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  1. 宮城県議会 1993-06-01
    06月24日-04号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    平成 5年  6月 定例会(第250回)     第二百五十回宮城県議会(定例会)会議録                     (第三号)平成五年六月二十四日(木曜日)  午後一時二分 開議  午後四時五十七分 散会      議長    亀谷博昭君      副議長   根深善雄君出席議員(六十二名)      第一番   内海 太君      第二番   土井 亨君      第三番   遊佐雅宣君      第四番   庄子 守君      第五番   藤倉知格君      第六番   大学幹男君      第七番   仁田和廣君      第八番   伊東 憲君      第九番   高橋浩一君      第十番   坂下康子君     第十一番   岸田清実君     第十二番   石橋信勝君     第十三番   村上敏子君     第十四番   千葉 達君     第十五番   佐藤勝彦君     第十六番   菊地 浩君     第十七番   高橋長偉君     第十八番   相沢光哉君     第十九番   高橋俊也君     第二十番   大沼迪義君    第二十一番   萱場正美君    第二十二番   斎藤正美君    第二十三番   菅原 哲君    第二十四番   木村洸也君    第二十五番   佐々木ひろし君    第二十六番   菅野信男君    第二十七番   餅 道夫君    第二十八番   長島秀道君    第二十九番   大沼謙一君     第三十番   千葉正美君    第三十一番   伊藤康志君    第三十二番   渡辺和喜君    第三十三番   今野隆吉君    第三十四番   遠藤宗一君    第三十五番   中野正志君    第三十六番   百足健一君    第三十七番   鈴木 昇君    第三十八番   佐藤 勲君    第三十九番   高橋善幸君     第四十番   渥美鉄太郎君    第四十一番   黒須光男君    第四十二番   長谷川 正君    第四十四番   三上良喜君    第四十五番   曽根冨二男君    第四十六番   坂下清賢君    第四十七番   錦戸弦一君    第四十八番   佐藤 勇君    第四十九番   中沢幸男君     第五十番   佐藤光輔君    第五十一番   佐々木久壽君    第五十二番   渡辺 浩君    第五十三番   高橋健輔君    第五十四番   中村健一君    第五十五番   文屋 公君    第五十六番   安住仁太郎君    第五十七番   須藤正夫君    第五十八番   野口考吉君    第五十九番   斎藤栄夫君     第六十番   森  康君    第六十一番   佐藤常之助君    第六十二番   根深善雄君    第六十三番   亀谷博昭君欠席議員(一名)    第四十三番   金子哲郎君   ─────────────────────────────────説明のため出席した者      知事             本間俊太郎君      副知事            蒲谷亮一君      副知事            八木 功君      総務部長事務取扱      出納長            大立目謙直君      公営企業管理者        森 熊三郎君      企画部長     事務吏員  山川敏彦君      生活福祉部長   事務吏員  須藤弘志君      保健環境部長   技術吏員  伊田八洲雄君      商工労働部長   事務吏員  松木伸一郎君      農政部長     事務吏員  西城光政君      水産林業部長   事務吏員  今里寅男君      土木部長     技術吏員  加賀田晋成君      出納局長     事務吏員  石崎泰司君      企業局長     事務吏員  吉田善兵衛君      総務部次長    事務吏員  黒田達夫君      総務部秘書課長  事務吏員  菅原敏光君      総務部財政課長  事務吏員  山内健生君   教育委員会      教育長            葛西森夫君      教育長            鈴鴨清美君      教育次長           柿崎征英君   選挙管理委員会      委員長            郷古康郎君      事務局長           斎藤 進君   人事委員会      