますが、部長、県産木材のさらなる利用拡大に向けて新たな決意をお願いしたいと思います。 203 ◯井上博隆副委員長 重吉農林水産部長。 204 ◯重吉農林水産部長 まず、江藤委員におかれましては、林活議連の会長といたしまして本県林業の振興に御支援、御尽力をいただきまして深く感謝申し上げる次第でございます。  県産木材のさらなる利用拡大について御質問がございました。本県におきましては、利用期を迎えた森林資源を循環利用することが課題でありまして、そのためには、木材の供給力の強化と併せて需要拡大を進めていくことが重要でございます。委員御指摘のとおり、住宅市場の需要が今後縮小していくことが見込まれる中、これまで木材があまり使われてこなかった住宅分野以外での利用をさらに拡大していくことが必要であると認識しております。本年三月には、県内初となるCLTを活用した純木造三階建ての事務所が那珂川市に建築されるなど、新たな木材利用の動きも出てきております。今後、木造ビルなどの新たな需要を獲得し、県産木材のさらなる利用の拡大にしっかりと取り組んでまいります。 205 ◯江藤秀之委員 今、部長から答弁いただきました。しっかりした答弁だったと思いますので、我々議連としてもしっかり後押しをしながら県産木材の需要拡大を目指して頑張りたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手) 206 ◯井上博隆副委員長 ほかに質疑はありませんか。中村香月委員。 207 ◯中村香月委員 民主県政クラブ県議団の中村香月です。  豪雨災害による農業保険制度の充実と農業継続支援について質問させていただきます。  今回の豪雨災害を入れて、本県はこれで五年連続です。特に、筑後川流域で毎年深刻な被害が出ています。私の地元、久留米市も、四年連続で内水氾濫をはじめ、浸水、冠水被害により甚大な農作物被害が発生し、農家の営農意欲がそがれつつあります。  まず、その中で園芸品目の県域での被害状況と被害額を御説明ください。 208 ◯井上博隆副委員長 久保田園芸振興課長。 209 ◯久保田園芸振興課長 久留米市、うきは市、小郡市、こういったところを中心にいたしまして、ハウス施設の冠水によります野菜や花の汚損、腐敗、また、果樹園地の浸水によります果実の腐敗、こういった被害が発生しておりまして、九月七日時点で、被害面積は約四百ヘクタール、その被害金額は約十五億円となっております。 210 ◯中村香月委員 園芸品目の被害金額は約十五億円とのことでしたが、今回の豪雨は果樹にも多くの被害が出ているようです。私の地元で多く生産されているブドウはおおむね五月上旬に受粉期を迎えますが、今年は異例の早期入梅であったため、ブドウ農家が恐れているふるって、たんという状態に陥りました。これは、花ぶるいを起こし単為結果の状態になってしまった結果、ふぞろいの房が多く発生したというものです。そして、八月十一日から災害を伴う今年二度目の梅雨入りです。ブドウは水分の過剰摂取により玉割れを起こしました。旬を迎えていたブドウの王様、巨峰は、五月と八月の異常気象による豪雨で例年出来高の二、三割という現実にあえいでいるそうです。  これは、主に観光ブドウ狩りを手がけ、露地栽培が主流となっているJAにじ管内などに顕著に見られるようですが、今回のブドウをはじめ果樹の被害状況と被害額をお聞かせください。 211 ◯久保田園芸振興課長 久留米市、うきは市、柳川市、こういった市町でブドウ園地の浸水や水分過剰によります果実の裂果、また、イチジク園地の冠水、こういったことによります果実の腐敗、このような被害が発生しております。  これも九月七日時点ということになりますけれども、その被害面積は約百七十ヘクタール、被害金額は約三億円となっておりまして、そのほとんどがブドウの被害となっております。 212 ◯中村香月委員 実は、ブドウや果樹にとって豪雨という水分過多の状況は、単年だけの被害にとどまりません。来年の栽培にも影響を与え続けます。根腐れを起こし樹勢が弱まると、葉をふるい、来年に向けた養分の蓄積はできなくなります。加えてべと病をはじめ様々な病気が誘発されます。水分過多は来年不作の大きなシグナルでもあります。  九月議会では、大雨災害の復旧復興対策の予算が追加提案され、先日議決されました。今回の対策では、次期作に向けた野菜、花卉の種苗や土壌改良資材の購入等を支援する内容が組み込まれていますが、被災したブドウなどの果樹農家に対してはどのような支援内容があるのか、また、どのように進めるのか、お尋ねいたします。 213 ◯久保田園芸振興課長 県では、ブドウ生産者をはじめといたしました果樹生産者への支援内容といたしまして、今回被災した果樹樹体の回復に必要な肥料や、病気の蔓延防止のための追加防除に必要な農薬、こうした農業資材の購入経費の二分の一を助成することとしております。さらに、三年連続で被災している生産者の方に対しましては、この補助率を二分の一から十分の八にかさ上げて助成することとしております。  こうした対策につきましては、県のホームページに加えまして、市、JAを通じて被災した生産者に対し周知いたしますとともに、一日も早く被災した果樹の樹勢が回復できるよう、事業計画の承認前に購入いたしました肥料、農薬も助成の対象とすべく、市町村と連携して進めることとしております。こうした取組によりまして、被災した果樹生産者の営農継続をしっかり支援してまいります。 214 ◯中村香月委員 被災した野菜農家の最初の私への要請は、十年後に完成する立派な堤防づくりも大事だが、これで四年連続被災した農家の今日明日の暮らしをもっと真剣に考えてほしいというものでした。  私は、最終的には、営農の再開も継続も、生活や再生産のための収入が保障されて初めて成立する営みだと思います。五年連続で豪雨災害に遭っている本県では、収入保険制度はさらに重要になってくると思います。  そこで、団体指導課長にお伺いします。現在の収入保険の加入状況をお答えください。 215 ◯井上博隆副委員長 宇都宮団体指導課長。 216 ◯宇都宮団体指導課長 収入保険の加入者は、八月一日現在、加入の要件でございます青色申告者で千六百八十六経営体となっておりまして、加入率は約一六%でございます。 217 ◯中村香月委員 知事も先日の代表質問において答弁しておられましたが、私も同様に、五年連続で被災している本県で加入率が一六%というのはとても低い数字であると感じます。一般的に、加入割合が低い理由として、保険料が高いなどがあります。今回被害が大きかった久留米地域の葉物野菜は農業共済の対象外品目ですし、被害調査に出かけた数軒の野菜農家の視察先の誰もが収入保険の保険料が高いというイメージを持っていて、加入をされてはいませんでした。  しかし、実際は、保険料等の支払いに分割が認められていたり、市町村によっては農業者の保険料等の負担軽減措置が図られています。また、収入保険制度は積立て方式の七五%が国庫補助されていることなど、有利な条件設定です。しかし、未加入の農業者はそのことを知らなかったり、手続がややこしいなどの先入観があるようです。  このような状況の中で県はこれまでどのような取組をしてきたか、お聞かせください。 218 ◯宇都宮団体指導課長 県では、これまで制度の実施主体であります農業共済組合と連携いたしまして、農協の生産部会や農業者の集まりなどにおいて、保険料等の支払い方法や国の補助制度の内容につきまして周知してまいりました。  農業者からは、平均収入の最大八一%が補填されるが保険料が高い、事務手続を簡素化してほしいといった声を寄せられておりまして、県といたしましては、国に対しまして農業者の視点に立った制度の見直しを要望してまいりました。国におきましては、補填率を低く設定する代わりに保険料を安く抑えるメニューの追加や、提出書類の削減による簡素化が図られてきたところでございます。  さらに、今回の災害を踏まえまして、集団加入による保険料等の割引制度の導入や、掛け捨て部分に係る保険料の国庫負担割合の引上げなど、生産者の加入しやすい制度となるよう、国に要望したところでございます。 219 ◯中村香月委員 これまで国に対して要望や、農業共済組合と連携し制度の内容について周知してきたとのことでした。しかし、先日の八月九日、国連の気候変動に関する政府間パネルが発表した最新の報告書において、地球温暖化は人間の影響であると断定しました。そして、激しい熱波、激しい降水、干ばつにとどまらず、熱帯低気圧の巨大化などに人為的な気候変動が認められるとしています。たとえ温室効果ガスの排出を減らしたとしても、地球温暖化はすぐには止まらず、スケールアップしている自然災害が起こる確率はさらに高まるということのようです。災害はいつどこで発生するか分かりません。ただいま議論いたしました収入保険制度への加入は、この地球温暖化時代にますます重要な制度でしょう。  福岡県の被災農家の収入を保障し、農業の再生産活動が行われるためには、収入保険制度への加入を促進していくべきと考えます。しかし、手続がややこしいという先入観や有利な条件設定を知らない農家に対し、従来と同じ取組をしていては加入率は増加しないのではないでしょうか。  そこで最後に、今後、県はどのように加入を促進していくおつもりでしょうか、お伺いいたします。 220 ◯宇都宮団体指導課長 県といたしましては、コロナ禍で先行きが見通せない状況の中で、今後も災害がいつどこで発生するか分からず、県内全域で収入保険制度の加入を進めていくことが重要であると考えております。今回、農業者の方が来期の収入保険に加入する際の保険料の一部を県が助成するための必要な予算を本議会で承認いただきました。今後、加入を推進するに当たりましては、対象となる全ての農業者に対しまして、これまでの制度の周知と併せまして県の支援策を丁寧に説明してまいります。また、県が指導いたしまして、農業共済組合とともに生産部会等への説明会や個別相談会を行い、収入保険への加入促進に積極的に取り組んでまいります。こうした取組によりまして、農業者の方が今後の災害等による農業経営の損失に備えられるよう、収入保険制度への加入を一層推進してまいります。 221 ◯中村香月委員 団体指導課長から、今後、県主体で加入促進を実施していくとの力強い決意をお聞かせいただきました。本県が被る自然災害や温暖化などの影響による収入減少を広く保障し、農業再生産意欲を低下させないよう、引き続きしっかりと取り組んでいただくようお願いし、質疑を終わります。(拍手) 222 ◯井上博隆副委員長 ほかに質疑はありませんか。小河誠嗣委員。 223 ◯小河誠嗣委員 緑友会の小河でございます。通告に従いまして、本県の果樹の一大産地でありますうきは地域の果樹生産振興について質問させていただきたいと思います。  御存じのように、私の地元うきは地域は、柿、梨、ブドウ、桃などの農家の皆さんの努力で、多種多様な果樹を生産するとともに、県内生産量で大きなシェアを誇っておるところでございます。近年では、果樹ではありませんが、トマトの栽培にも、JAにじ、うきは市と連携し、新規就農者の確保にも努め、トマトの産地としての取組にも力を入れているところであります。  そこでまず、執行部に果物の消費動向資料をお願いいたしておりますので、委員長、お取り計らいをお願いしたいと思います。 224 ◯井上博隆副委員長 お諮りいたします。  ただいま小河委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。      〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕 225 ◯井上博隆副委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。  執行部に申し上げます。ただいま小河委員から要求がありました資料については提出できますか。久保田園芸振興課長。 226 ◯久保田園芸振興課長 直ちに提出いたします。 227 ◯井上博隆副委員長 資料を正副委員長に確認させてください。      〔資料確認〕 228 ◯井上博隆副委員長 事務局は資料を配付してください。      〔資料配付〕 229 ◯井上博隆副委員長 資料が配付されましたので、小河委員、質疑を行ってください。 230 ◯小河誠嗣委員 それでは、資料の説明をお願いしたいと思います。 231 ◯久保田園芸振興課長 それでは、今、お手元にお配りいたしました資料です。  まず、一番上のグラフを御覧いただきたいと思います。国民の果実の一日当たり摂取量につきましては、国の国民健康栄養調査によりますと、平成十九年から二十一年の三年間の平均摂取量が一日当たり百十四グラムでありましたものが、平成二十九年から令和元年の平均摂取量は九十九グラムにとどまっております。また、これを世代別に見ますと、どの世代におきましても摂取量は減少しておりまして、特に二十代から四十歳代で摂取量が少ない状況でございます。  次に、中ほどのグラフを御覧ください。生鮮果実の一人当たりの年間購入数量は、国の家計調査によりますと、平成十年は三十一キログラムでございましたが、令和元年は二十四・二キログラムということで、約二〇%減少しております。  最後に一番下のグラフを御覧ください。果実の需要量でございますが、国の推計によりますと、国産果実に比べて輸入果実の割合が高い状況が続いております。 232 ◯小河誠嗣委員 若い世代の摂取量や購入数量が減少しているという結果でありますが、その要因と今後の需要についてどう考えておられるのか、お伺いしたいと思います。 233 ◯久保田園芸振興課長 中央果実協会が実施いたしましたアンケートによりますと、摂取量や購入数量、こういったものの減少要因といたしましては、値段が高い、日持ちがせず買い置きができない、皮をむく手間がかかる、こういったものが挙げられております。また、果実はデザートとしての認識が強く、消費者が購入を検討する場合、より安価で手軽に飲食できる菓子類や清涼飲料、こういったものと競合いたしますことから、購入数量は減少傾向にあると考えております。  しかしながら、四割の方が、今後、果実の摂取量を増やしたいと考えておられまして、そのためには簡単に食べられるカットフルーツや、皮ごと食べられる、また、健康や美容によいといった果実なら購入したいとの意見が多い結果でありました。一方、確かなおいしさ、直売などで新鮮、こういった要素が必要という意見がございますことから、国産果実に対しても潜在的な需要ニーズはあると考えております。 234 ◯小河誠嗣委員 今の説明では、国内果物の人気は一定程度あると認識しておりますけど、これ以上、果物の摂取量を減少させない取組が重要であるのではないかと思っております。  最近国民からの人気が高く、大きな話題となっております瀬戸内レモンについて御存じでしょうか。国内で流通するレモンの多くは海外産で占められておりますが、こうした状況の中で瀬戸内レモンは加工の分野において一躍全国で人気を博し、現在では、若い生産者が父や祖父から受け継いだレモンの栽培に積極的に取り組んでいるそうです。私の地元でも、産地の存続、さらには拡大に向け、若き農業者たちが毎日汗をかいている姿も見られます。瀬戸内レモンのような古くから生産されているものが国内全体に認知された理由は、行政、JA、地元が大きな目標の下に地域一丸となって取り組んできたに違いありません。これこそブランド化の成功事例だと考えております。戦略一つでまだまだ国産果物の消費量を拡大する余地は十分にあると思います。  そこで、本県において果物のブランド化をどのように進めているのか、お伺いしたいと思います。 235 ◯久保田園芸振興課長 県では、県産果実のブランド化を進めるために、第一に、早味かん、とよみつひめといった県独自品種の開発、第二に、品質を高め安定的に生産供給するための技術指導や省力機械施設の整備、第三に、消費者の認知度を高めるための販売促進活動の三つの段階で取り組んでいるところでございます。  中でも、販売促進活動につきましては、農業団体と県で構成いたします福岡県農林水産物ブランド化推進協議会におきまして、トップセールスや量販店での試食宣伝、各種イベントでのPRを実施しているところであります。 236 ◯小河誠嗣委員 ぜひとも全国様々な事例を参考にしまして、果物の需要拡大に努めてもらいたいと思っております。  県として、販売促進活動により消費者に対する本県の果実の認知度を向上させる努力をされていることは分かりました。しかし、先ほど提出された資料にありますように、一人当たりの果物の摂取量は、十年前と比較して全世代で減少しております。