委員長            大沼直治君      事務局長           鶴沢正三郎君   公安委員会      委員長            鈴木泰三君      警察本部長          増田生成君      警務部長           安原伸正君   地方労働委員会      事務局長           山本碧子君   監査委員      委員             阿部光郎君      委員             鈴木新司君      事務局長           小林一丈君   ─────────────────────────────────   議会事務局      局長             松本俊司君      次長兼総務課長        阿部 勉君      議事課長           成澤建男君      調査課長           棕澤和義君      総務課副参事         鈴木和敏君      兼課長補佐      議事課副参事         遠藤幸之君      兼課長補佐      調査課長補佐         菅原源一君      主幹兼記録係長        佐藤 昭君      議事係長           佐藤 淳君      委員会係長          水戸敏男君      主事             布田恵子君      主事             小野一彦君   ─────────────────────────────────議事日程  第四号         平成五年六月二十四日(木)午後一時 開議第一 会議録署名議員の指名第二 議第六十九号議案ないし議第九十四号議案及び報告第五号第三 一般質問    〔今野隆吉君、岸田清実君、相沢光哉君、佐藤勝彦君〕   ─────────────────────────────────会議に付した事件一 日程第一 会議録署名議員の指名二 日程第二 議第六十九号議案ないし議第九十四号議案及び報告第五号三 日程第三 一般質問    〔今野隆吉君、岸田清実君、相沢光哉君、佐藤勝彦君〕   ───────────────────────────────── △開議(午後一時二分) ○議長(亀谷博昭君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。   ───────────────────────────────── △会議録署名議員の指名 ○議長(亀谷博昭君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員に十一番岸田清実君、十三番村上敏子君を指名いたします。   ───────────────────────────────── △議第六十九号議案ないし議第九十四号議案 △報告第五号 △一般質問 ○議長(亀谷博昭君) 日程第二、議第六十九号議案ないし議第九十四号議案及び報告第五号を議題とし、これらについての質疑と日程第三、一般質問とをあわせて行います。 前日に引き続き、質疑、質問を継続いたします。三十三番今野隆吉君。    〔三十三番 今野隆吉君登壇〕 ◆三十三番(今野隆吉君) ただいま亀谷議長からお許しをいただきましたので、通告に従いまして、救命救急医療及び工業振興の問題、子供向けテレビアニメ番組の問題などについて、私の提案を交えながら知事及び県当局の御見解をお伺いいたします。 質問に入ります前に、この席をおかりいたしまして、皆様に御礼の言葉を申し述べさせていただきます。 先般、私がけがをして入院いたしました際には、何分にも突然のことでありましたので、仕事の面で多くの方々に御迷惑をおかけいたしましたにもかかわらず、皆様方から心温まるお見舞いと激励を賜りまして、まことにありがとうございました。おかげさまで、ごらんのとおり元気を回復いたしましたが、まだ右手が若干不自由ではありますが、皆さん方のために一生懸命働くことができるようになりました。本当に感謝にたえません。ありがとうございました。 ついでにもう一つ、本間知事に御礼を申し上げたいと思います。これは、先日マスコミ報道でありました青葉山ゴルフ場の土地の問題であります。この報道によれば、かねて私がこの本会議場で申し上げました県有地の問題などについて、県が東北大学など関係機関と話し合ってこられたということであります。まだ結論は出ていないようでありますが、この問題につきましては、私だけでなく、同じような趣旨の質問をなさった先輩諸先生方も県の姿勢に一応は納得されるものと思います。ここまでの知事の御努力に御礼を申し上げるとともに、更に話を進められて、青葉山県有地の活用や片平丁の東北大学の移転後の跡地利用の問題も含め、一日も早く解決にこぎつけられるように一層の御努力をお願い申し上げます。 それでは、本論に入らさせていただきます。 これまでも私は、この壇上に立つたびに必ずといっていいほど、医療問題と老人福祉問題、青少年スポーツ振興の問題などを繰り返し申し上げてまいりましたが、今回は私の経験を含めまして、救急救命医療の問題から質問いたします。 実は、私のこの右手首の傷は、自宅の台所入り口の階段を踏み損ねて転倒したとき、ガラス窓に腕を突っ込んだため、ガラスが割れたときに切れた傷であります。傷口は余り大きくありませんが、動脈が切れたため出血が激しく、失心してしまいました。意識を取り戻したのは、病院で手術をした後しばらくたってからでありました。この話をいたしますのは、私の傷の深さを御披露するものではありません。おかげさまで手術後の経過は非常に順調で、出血多量だったための貧血状態の回復に留意することと、右手の機能回復のリハビリに専念すればよい程度にまでなったわけでありますが、ここで申し上げたいのは、手術後、担当の医師の方々や看護婦さんたちが私に語りかけてくれました先生が郡部でけがをしたのだったら絶対に助からなかった」という言葉であります。後で聞いたのですが、私が病院に運ばれたときは出血多量で、まさに瀕死の状態だったそうです。運び込まれるのがもう少しおくれたなら、私の人生は、ジ・エンドになっていたわけであります。看護婦さんたちの「郡部でけがをしていたら助からなかった」という言葉は、議会人として、医療行政の一翼を担っている私の耳に強烈な教訓として飛び込んできたのであります。私は、妻が運転してくれた自動車で病院に運び込まれ、救命救急医療に救われました。しかも、郡部ではなく、仙台市内でのけがで、すぐ近くに病院があったために助かったのだということを体験したわけで、しみじみと感謝しておりますが、救急救命医療を宮城県の全域に広げ、組織の拡充、機能の充実を図っていかなければならないと決意を新たにいたしております。 現在、宮城県では、国立仙台病院仙台市立病院救急救命センターがあり、患者の病状によっては日赤病院や大手の民間病院も救急患者を受け入れてくれております。しかし、郡部にはまだ救急救命センターの設置はありません。各市町村の消防署と救急病院が、それぞれの地元の救急医療業務を担当して活発な活動を展開していることは、御承知のとおりであります。しかし、活動には大きな地域差があり、例えば総合病院や外科病院など救急告示病院の少ない栗原地方、登米地方などでは、救急車に収容された患者を古川市などの管轄外地域に運ぶケースも多いということであります。地域によっては、県が応分の経費負担をしている救急告示病院の収容能力などに懸念があります。昨年九月の本会議で、私は、緊急の場合で告示病院以外の民間医療機関に患者が運び込まれたときには、それに対する公的な経費補てん、あるいは補助金の交付でそうした問題をカバーしていただきたいとお願いいたしました。仙台と地方との救急医療施設の密度や交通の利便性などを比較してみますと、仙台一極集中の傾向がますます際立ってきたことは否定できません。幸い、宮城県にはここ数年大きな事故や災害は起きておりませんので、正直なところを申し上げますと、これまでこの地域差をそれほど深刻な問題とは受けとめていなかったのでありますが、しかし、私自身が仙台から離れたところでのけがだったなら命を失ったかも知れないという、文字どおり危機一髪の体験をした現在は、この救急医療の地域格差は、県民生活の安全を守るという観点からも早急に是正しなければならない緊急課題であるという認識を強く抱くようになりました。 県内人口の年齢別分布を見ますと、六十五歳以上の高齢者比率は、仙台圏域ではまだ一〇%台という数字を示しておりますが、山村地域では、七ヶ宿町や花山村のように、既に居住人口の四分の一を超している高齢化社会どころか完全高齢社会に達しているというところが少なくないのであります。万一の場合に活用される救急救命医療施設は、こうした高齢者の比率の高いところほど必要性が高いということは、申し上げるまでもないと存じますが、地域の人口との対比や救急医療施設医療従事者の配置の問題、更には経費の問題がありますから、そのバランスをとることは非常に難しいと思います。しかし、山の中の離れたところに住む人も、都会の密集地帯に住む人も、同じ宮城県民なのであります。無理であることは十分に承知しておりますが、県当局に、救急救命医療施設の地域格差を可能な限り縮めてくださるようお願い申し上げた上で、私なりの考え方を検討していただきたいと存じます。 その第一は、県と高齢人口比率の高い過疎地域町村との間で、救急医療をテーマとした懇談会を頻繁に開いていただきたいということ。第二点は、そうした地域の医師など医療業務に携わっている人たちと県当局との間で、できればそれに地域の消防署の人などを入れて、直接のコミュニケーションの機会を設けてほしいということであります。