将来の需要を考えますと、小中学生の時代から果物に対するよい意識を持ち、たくさん食べてもらうことが重要だと考えています。  このことから、児童生徒に対する食育など、早い段階から果物を食べる食習慣の醸成が必要と考えますが、いかがお考えでしょうか。 237 ◯井上博隆副委員長 浦食の安全・地産地消課長。 238 ◯浦食の安全・地産地消課長 県では、食育の一環として、小中学校と協力して調理実習で県産の柿の皮むきを体験させる取組を実施しております。柿の皮むき体験をした児童生徒からは、初めて福岡県が柿の産地と知った、栄養を多く含んでいるので頑張って食べたい、また、家の人にまた柿を買ってもらって皮むきし、家族に柿のおいしさを伝えたいなどの声が聞かれました。また、野菜ソムリエなどを講師として小中学校に派遣する食育出前講座や、若い世代を対象とした県産果実などを使った料理講座を実施しております。  このような取組により、小中学生の頃から県産果実のおいしさに親しんでもらい、将来の消費につなげることが重要であると考えております。 239 ◯小河誠嗣委員 今、答弁いただいた取組につきましては継続することが大事ではないかなと思っておりますので、今後とも引き続き実施をお願いしたいと思います。  ところで、先月二十七日の新聞記事において、西日本の道の駅で販売する冷たいスイーツの人気投票で、筑後地域のみやま、くるめ、たちばなが一位から三位を独占しております。私の地元のうきはも七位に入ったという記事を見ました。  スイーツ部門は、若者を中心に大きな需要が見込まれる部門であります。そこで、果物の消費拡大のため、果物そのものを販売するだけでなく、事業者と連携して果物を使ったスイーツとして提供するなど、もっと若者が果物を手に取りやすいような取組も重要ではないかと考えています。県では、果物の消費拡大のため事業者と連携してどのような取組を行っているのか、お聞きしたいと思います。 240 ◯井上博隆副委員長 吉田福岡の食販売促進課長。 241 ◯吉田福岡の食販売促進課長 県では、外食事業者等が県産農林水産物を使った福岡フェアを開催していただく際の支援を積極的に行っており、これまで全国展開している複数の高級洋菓子店であまおうや秋王、とよみつひめなどを使ったスイーツを提供していただき、大変好評を得ております。また、昨年度、首都圏、関西圏を中心に、百九事業者四百八十八店舗でフェアを開催していただきましたが、多くの外食事業者において県産果物を使ったデザートを提供いただくなど、県産果物も含め県産農林水産物の認知度向上、販売促進を行っているところです。  今後とも、身近に果物を感じていただけるよう、外食事業者や卸業者、量販店などへの販売促進を進めていくとともに、これまで以上に県産果物の特徴やおいしさなどを伝えてまいりたいと考えております。 242 ◯小河誠嗣委員 生鮮果物の販売も重要ですが、加工品としての需要が増えることは、産地にとっても大変喜ばしいことであります。今後とも消費拡大の取組をしっかりお願いしたいと思います。  今まで消費者目線での質問を行ってきたところでございますが、これからは産地の抱える問題を質問させていただきたいと思います。  まず一点目は、うきは地域におけるブドウの主流であります巨峰の不作の問題であります。これにつきましては先ほど中村委員からもお話があったかと思いますが、若干かぶることをお許しいただきたいと思います。  まず、県としてはこの問題をどのように認識をされているのか、お伺いしたいと思います。 243 ◯久保田園芸振興課長 本県は栽培面積が全国六位を誇るブドウの産地です。中でもうきは地域は県内の栽培面積の二割を占めておりまして、巨峰が栽培面積の九割を占める、こうした産地でございます。  そのうきは地域では、ブドウ栽培の七割を露地で栽培されておられまして、ハウスやトンネル栽培に比べますと開花期の天候不良によります結実不足、梅雨の長期化による病気の蔓延、高温による果実の着色不良、こうした問題が発生しやすく、収量が不安定になりやすい、このように認識しております。
    244 ◯小河誠嗣委員 うきは地域は、古くから、先ほど申しましたように巨峰の生産に地域全体で取り組んでいるところでございます。御存じのように巨峰は、JAにじ管内の田主丸で、昭和三十二年頃に越智通重先生の御尽力により発祥の地として一大産地となりました。その後、全国に植栽され、広がった品種でもあります。この結果、巨峰は全国的にも大きな支持を得てきたところでございます。  しかしながら、近年の不作により、うきは地域の巨峰ブドウの産地存続が難しくなっていると生産者が危惧しているところでございます。冒頭お話をいたしましたが、新たな担い手も少しずつは育ってきている状況の中、この問題は一刻も早く解決すべきと考えております。県としてこの問題を解決すべき策をお考えなのか、お伺いしたいと思います。 245 ◯久保田園芸振興課長 県といたしましては、ブドウの収量向上のために、降雨による病気の蔓延を軽減いたしますハウスやトンネル栽培、こうした施設の導入に必要な経費を助成いたしますとともに、結実が安定いたします種なし栽培の普及に向けた技術の指導を行っているところでございます。 246 ◯小河誠嗣委員 私は、近年の気候変動を踏まえ、消費者ニーズに応えるブドウ品種をこの地域に導入していただくことが肝要であると思っております。いかがでしょうか。果物は、植え替えから本格的な生産まで長い月日や年月が必要でございます。長期の計画を立て、新たな品種の導入を期待をしているところでございます。この際、ぜひとも県のお力添えが必要と思います。農家の声を真摯に受け止めていただき、県としてどう考えておられますでしょうか、お考えをお聞かせください。 247 ◯久保田園芸振興課長 委員御指摘のとおり、気候変動に強く、さらには生産しやすい品種を導入していくことが、産地の存続、振興に重要だと考えております。こうしたことから、県では現在、国が開発し全国的に導入を進めようとしているブドウについて、現在、調査・検討をしているところでございます。 248 ◯小河誠嗣委員 今後とも、中村委員も同じだと思いますけど、巨峰の問題につきましては私も注意してまいりたいと思いますので、よろしく御指導をお願いしたいと思います。  それから、最後の質問に入りたいと思います。  先ほどから申しますように、うきは地域は果物の産地でありますが、選果場、パッケージセンターの問題がございます。果物に加え、先ほど申しましたように、現在はトマトの選果もパッケージセンターで行っているところでございます。開設当初は、トマト以外の果物の選果場として運用を始めたところでありますが、今では、トマト生産が始まったことから、年間を通じて稼働している状況でございます。  選果場のおかげで、農家の選果、選別作業の負担の解消、さらには消費者に安心安全な果物を届けることができています。市場でもばらつきのない果物として、うきはの果物は人気があります。しかしながら、近年、選果場の作業員不足、販売先から求められる様々な商品規格、値付けの対応、トレーサビリティーの体制強化といった課題が生じている中、今後、新たな選果、パッケージシステムの整備が必要となってきます。このことを県はどのように認識をされているのか、お尋ねをしたいと思います。 249 ◯久保田園芸振興課長 選果場やパッケージセンターは、高品質な果実の選別や消費者が求める商品規格、包装に対応するために必要でありまして、競争力のある産地として確立していくための重要な施設であると考えております。そのため、高精度な品質分析センサーを備えた選果機など、機能の向上につながります新たな施設の整備に当たりましては、引き続き国の事業などを活用しながら支援してまいります。 250 ◯小河誠嗣委員 選果場やパッケージセンターは、今後とも産地育成や存続のために重要な施設でございます。県のリーダーシップに大きな期待をかけているところでございます。  最後になりますが、果物産地うきは地域の振興のため、部長の強い思いをお聞かせいただきたいと思います。 251 ◯井上博隆副委員長 重吉農林水産部長。 252 ◯重吉農林水産部長 園芸農業は、県農業産出額の約六割を占めまして、その一翼を担うミカン、梨、ブドウに代表される果樹は、本県農業を代表する重要な柱となっているところでございます。これまでも、本県の農林業総合試験場で開発しました極わせ品種の早味かんなどの普及拡大、販売促進を行うなど、果樹農家の所得確保に努めてきたところでございます。  県としましては、各産地の現状を踏まえまして、本県の果樹産地がより競争力を発揮できるよう、食育や販売促進、さらには施設整備といった、様々な角度から対策を講じてまいります。 253 ◯小河誠嗣委員 部長から力強い決意をいただきました。フルーツ王国としてうきは地域が今後とも産地として継続し、農家の方が明るい未来ある農業、魅力ある農業になるよう、農家、産地の方々に寄り添った農政を期待いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 254 ◯井上博隆副委員長 ほかに質疑はありませんか。高瀬菜穂子委員。 255 ◯高瀬菜穂子委員 日本共産党の高瀬菜穂子でございます。  飯塚市白旗山のメガソーラー林地開発について質問いたします。これまで、私、何度もこの問題を取り上げてきましたが、現在行われているアサヒ飯塚メガソーラーによる林地開発は、これまでにも増して危険で深刻な事態になっておりますので、再度取り上げるものです。  飯塚市の白旗山では、複数の事業者によるメガソーラー設置のための三十四ヘクタールの林地開発が進められており、そのうちの一つ、アサヒ飯塚メガソーラーは、二〇一六年三月三十一日に一条工務店が林地開発許可を受けた事業を、二〇一八年六月二十七日に林地開発行為者地位継承届を県に提出して事業を受け継ぎました。A調整池、B調整池、二つの調整池を含む防災施設を本工事に先行して行うことが条件であります。  アサヒ飯塚メガソーラー、以下アサヒと申し上げますが、この開発区域内で重大な事故が三件も起こっています。昨年九月二十一日にB調整池東側斜面で落石が発生、住宅のすぐ手前まで迫りました。その直後、同年十月には、今度はA調整池の造成中にそののり面三百九十立米が大崩落を起こし、現在もそのままになっています。そして、今年五月二十日には、昨年落石が起きた現場のすぐそばで、僅かな雨によって造成地ののり面が崩落し、土砂が流出する災害が発生しました。  住民の生命に関わる重大な問題です。一連の事故に対してどのように認識しておられますか。 256 ◯井上博隆副委員長 因農村森林整備課長。 257 ◯因農村森林整備課長 昨年九月二十一日のB調整池東側斜面の落石の件につきましては、造成地ののり面から落石が発生いたしまして、事業者が設置した柵で止まったものでございます。一方、A調整池ののり面の件につきましては、調整池の造成中に上部ののり面が崩落し、調整池内に土砂が流れ込んだものでございます。また、本年五月の二十日の件につきましては、降雨により工事中であった水路から土砂や濁水が事業区域外に流出したものでございます。これら三件とも施工手順の誤りなど事業者の不注意によるものでありまして、未然に防げたものであると考えております。 258 ◯高瀬菜穂子委員 業者の対応は適正ではなかったということだと思います。では県の指導はどうだったのでしょうか。  防災施設について伺います。林地開発においては、まず防災施設を設置し、その後に造成工事に着手することとなっております。昨年九月二十一日に落石事故が起きたB調整池流域内の現場は、既に森林を伐採し、盛土され、パネルを張り出していたと聞いています。この時点でB調整池等の防災施設は完成していたのですか。 259 ◯因農村森林整備課長 県では、昨年の八月の七日でございますが、B調整池の完了と防災機能が発揮できる状況にあることを確認いたしております。 260 ◯高瀬菜穂子委員 防災機能が発揮できる状況とはどういうことでしょうか。防災施設は完成していたのかどうかを聞いております。お答えください。 261 ◯因農村森林整備課長 B調整池は完成をしておりましたが、これに導水するための水路については一部工事中でございました。この工事中の過程につきましては、工事用道路に使用するため、その間、仮設の水路を設けていたものでございます。今回の完了確認では、こうした仮設の水路も含めまして調整池に導水する措置が取られていることで、防災機能が発揮できる状況になっていることを確認しているものでございます。 262 ◯高瀬菜穂子委員 防災施設が完成したわけではないということですよね。それでも防災機能が発揮できると言っていますが、それならなぜこのような事故が二回も起きたんですか。不備があったのではありませんか。 263 ◯因農村森林整備課長 B調整池で発生した落石につきましては、重機により仮設道路を造る際、誤って石を落下させたものでございます。また、事業区域外への土砂等の流出につきましては、降雨前に、防災施設である仮設の水路に周辺から土砂が流れ込まないよう、土のうの設置などの措置が十分に行われていなかったものであります。いずれの件につきましても、施工手順の誤りなど事業者の不注意でございまして、防災施設に不備があったものではございません。 264 ◯高瀬菜穂子委員 事業者の不注意で、防災施設に不備はなかった。そうでしょうか。水路も含めて防災施設でしょう。今年六月の立川議員に対する知事答弁でも、防災施設とは二か所の調整池とこれに導水するための水路と説明されています、知事が。そして、アサヒ自身がてんまつ書で水路がつながっていなかったと書いています。防災施設が完成していない、それなのに、防災機能が確保されたと、いわばごまかして本体工事パネル設置を認めたわけですよ。県の責任は重大です。  本年の飯塚市九月議会において、市の経済部長は質問に答え、このように言っています。福岡県に対しましては、住民の十二分な安全安心や森林法第十条の二に規定する災害などのおそれに対する最大限の対策措置を講じるよう指導と責任の全うをお願いしておりましたが、昨年九月の落石事故や本年五月の大雨に伴う開発地からの土砂流出などが発生しており、残念ながら住民の不安は払拭されず、不安が募るままとなっております。こう答えておられるんです。県の指導監督が厳しく問われていると思います。  防災施設と関連しますが、樹木の伐採について伺います。B調整池流域の事故現場は、樹木を伐採して丸裸にされた上に盛土がされたと住民の皆さんは言っておられます。住宅地のすぐそばで、近隣住民は大変不安に思われていました。結果としてこの盛土が崩落したわけですが、この盛土は開発を許可した当初から計画にあったものでしょうか。 265 ◯因農村森林整備課長 御指摘の二つの現場につきましては、切土によりましてのり面整形を行っているところでございまして、盛土ではございません。当該箇所につきましては、当初からの計画どおり、のり面整形後に植栽をすることとしております。 266 ◯高瀬菜穂子委員 切土なのに落石や崩落が起こったということでしょうか。防災機能を確保したのに崩れた。のり面整形という名の盛土ではないのですか。  ここに持ってまいりましたが、昨年一月六日に県が注意喚起の指導文書をアサヒに手渡した際に協議した内容が書かれた報告書があります。これによるとアサヒは、平面図における伐採範囲は当初の計画として取りあえず入れたもので、B調整池完成までに拡大等も含めて変わるものであると主張しているんですよね。これに対し県は、なぜ最初に適切な図面を提出しなかったのかと指摘をし、言った言わないの水かけ論になったと書かれています。業者の言い分はひどいと思います。県は真っ当だと思うんですが、ところが、結局県は、今後適宜協議を行い、現行進行を図るよう指導したと書かれているんですね。  アサヒは、仮調整池の施工に伴い発生した土砂の置場を確保するためとして、住宅地に隣接した区域と北側区域を伐採し、土砂置場を確保したいと要求しています。その中でね。県は、北側区域については明確に認めていませんが、住宅地隣接区域については協議すると、事実上これを認めているのではありませんか。協議という名の下に要求に応じているのではありませんか。住宅地に隣接した区域の伐採を認め、そして崩落につながったのではないか、疑念を持ちます。  県は、何度も事故を起こしてんまつ書を提出するこの業者を指導に従っていると言うのですが、そうでしょうか。  