このように連絡を密にする機会を多くすれば、その中から何らかのすばらしいアイデアが生まれてくるのではないでしょうか。更に、日没から日の出までは使用できない防災ヘリコプター多角的活用による時間距離の短縮方策や救急救命士の充実の問題なども含めまして知事の御見解をお伺いいたします。 この件ではほかにも申し上げたいことはたくさんありますけれども、この辺で次の質問に移らさせていただきます。 次の質問は、バブル経済崩壊後の全国的な不況の余波で、先行きが心配される宮城県の工業振興に関する問題であります。 先日、新聞やテレビの全国ニュースで、輸出等の不振が影響して、電子部品産業の優良企業と言われていた東北アルプスが、一部工場の閉鎖と従業員整理に踏み切ったと伝えられたことは、皆様も御承知のことと思います。私は、それまでバブル経済の崩壊がもたらした今回の不況の東北への影響は、かなりおくれると聞いておりましたし、各種のデータでも、東北の数字はそれほどの落ち込みもなく、このニュースを聞いた当初の私の印象は、やはり東北にも来たかといった程度でありました。しかし、調べて見ますと、東北アルプスには、かなりの数の下請企業が地元にあって、自社の従業員を整理する前にこれらの下請企業への発注はしばらく前から打ち切られ、中には人員整理や業務停止、倒産に追い込まれていた企業もありました。だが、小規模企業のこうした悲劇は、ニュースにもなっておりませんでした。このように進出企業の経営不振のあおりで苦境に追い込まれた地元中小企業を救うためには、県内にそれらを吸収できる程度の幅の広い工業生産基盤があれば、多少は助かると思うのですが、残念ながら本県ではまだその段階には到達しておりません。 近年、宮城県内には、仙台圏を中心に工場立地の増加が目立ち、私の住む泉区にある泉サイエンスパーク仙台北部工業団地には、全国に名の知れた企業を初めとして、各地に優良企業が次々と立地するようになりました。平成四年の宮城県総生産の生産別構成を見ますと、最も構成比の高いのは、第三次産業の六六・一%で、第二次産業は二九・七%、第一次産業は四・二%となっていて、二次産業のうち、製造業の主要産業の製造品出荷額等の上位は、一位が電気機械、二位が食料品、三位が飲料・飼料となっております。この電気機械機具製造業の出荷額は、工場の進出増に比例して近年かなり急速な伸びを見せております。しかし、残念ながら、他の産業との比較をしますと、まだまだ工業県と名乗れるところまでは成長しておりません。それだけに東北インテリジェントコスモス構想の一段の推進が期待されるところですが、工業県として発展していくための基盤を眺めてみますと、工業県の根本的な課題である工業技術者養成の面で、本県は同じ東北の福島県などと比べても、かなりおくれをとっているように思われてなりません。確かに本県には、東北大学の工学部や私立の理工系大学、あるいは技術系の専門学校などもありますが、これらの学校の出身者の大半は、首都圏とか関西方面の企業に就職しているのが実情であります。県内の企業への人材供給という点では、工業高校が主力になっているようですが、これら工業高校の卒業生も半数以上は県外に就職しているようであります。 現在策定中の新長期総合計画の中にも、自然科学系高等教育機関が構想されているようですが、現状での県内企業のための人材養成となりますと、県が仙台市太白区に設置している中小企業の技術力向上を支援する宮城県工業技術センターが主力だということになります。昭和四十三年に設置されたこの施設は、既に手狭になって老朽化してきたことと、設備や研究内容の充実が必要になったために、県では一昨年から基本計画検討委員会を設置して検討した結果、センターの機能アップを図るため、大和町に移転、新築する計画で、平成八年度に新センターのオープンが予定されているようですが、全国各都道府県の公設試験研究機関の設置状況を見ますと、他の都道府県は、複数の施設を持っているのに、宮城県は、奈良県、山口県、徳島県の三県と並んで、ただ一カ所だけしかありません。しかも、職員数では全国で第四十四位という低位にあります。県内の工業水準の向上を図るという県の方針から考えましても、今度移転、新築する工業技術センターを技術開発や指導を通しての情報、生産技術者の育成にとどまらず、機動的で多彩な技術指導機関にしていただくとともに、この施設以外にも更に数カ所の設置を進めて、地元企業の求めに応じられる技術支援と技術者養成の道を広げてほしいのでありますが、県御当局の御意見をお伺いいたします。 最後に、子供向けテレビアニメについてお伺いいたします。 先日発表された交通事故白書では、昨年一年間の交通事故死者は、一万一千四百五十一人、負傷者は約八十四万人となっておりました。この死者を年齢別で見ますと、十六歳から二十四歳までの若者層と、六十五歳以上の高齢者がそれぞれ全体の二六%を占めていました。