今年五月二十日のB調整池東側の土砂崩れ、土砂崩落に対して、県は五月二十四日に指導文書を出し、アサヒは、同日、てんまつ書で、今後このようなことが起こらないように対処してまいりますと反省の弁を述べています。しかし、一か月後の六月二十一日付で、県はまたしても指導文書を出すに至っています。これについての説明を求めます。 267 ◯因農村森林整備課長 本年五月二十四日付で県から発出させていただきました指導文書でございますが、五月二十日に降雨により場外へ土砂等の流出が起こったことに対しまして、正しい応急措置などを講ずるよう指導したものでございまして、その後、事業者が適正に応急措置を実施したことを確認しております。  また、本年六月二十一日の指導文書につきましては、A調整池ですね、先ほどからちょっとお話が出ておりますが、この貯水容量の確保を待たず事業者が一部パネル用の支柱を設置したという状況でございますが、これは、防災工事に先行して本体工事を施工したということを六月四日に確認をいたしましたため、発出をしたものでございます。これを受け、事業者は防災工事以外の工事を中止いたしまして、防災工事を早期完成させるといったてんまつ書を提出しておりまして、県ではこのてんまつ書どおり実施されたことを確認しております。      〔正副委員長交代〕 268 ◯高瀬菜穂子委員 指導に従ったということを強調されたんですけれども、ここでパネルを見ていただきたいと思います。  これはB調整池ですね。見えるでしょうか。B調整池が五月二十日に崩落をしまして、今もずっとこの青シートがかぶせられたままなんですよね。二十日に崩落して、二十四日に指導文書を出し、同日、てんまつ書も出された。今後、このようなことは起こしませんと反省の弁を述べられた。その僅か一週間後ですよ。  こちらはA調整池であります。今、お話がありましたように、六月四日に県は確認していますけれども、五月二十四日にてんまつ書を出して、そしてその一週間後の五月三十一日に飯塚市が、去年壊れた調整池の上にくいが打たれているのを見つけ、これを県のほうに通報されたんですね。それを受けて県は六月四日に確認をして、そして指導文書を出されました。調整池ができていない、そして、施設もできていない、そして、機能もないということで、それなのに本体工事のくいを打ったということで、ここで指導されたということになっているんですよ。もうしませんと言っておいて一週間後にね。別の調整池だといっても、これは本当に同じ区域ですから。同じ区域でこういうことをやる。B調整池で指導を受けた直後に今度はA調整池側で、防災施設ができていない、防災機能も確保されていないのにくいを打ち、本体工事を始めた。どこが指導に従っているんでしょうか。同じ事業者による同じ開発区域内での行為です。非常に悪質だと思います。  さらに問題なのが、その後の県の対応です。この後、七月三十日に県は飯塚市を伴ってA調整池を確認し、完成を認め、本体工事への着工を許可しています。もう一度見ていただきたいんですが、この写真は八月十六日のものです。つまり県が、調整池は完成していないけれどもということで、本体工事への着工を許可した後なんですよね。A調整池は、このようにのり面が大規模に崩落をしたままであります。この状態のまま、この上にどんどんソーラーパネルが張られていくわけですよ。崩落した箇所は水路が寸断されているのが分かります。これでA調整池は完成したと言えるんでしょうか。 269 ◯因農村森林整備課長 委員御指摘の箇所でございますけれども、調整池の外の上部のり面でございますが、それが昨年の秋に崩落をしたところであり、調整池の機能に影響を及ぼさない箇所でございます。そのパネルのちょっと下のほうに調整池があるという形になっております。写真のですね。県では調整池の機能が発揮されている状況であることを現地で確認をしております。なお、当該崩落箇所でございますけれども、現在、事業者のほうで復旧工事を進めているところでございます。 270 ◯高瀬菜穂子委員 またしても、防災施設は完成していない、しかし、防災機能が発揮されている、だから、本体工事、パネル設置もやってよいというわけですよね。これで本当にいいんでしょうか。B調整池ではそう言って二度も事故が起きているではありませんか。  以上の経緯を見ても、A調整池、B調整池をめぐって文書による行政指導が繰り返されていることが分かります。重大事故を起こしても、反省していると述べ、その舌の根も乾かぬうちにまた違法行為を繰り返す。非常に悪質です。  県はこれまで、アサヒは指導に従っているから許可条件違反ではない、監督処分、許可取消しの対象にならないと繰り返してきました。しかし一方で、行政指導を継続しても効果が少ないと見込まれる悪質な違反行為に対しては、違反行為が継続することにより森林の有する水源の涵養、災害の防止などの公的機能に支障を来し、さらには社会的不安の増大を招くといった可能性があることから、早急に監督処分を行うこととしているとも述べています。アサヒはまさにこれに当てはまるのではないでしょうか。指導に従っていないのは明らかだと思います。許可を取り消すべきだと考えますが、いかがですか。 271 ◯因農村森林整備課長 県では、林地開発に関しまして許可条件に違反する行為があった場合、福岡県林地開発行為許可事務取扱要領に基づく行政指導を活用しており、度重なる行政指導に従わない悪質な場合におきましては、森林法に基づく監督処分を行うこととしております。  今回の事業者につきましては、防災工事に先行してパネル支柱を設置した許可条件違反は一件、それ以外については施工手順の不備による指導三件でございます。いずれも現時点において、県の指導後はその指導に従っているところでございまして、森林法による監督処分には当たらないものと考えております。  今回の開発につきまして県としましては、引き続き開発行為が完了するまで随時現地調査を行うなど、森林法が遵守され、開発行為が許可どおり行われるよう、事業者を指導してまいります。また、住民の要望を事業者に伝えるとともに、事業者に対しては、土砂の流出を防ぐため緑化工事に早期着手するよう働きかけるなど、住民が安心できるよう努めてまいりたいと考えております。 272 ◯高瀬菜穂子委員 許可条件違反一件、指導三件、指導に従っていると言われるけれども、これほど危険な工事を進めている。度重なる行政指導に従わないと言えるのではありませんか。  この業者はまともに住民に説明しようともしません。県が許可した工程表とは違う裏工程表を作成し、住民に配布したりもしました。これに対して県は実に甘い指導をしてきたのではありませんか。当初の計画と違う伐採を要求しても、これらを協議と称して県は追認してきたのではありませんか。県の指導がアサヒの要求に合わせているとしか見えないじゃないですか。県のこうした姿勢が業者を野放しにし、違法行為を誘発していると思われてなりません。住民は、豪雨が発生すれば熱海の何倍もの被害になると本当に恐れています。  神戸市は、二〇一八年の西日本豪雨を受けて、翌年七月、太陽光発電施設の立地を規制する条例を施行しました。出力十キロワット以上の施設を新設する場合は市への届出を義務づけ、土砂災害警戒区域などは禁止区域に、勾配三十度以上の急傾斜地や住宅地、鉄道用地から五十メートル以内は許可制としています。山梨県では、本年十月、県土の八割を占める森林や地滑りのおそれがある傾斜地などで新設を許可制にする条例を施行します。  経産省によりますと、太陽光などの再生可能エネルギー施設の設置を抑制する条例数は、二〇一六年度は二十六件でしたが、二〇二〇年度には百三十四件と五倍に増え、全国の自治体の一割近くを占めるに至っています。本県もこうした自治体に学ぶべきではありませんか。事業者の横暴を追認していては住民の命は守れません。国も法令で土砂災害の危険性がある場所での新設を抑制する方向で検討に入りました。  アサヒは指導に従っているとは言えません。許可取消しを含めて厳正に対処すべきです。本県の監督行政が問われているということを申し上げまして、質問を終わります。(拍手) 273 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。西元健委員。 274 ◯西元 健委員 自民党県議団の西元でございます。  本日は、農業DXの推進に向けた取組を質問させていただきたいと思います。