このうち若者の死亡原因は、九五%までが自動車やバイクなどによっての事故死となっていて、しかも死亡事故を引き起こした第一当事者の若者の比率は三四・八%と、飛び抜けて高い比率になっておりました。 ここで申し上げたいのは、これらの若者で目立つのは、原因のトップが自分勝手な規則無視だということであります。白書では、若者たちの間に蔓延している自分のことは自分の勝手という風潮がこのような数字を招いたということを指摘しておりました。 交通事故に限らず、例えば、仙台駅周辺での禁止掲示板を無視しての自転車やバイクなどの違反駐車も、大半が若い人たちであります。なぜ若い人たちの間に社会ルールを無視するような風潮が蔓延してきたのか、その原因を考えてみたいと思います。 昨年三月の本会議で、私は漫画雑誌を取り上げて、この危険性を指摘いたしましたが、今回は、マスコミの中でも最も影響力を持っているテレビの幼児向け番組に関するお話を申し上げたいと思います。 皆さんの中には、幼少のころ、白馬童子とかウルトラマンなどの子供向け番組に勇気づけられて育った経験をお持ちの方、あるいはお子様がこうした番組に接しておられる方が多いと思います。私もその一員でありますが、こうした、ある意味では、戦後沈み切っていた日本人の心をはぐくんでくれたこれらのテレビ番組は、子を持つ親たちの育児のお手伝い役を演じてくれていたことは間違いないと思っております。 しかし、最近、特に民間放送テレビ局の漫画番組、文化人はアニメ番組と言うのだそうですが、これらの中には、これからの社会人として育っていく幼児に見せるのはどうかと思われるような番組が多くなっていることは事実であります。大人のレベルで見れば、おふざけあるいは娯楽番組と見るわけですけれども、子供のレベルで見ましたときには、それが社会の当たり前の現象であるというとらえ方をいたします。影響力の強いテレビであるだけに、心配でなりません。番組の名前は、報道、表現の自由との関係がありますので申し上げませんが、健全な社会的常識をお持ちの方だったならば気がつかれるはずであります。ともかく文化人が推奨している人気番組の中には、母親や大人の人たちの名前を呼び捨てにして、自分の権利を主張し、勝手気ままな行動をしている子供が主人公の番組、また、自分の意見が通らなかったり、言うことを聞かないときには、腕力を使って従わせるといった暴力肯定の番組、更には、グループの話し合いに応じない者を集団で懲らしめるといったいじめ公認とも言えるような番組まで見られるようになったのであります。これらの番組は、大半が朝夕の主婦の方々が家事に忙しい時間帯の放送でありまして、民放の場合は、視聴率を稼ぐということもありますから、おもしろさを重視した番組になっているようです。そこに危険性が潜んでいるように思われるのであります。放送時間帯から見ても、ほとんどの大人の方々はごらんになっていないと思いますが、この中で最も気がかりなのが、これらの番組を見た子供たちが、自分のことは自分の勝手、大人には子供を守る義務があるんだ。大人は子供の行動に口を出すなというような社会認識を頭の中に刻み込んでしまう危険性であります。この危険性が、さきに指摘いたしました若い人たちの交通事故死の原因の大部分がルール無視の暴走に起因しているという風潮とはっきりと結びついているように感じられるのであります。 これが、出版物として販売されている漫画本や市販のビデオなどでしたら、県にも、不十分とはいえ一応チェック体制はあるのですが、テレビ放送の場合は、現状ではチェックの手段はありません。また、県の機構を見ましても、これらをチェックし、あるいは放送を調整するような権限、能力を持つ部門はありません。結局、これらの番組が子供たちに悪い影響を与えないようにするためには、親が子供と一緒に同じ番組を見て話し合うこと以外に方法はないようであります。したがって、県当局にお願いしたいのは、こうした問題が発生したときに、直ちに県民の相談に応じられるような部署、例えば長寿社会対策室のように、少子社会対策室を設置し、更に県内の有識者やマスコミの代表を網羅した検討委員会のような組織をつくっていただきたいと思っているのですが、いかがでしょうか。知事の御意見をお伺いいたします。 もう一つ、これらの番組を見ていて私なりに感じましたのは、これらのシナリオ作家が憲法十三条の国民の権利と憲法十四条の法のもとの平等を自己中心的に曲解して、ストーリーが構成されているという点であります。つまり、自己主張するのは、自分の権利であり、周囲の者は、法のもとの平等の原則に基づいて、権利を持っているこの自分を守る責任があるんだという認識が番組の主人公の行動にはっきりと表現されているように見えるのであります。 