この問題は、私自身、非常にしっかりとやっていかなければならない、そして、県として推進していかなければならない問題だと思っております。古屋課長も今回初めて質問の答弁に立つということで、そこに座っている以上はプロですから、僕も豊前・築上郡の代表としてしっかりと厳しい質問をしていきたいと思っております。ただし、今回、豊前・築上郡単独の質問は一つもありませんので御安心をいただければと思います。それでは、質問いたします。  我が会派は、昨年九月の代表質問で、水田農業を維持していくためには、担い手を育成し、規模を拡大していく必要がある、それを実現するためには、担い手が飛躍的に生産性を高めていくため、スマート農業を積極的に活用していく必要があると指摘してきたところであります。今後は、水田農業に限らず、園芸農業や畜産においてもスマート農業が当たり前の時代がそう遠くない将来にやってくると考えることができます。  最近は、スマート農業やスマート農業機械といった言葉はかなり定着したようですが、まだまだ多くの農家が、その導入により大きく農業が変わったと実感するまでには至ってないと感じております。こうした中、DX、いわゆるデジタルトランスフォーメーションという言葉を最近は耳にすることが多いですが、これは、要は様々なデータを活用して農業を変革していくこと、そして、そのデータや販売方法を生産者自身で選択し、その中で取り組むことができるということだと思っております。そのためにはまず、スマート農業の機械の導入を進め、その能力を最大に活用することが重要であると考えます。  そこで初めに、本県でこうしたスマート機械がどの程度導入されているのか、県が把握している範囲で結構ですのでお答えください。 275 ◯吉松源昭委員長 古屋経営技術支援課長。 276 ◯古屋経営技術支援課長 令和二年度末で、水田農業部門では、直進アシスト機能などがついた田植機が七十二台、自動操舵システムなどがついたトラクターが五十九台、防除用ドローンが三十六台導入されています。  また、園芸部門では、ナスやイチゴといった施設園芸で温度や二酸化炭素濃度などが測定できる環境計測システムが二百三十三台、換気システムやかん水施設などが自動で制御できる環境制御システムが二百一台導入されています。  畜産部門では、牛の個体情報の管理や発情・分娩の監視ができる牛個体管理システムが十七台、自動給餌機が十六台、自動搾乳機が八台導入されております。 277 ◯西元 健委員 導入台数は分かりました。  こうしたスマート農業機械は一般的には、自動運転など機能が向上した一方、価格が通常の機械よりもかなり高いと聞いております。県の支援がないと導入がなかなかお金の面で進まないと思いますけども、どのような支援を行ってきたのか、お答えください。 278 ◯古屋経営技術支援課長 スマート農業推進事業などの県単独事業において、水田、園芸、畜産部門でのスマート農業機械の導入支援を行っております。また、コロナ禍での生産性向上を図るため、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した農業版DX推進事業においても導入を支援しているところでございます。 279 ◯西元 健委員 県も支援して導入が大分進んではきているんですけども、まだ一部の生産者の導入にとどまっている状態と考えることができます。実際、今の台数では、多くの農業者がスマート農業機械を目にすることもなく、どれだけ便利かとか、どれだけ活用できるのかとか、そういうことを理解することがまだ難しいのではないかと考えます。今後、導入を進めていくためには、まずは農業者にスマート農業の効果を理解していただくことが一番大切だと思いますけども、県としてどのような取組を今後行っていくのか、お答えください。 280 ◯古屋経営技術支援課長 普及指導センターが自動で農薬を散布するドローンの実演会や、牛の発情を検知する牛個体管理システムなどの活用事例について学ぶ研修会などを実施しておりまして、参加する農業者は、昨年度の二十二グループ三百二十八名から、今年度は三十三グループ九百七十名に増加しております。 281 ◯西元 健委員 県内各地で研修会とか実演会を行って、スマート農業、新しい農業の普及に向けて様々な取組を行っていただいていると思っております。  県内の先進的な事例、そういったものがあればお答えください。 282 ◯吉松源昭委員長 久保田園芸振興課長。 283 ◯久保田園芸振興課長 園芸部門におきましては、施設栽培のナスのグループ、三十六名でございますが、この方々がハウス内に温度や湿度、炭酸ガスの濃度といったデータを計測し記録いたします環境計測システムを導入してあります。これらデータと作業記録や生育記録を基に最適な栽培管理方法をそのグループの中で検討されまして、随時改善をされながら営農されております。  また、大豆におきましては、五十ヘクタール規模の個別大規模農家が、自動操舵の機能がつきましたトラクター、防除用のドローン、ロボットコンバイン、こういったものを導入いたしまして、播種から収穫までスマート農業機械による一貫体系での営農を行っておられます。 284 ◯西元 健委員 今紹介されましたナスと大豆の先進事例の具体的な成果をお答えください。 285 ◯久保田園芸振興課長 今御説明いたしました、まずナスの取組でございますけれども、普及指導センターがスマート農業機械のメーカーと連携いたしましてデータを解析した結果、農業者グループ三十六名の平均収量が地域の平均より二割増加しております。また、大豆におきましては、播種作業で不慣れな作業者でも高い精度で作業ができることが実証されまして、スマート農業機械の導入前と比べまして、大豆栽培に要した作業時間は一五%削減できております。 286 ◯西元 健委員 今、お答えいただいたことで分かるのが、当然導入されて機械を使うということは非常に楽になっていくんだと思いますけども、それ以上に生産者がどうそのデータを活用するのかというところが重要なところなのではないかなと思っております。そのデータを解析して生産改善につなげたことで収量が向上していくということが分かったということは、DXを実現していくためにとっても非常に大切なことだと思っております。人材育成ということになるのではないかなと思いますけども。  そこでお尋ねいたしますが、今後、農業でDXを進めていくためには、機械導入のコスト計算は当然のことなんですけども、自らの経営にどういったデータをどう活用すれば生産や経営が改善できるのか、その判断のできる人材の育成、さっきから言っているような人材育成ですね。そして、これは農業者のみでなく、指導する職員も同様に育成すべきと私は考えます。県は、今後、どのようにそういった人材を育成していくのか、お答えください。 287 ◯古屋経営技術支援課長 農業者に対しましては、スマート農業機械を導入して得られる収量向上といいますような成果について、普及指導センターがメーカーなどと連携して研修会を開催し、広く農業者に御紹介をしながら、DXに取り組む意欲を高めているところでございます。  さらに、規模拡大を図る農業者、また、法人化を目指す農業者など、経営発展に意欲ある農業者の方を対象に、普及指導センターが個々の経営に応じ目標とする経営モデルを示しながら、スマート農業機械の導入効果やコストなどを比較検討し、具体的な改善策を作成する講座や研修を行いまして、DXに取り組む人材の育成を進めてまいります。  普及指導センターの職員に対しましては、国の研修を受講した専門職員が部門ごとに計画的に研修を実施しております。また、スマート農業機械を開発したメーカーを招きまして、現場での実演や講義などの直接指導を受けるような研修も行っております。このような取組を通じまして、指導する職員の人材育成も引き続き進めてまいります。 288 ◯西元 健委員 担い手が高齢化し、人も不足していく中で、農業版DXが大きな希望になると思っております。機械のフル活用ができる人材の育成もしっかりやっていただきたいと思いますし、今言われたように普及センターの職員の方々が、DXだったり、機械化というか、スマート化ということをしっかりと理解して生産者に伝える。そして、生産者がどのようにそれを活用していくのかというところまで含めて、双方がブラッシュアップしていくというか、成長していくということが大切なんだと思っております。  最後に部長、今までのやり取りを聞いて、部長の思いをお聞かせください。 289 ◯吉松源昭委員長 重吉農林水産部長。 290 ◯重吉農林水産部長 県では、スマート農業機械の導入支援に加えまして、これら機械から生産現場で得られたデータを活用することで、収量の向上など経営改善に取り組む農業者グループの活動を支援しているところでございます。さらに、こうした成果につきまして、研修会を通じ広く農業者に紹介し、普及を図っております。  今後も、農業者自らがデジタルデータを活用しまして経営を改善していけるよう、データ活用のノウハウや分析能力の向上を図り、人材を育成してまいります。併せて指導支援する職員につきましても、研修などを通じまして人材を育成してまいります。  農業者の減少や高齢化が進む中、スマート農業の導入と、それから得られたデジタルデータを活用した農業のDXを進めることは、今後の本県農業の発展に重要でございますので、しっかりと取り組んでまいる所存でございます。 291 ◯西元 健委員 部長の思いを聞かせていただきました。本当に人材育成は非常に時間がかかるんじゃないかなと思います。僕自身もなかなか成長の速度が遅いので、しっかりと勉強していかなければならないなと思っているんですけども、やっぱり先ほどから申しているように、職員も生産者も、もっと言えば県庁の抱える様々な問題というのも、今後、DX、デジタルトランスフォーメーションという考え方というのは避けて通れなくなってくるんだと思っております。そのような中、知事も選挙のときに人材育成というものを選挙の柱の一つとして掲げておりました。また、農業だけでなく、人材育成というのは様々に推進していく県庁の大きな課題だと思っております。その中でリーダーの決める方向性、人材育成の方向性というのは非常に重要なものだと思っておりますし、直接知事にお伺いして、人材育成の方向性というのを直接お伺いしたいと思いますので、委員長、知事保留のお取り計らいをよろしくお願いします。 292 ◯吉松源昭委員長 ただいま西元委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は十月十二日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。 293 ◯西元 健委員 ありがとうございます。(拍手) 294 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。田中大士委員。 295 ◯田中大士委員 緑友会の田中大士です。  通告に従いまして、鳥獣被害防止について質問いたします。  この問題は、これまでも度々質問に上がっております。それだけ身近で、どこでも起きている問題なのだと思いますが、今回は特に市街地でのイノシシについてお尋ねいたします。  県では、農地への侵入を防止する柵の設置に補助金を出すなど、農林業の被害対策の促進を図っておられます。しかしながら、イノシシは餌を求めて町へやってきます。私の選挙区であります福岡市西区でも、イノシシが度々出没しております。地域によりましては、学校の通学路など住宅街でも目撃されており、児童や生徒はもちろん、通行人が危険を感じる場面があります。おとといの夜にも福岡市の西市民プールの入り口付近の県道で二頭目撃されました。この付近は市街地でありまして、商店も並んで、昼間はとても通行量の多いところでもあります。農家の圃場はもちろんですが、民家の玄関先にまで出没し、庭の畑が荒らされて、鶏小屋が破壊されます。そして鉄製のごみ箱も曲げられて倒されるなどの被害が出ております。家の前にイノシシが現れても、とても危険なのでなすすべもございません。乗用車と衝突して乗用車が大破する事故も起きており、市民生活に危険が及んでおります。また、能古島の観光地では、柵のすぐ近くまでイノシシが出没しており、その存在を知らない観光客が知らないうちにイノシシに近づいてしまうというケースがあると聞いております。そこで、イノシシによる農林業被害の防止と、人間の生活環境を守るため質問いたします。
     まず、本県のイノシシによる農林業被害の状況についてお伺いいたします。 296 ◯吉松源昭委員長 池田農山漁村振興課長。 297 ◯池田農山漁村振興課長 農林業被害につきましては、毎年、地域の状況を把握するため、市町村に依頼して調査を行っております。イノシシによる被害額は、ピーク時の平成二十二年度の五億八千二百万円から年々減少し、昨年度は三億三千万円となっております。 298 ◯田中大士委員 農林業被害が年々減少しているとのことですが、先ほども申し上げましたとおり、生活被害は大変多く、報道でもよく耳にします。住宅街や学校の通学路でイノシシを最初に目撃するのは一般住民です。その住民は不安になり、行政機関に助けを求めるのではないでしょうか。  そこで、実際に町なかでイノシシが出没し、住民からの通報があった場合、一般的にはどのように対応しているのか、伺います。 299 ◯池田農山漁村振興課長 住民からの通報は、警察や市町村、県などで第一報を受けております。警察や県で第一報を受けた場合は、その情報を市町村に伝え、市町村がその地域を管轄する警察署や猟友会の協力を得て、イノシシの追い払いや捕獲を行っております。あわせて、市町村は住民の安全確保のため、学校、自治会、福祉施設などの関係機関へ注意喚起を行っております。 300 ◯田中大士委員 実際の追い払いや捕獲の最前線では、警察の方々、猟友会の方々が活躍されているようです。実際、現場に駆けつけたときには既にイノシシが去っていたケースもあるようですが、中にはイノシシに襲われて骨折などの重大な被害につながることもあるようです。  そこで、生活被害の状況についてお答えください。 301 ◯池田農山漁村振興課長 令和二年度の生活被害につきましては、集落周辺などでイノシシが人と衝突し、けがをするといった人的被害が十八件、家庭菜園の掘り起こしなど物的被害が七百四十七件で、合計七百六十五件となっており、前年に比べいずれも増加しております。 302 ◯田中大士委員 イノシシによる農林業被害が三億三千万円と大変大きいこと、生活被害は前年度から増加していることが分かりました。  県では、この状況を踏まえて鳥獣被害対策を推進されていることと思います。農林業被害の軽減、生活被害の防止に向け、現在、どのような対策を講じているのか、お答えください。 303 ◯池田農山漁村振興課長 県では、農林業被害を軽減するため、侵入防止柵の整備やわなの設置など捕獲活動に対する支援、狩猟者の確保対策、獣肉の利用拡大などを実施しております。  生活被害の防止につきましては、県民に対して、ごみやペットの餌の放置などの無意識の餌づけ防止や、イノシシと出くわした際の対応などの情報を鳥獣被害対策実践マニュアルとしてまとめ、ホームページに掲載し、県民へ周知しております。また、地域住民や農林業者等を対象に、専門家を講師に招き、地域ぐるみで生活被害を防止するための研修会を開催しており、昨年度は県内四か所で合計百名の参加者がありました。 304 ◯田中大士委員 農業被害の軽減のため、侵入防止柵を整備することや、生活被害を減らしていくためにごみやペットの餌の放置など無意識の餌づけを防止するなどの啓発は大変重要で、継続して実施することが重要と考えます。しかし、私は、農林業被害や生活被害の防止のためには、捕獲を進めることが最も有効な手段と考えております。  そこでまず、イノシシの捕獲の状況についてお答えください。 305 ◯池田農山漁村振興課長 イノシシの捕獲頭数は、各年度でばらつきがあるものの増加傾向となっており、令和二年度は三万三百八十一頭となっております。 306 ◯田中大士委員 それだけ捕獲しているにもかかわらず生活被害は増えているということは、捕獲をさらに強力に進める必要があると考えます。  県では、捕獲頭数を増やすために、国の交付金を活用し狩猟者が使用するわなの導入経費に対する支援や、イノシシの捕獲に当たっては一頭当たり七千円から九千円の補助金を交付されています。また、狩猟ブームの影響などから狩猟免許試験合格者は大きく増加していると聞きます。  