ここでは、社会から自分を守ってもらうためには、それなりの義務を果たさなければならないという社会的常識は完全に忘れ去られていると言ってもよいと思われます。更に、憲法問題では、憲法前文の仮名遣いを見ますと、今の学生は全く知らない仮名遣いになっております。例えばその結びの部分、「達成することを誓ふ。」の最後の文字は、「う」ではなく、「ふ」が使われているのであります。こういう部分が数カ所あるわけであります。この部分を見ただけでも、改正を検討する必要があると思うが、これらも含めて知事の御見解をお伺いいたします。長時間御清聴ありがとうございました。 ○議長(亀谷博昭君) 知事本間俊太郎君。    〔知事 本間俊太郎君登壇〕 ◎知事(本間俊太郎君) お答えをいたします。 まず最初に、御指摘いただきました救急医療問題でございますが、やはり県民の皆様が安心して暮らせる宮城県地域社会づくりにとりまして、極めて重要な課題だと、このように認識いたしておりまして、今後ハード、ソフト、いろいろな面で真剣に取り組んでまいりたいと、このように思っております。 その中で、特に具体的な御提言のありました懇談会の開催でございます。これまでも、県レベルでは、県及び医師会と県内の各消防本部等の関係者の参加を得まして、救急患者の輸送、受け入れ態勢の充実や地域医療情報システムの活用などの課題について定期的に検討を行ってまいりました。今後は、地域レベルにおいても、関係機関と協議して同様の機会を設けてまいりたい、このように思います。 また、市町村や地元医師会を初めとする医療関係団体などの関係者で構成する地域医療対策委員会を県内各地に設置いたしておりまして、その中で救急医療についても取り上げ、一次、二次救急医療体制の確保や救急医療連携体制の推進あるいは救急医療に関する啓発事業の進め方など、さまざまな検討を行っておるところであります。救急医療体制の確保は極めて重要な問題でありますことから、今後とも救急患者に対して適切な対応ができるよう、委員会や懇談会の意見を聞きながら、特に御心配いただいておる過疎の進む町村、救急医療の第一線で働く皆さんの声をぜひ生かしていきたい、このように思います。 次に、防災ヘリコプター多角的活用及び救急救命士の拡充の問題でございます。 防災ヘリコプターは、現在大規模火災時の火災防御活動、例えば山火事などでありますとか、こういった大規模な火災の際、あるいは山岳遭難なり水難事故などの救助活動、県行政の広報活動、あるいは救急活動にも使用いたしております。救急活動といたしましては、離島、山間地など、交通遠隔地からの傷病者の──けがをしたり急病になった方々の搬送やあるいは高次医療機関への転院搬送などに使用いたしており、運航に当たりましては、各消防本部などとの連携を図りながら、要請を受けた段階で直ちに出動できる体制というものを確立しております。今後とも救急業務の円滑な推進を図るために、更に臨時ヘリポートの拡充、及び航空隊員の資質の向上、あるいは市町村など関係機関との協議を進めながら、防災ヘリコプターが十分に効率的に活用できるように努めてまいりたいと思います。 また、救急救命士につきましては、救急隊員を救急振興財団の研修所に派遣し、養成しておるところでございまして、現在六名が第一線で活躍いたしております。従来救急車の中でこうした方々が医療に携わることは禁じられておりましたが、そういう意味では一つの前進ではないかと思っております。今年度は、更に五名を派遣いたしまして、人員の拡充を図ることといたしておりますけれども、国の養成計画では、早期に必要人員を確保することが困難な状況にありますので、養成人員の増員を図るため、新たな養成所を東北地区にも設置するように、北海道・東北六県議会議長会並びに北海道東北地方知事会などの協力を得ながら国に対して要望しているところであります。 次に、工業振興の問題でございますが、御承知のように、我が県の産業構造は、農林水産業、そして商業といったような一次、三次産業が非常に強い県であった。歴史的に見ましても、そういうわけでございます。しかし、近年は、企業の立地などが進みまして、二次産業におきましても大きな躍進をいたしてまいっております。したがって、新潟なり福島などに次いで工業出荷額などもおよそ四兆円規模に達してまいっております。しかし、どうしてもかまぼこなどの食品加工やあるいは電気部門、また一部伝統的に金属関係があるというような偏った構造になっておるわけでございます。更に、今後構造的に幅広いものにしていきたいというふうに考えておりますけれども、そういう経過もございまして、工業技術センターは、昭和四十三年の開設以来地元の企業の技術力向上を支援いたしてまいりました。しかし、現在の体制では、お話のように、技術革新の進展でありますとか、あるいは多様化する企業のニーズ、こうしたものに十分対応できないということが問題となってきております。