しかしながら、私の地元で生活被害の対応をするために最前線で追い払いや捕獲を担っていただいている西福岡猟友会は、高齢化などで会員数が減っております。地元の方からは、せっかく狩猟免許を取得しても実際に捕獲をしている人は少ないと聞いております。このため、十分な捕獲を実施していただけるか、大変心配しております。かく言う私自身もペーパー猟師でありまして、第一種銃猟、わな猟、網猟の三種類の狩猟免許を所持しております。  免許保持者を増やすことは重要でありますが、実際に捕獲を実施する方を増やす必要があると考えます。それに対してどのような取組をしているのか、伺います。 307 ◯池田農山漁村振興課長 狩猟をしたことがない方たちに経験を積んでもらい、基礎的な技術を習得してもらうことが、捕獲を実施する方を増やすことにつながると考えております。このため県では、狩猟経験のない免許取得者を対象に、実際の狩猟現場でわなの設置や猟銃の取扱い、捕獲した鳥獣の処理など、実践的な研修会を実施しているところです。また、実際に捕獲を実施されている方からは、国の捕獲補助金では割に合わないといった声があることから、県では国に対し、捕獲補助金の単価の増額と十分な財源の確保について要望しているところでございます。 308 ◯田中大士委員 捕獲を進めるためには、捕獲された鳥獣を食肉として利用することも大変効果的と考えます。県では、獣肉の利用拡大を進めているとお答えいただいておりますが、食肉利用については、品質の劣化を防ぐ必要があることから、捕獲後速やかに処理施設へ運搬を行う必要があります。使用者の負担が大きいと聞いております。捕獲された鳥獣の利用率は一割程度だとも聞いております。  獣肉の利用拡大に向けてどのような取組を進めているのか、お聞きします。 309 ◯池田農山漁村振興課長 県では、獣肉の利用拡大のため、狩猟者の負担となる作業を民間事業者が担う新たな供給の仕組みをつくるモデル事業を、昨年から糸島地区と添田地区の二か所で取り組んでおります。また、県内で捕獲・処理された獣肉を年間を通して提供する飲食店を福岡ジビエの店として認定し、この認定店において今年度は十月と二月の二回、消費者にジビエのおいしさを伝える料理フェアを開催することとしております。 310 ◯田中大士委員 最後に、これまでの質疑を踏まえまして、今後の鳥獣被害対策をどのように進めていかれるか、部長の見解をお聞きします。 311 ◯吉松源昭委員長 重吉農林水産部長。 312 ◯重吉農林水産部長 本県では、鳥獣による農林水産物被害を軽減するため、侵入防止、捕獲、獣肉の有効活用までの対策を一体的に実施しておるところでございます。この結果、鳥獣による農林水産物全体の被害額は、ピーク時の平成二十二年度からほぼ半減しまして、昨年度は七億四千四百万円となっております。  しかしながら、委員から御指摘がありましたように、依然として農林水産物被害は続いており、生活被害も発生していることから、市町村や猟友会、農業団体といった関係機関と連携しまして、捕獲をはじめとする被害防止対策に取り組んでまいります。 313 ◯田中大士委員 これまでの説明で、昨年度のイノシシの生活被害は前年度から増加し、県全体で七百六十五件となっており、この数字は大変大きな数字と考えております。今の状態が続けば人間の生活環境が守れないのではないかと危惧しておりましたが、県から、侵入防止や捕獲、獣肉の有効活用を一体的に進め、農林業の被害はもとより生活被害の防止に努めるとお答えいただきました。  このような施策を進めていただき、県内全ての地域で通学する児童や生徒、通勤するサラリーマンや、これからコスモスの季節を迎える能古島をはじめとする観光地を訪れる観光客といった全ての県民が安全で安心な暮らしが送れるよう、イノシシによる生活被害の防止対策をしっかりと進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手) 314 ◯吉松源昭委員長 ほかに質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 315 ◯吉松源昭委員長 ないようですので、以上で西元委員の知事保留質疑を残しまして、第一四〇号議案の質疑を終わります。  次に、第一四七号議案「令和二年度福岡県就農支援資金貸付事業特別会計決算」、第一四八号議案「令和二年度福岡県県営林造成事業特別会計決算」、第一四九号議案「令和二年度福岡県林業改善資金助成事業特別会計決算」及び第一五〇号議案「令和二年度福岡県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計決算」の四件については一括議題とし、まとめて説明を求めます。重吉農林水産部長。 316 ◯重吉農林水産部長 それでは、農林水産部所管の四つの特別会計の歳入歳出決算について御説明いたします。歳入歳出決算概要説明書の百八十一ページをお開き願います。  第一四七号議案、令和二年度福岡県就農支援資金貸付事業特別会計決算について御説明いたします。この特別会計は、農業経営を開始するために貸し付けた資金の管理回収を行うものでございます。歳入につきましては、収入済額五千三百万円余でございます。収入未済額が生じておりますのは、納入義務者の経済的理由により、貸付金償還金が年度内に納入できなかったことによるものでございます。百八十二ページに参りまして、歳出につきましては決算額四千万円余でございます。これは就農支援資金の償還に要した経費でございます。不用額が生じております主な理由は、農家からの償還金が見込みを下回ったことによるものでございます。  百八十三ページをお開き願います。第一四八号議案、令和二年度福岡県県営林造成事業特別会計決算について御説明いたします。この特別会計は、県有林、県行造林の経営を行うものでございます。歳入につきましては、収入済額三億二千四百万円余でございます。百八十四ページに参りまして、歳出につきましては、決算額三億二千四百万円余でございます。これは県営林の管理等に要した経費でございます。不用額を生じております主な理由は、経営事業費の執行残でございます。  百八十五ページをお開き願います。第一四九号議案、令和二年度福岡県林業改善資金助成事業特別会計決算につきまして御説明をいたします。この特別会計は、林業従事者等に対する資金の貸付けを行うものでございます。歳入につきましては、収入済額一億一千四百万円余でございます。収入未済額が生じておりますのは、納入義務者の経済的理由により貸付金償還金が年度内に納入できなかったことによるものでございます。  百八十六ページに参りまして、歳出につきましては、決算額八万円余でございます。これは、林業改善資金の償還に要した経費でございます。不用額を生じております主な理由は、資金需要が見込みを下回ったことによるものでございます。  百八十七ページをお開き願います。第一五〇号議案、令和二年度福岡県沿岸漁業改善資金助成事業特別会計決算について御説明いたします。この特別会計は、沿岸漁業従事者に対する資金の貸付けを行うものでございます。歳入につきましては、収入済額一億六千百万円余でございます。その下、歳出につきましては、決算額五千万円余でございます。これは、沿岸漁業改善資金の償還等に要した経費でございます。不用額につきましては、百八十八ページに参りまして、その主な理由は資金需要が見込みを下回ったことによるものでございます。  以上で、農林水産部所管分の特別会計について説明を終わります。よろしく御審議のほどお願いいたします。 317 ◯吉松源昭委員長 説明が終わりました。これより質疑を行います。質疑はありませんか。      〔「なし」と呼ぶ者がある〕 318 ◯吉松源昭委員長 質疑がないようですので、第一四七号議案外三件の質疑を終了し、農林水産部所管分の審査を終わります。  以上で本日の議事を終了いたします。  なお、明日の委員会は午前十一時に開き、商工部、企業局、県土整備部及び建築都市部所管分の審査を行いますので、よろしくお願いいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午 後 三 時 五 十 五 分 散 会 Copyright © Fukuoka Prefecture All Rights Reserved. ↑ ページの先頭へ...