したがって、平成八年度オープンを目標といたしまして、産業技術総合センター、これは仮称でございますが、そういう形で幅広い技術支援ができるような新たな体制に整備をいたしてまいりたい、このように考え、また進めております。 この産業技術総合センターにおきましては、二十一世紀をにらんだ研究開発を行いますとともに、地域企業の技術者育成を支援する研修、講習はもちろんでございますが、企業の技術課題解決のため、一定期間技術指導員の派遣を行うなど、多彩な機関として充実してまいります。また、近年ニーズが出ておりますが、新商品の技術開発、こういう部門をぜひ一緒にやってもらえるような体制をとってもらいたい、こういうようなこともございますので、こういうことをそういう体制をつくってまいりたいというふうにも考えておりますが、工業系の試験研究機関の数については、そうした我が宮城県の工業の集積の度合いが地域によって異なっております。他の例えば福島でありますとか新潟に比べましてもいろいろと異なっておりまして、一概に他県と比較することは必ずしも妥当しないというふうに思いますが、そういう意味で、本県の工業技術センターは、今後研究開発なりあるいは指導体制、こういうものが非常に重要な問題点となっておりますので、まず、現在目標といたしております産業技術総合センターをできるだけ早くに総合的な整備を行っていくということに重点を置いてまいりたいと思います。 それから、御指摘いただきました地域の均衡ある発展を図る観点から、将来の課題としてサブセンターの建設等につきましても検討させていきたい、このように思います。 次に、幼児教育の問題でございますが、私自身もまゆをひそめるようなテレビ番組も少なくないわけでございます。多くの方々も大変心配しておるわけでありまして、性あるいは暴力、こうしたものが子供向けの出版物でありますとか、あるいはビデオの類、そして直接放映されているテレビ番組、こうしたものの中にも、次第にふえつつあるということで、精神面で成長過程にある子供たちやあるいは少年、青年たちに与える影響は非常に大きなものがあるのではないかということで、私も大変憂慮いたしております。 県におきましては、青少年課をこれらの問題の窓口といたしまして、環境浄化懇談会を設置いたし、また、昨年度からはマスコミ業界における青少年への配慮など環境浄化活動の充実を図るために、青少年育成関係者やテレビ局などの方々による青少年環境浄化懇話会を開催するなどして取り組んでいるところでございます。これもさきの県議会で今野議員からも指摘していただいた問題でございますが、今後も懇話会で御指摘のテレビ番組、こうしたものも取り上げてぜひ御議論いただきたい、こういうふうにして取り組んでまいりたいと思います。 また、県民の方々の個別の相談につきましては、児童相談所のほか、各福祉事務所の家庭児童相談室やあるいは子育てのためのダイヤル相談などを設けまして対応いたしておりまして、これらの連携を図るために青少年問題相談機関連絡会議を設置して、おのおのの相談窓口が活用されやすいように、また、今後相互連携が一層図られるように努めてまいりたい、このように思います。 次に、テレビ番組の問題でありますが、各放送事業者は、放送法によりまして、各局ごとに番組審議機関がございまして、それに図って番組基準を定めることといたしており、その基準の中で児童や青少年の健全育成に配慮することとされております。マスコミは、社会的影響力も極めて大きく、社会的な責任を負っているわけでありますので、まず放送事業者自身の自主規制の取り組みに期待してまいりたい、このように思います。 県といたしましても、関係業界との連携、協力体制を図りながら、環境浄化に一層努力してまいる所存でございます。 ○議長(亀谷博昭君) 三十三番。 ◆三十三番(今野隆吉君) ただいま知事の答弁の中に、環境浄化懇談会とかあるいは番組審議機関、国の方でやっているという話なんですが、私は、環境浄化懇談会のメンバーを見ましたときに、六十歳、七十歳の方々が多く見受けられます。実際に子育てをしている二十歳、三十歳の悩みを持っている方々が審議会の中に入ってないわけでありますから、当然環境浄化審議会の中でもそういう深刻な問題として取り入れられていないような気がするわけであります。 したがって、私は要望したいのは、この懇談会とか審議会とかいろいろ附属機関の中にありますけれども、その見直しをすべきではないかと思います。特に幼児教育問題につきましての浄化懇談会、これなども年がいっている人が悪いというのではなくて、それに更に現在悩みを持っている御父兄の方々も審議委員にするようにお願いしたいと思うが、知事のお考えはいかがでしょうか。 ○議長(亀谷博昭君) 知事本間俊太郎君。    〔知事 本間俊太郎君登壇〕 ◎知事(本間俊太郎君) 確かに現在子育てをしている人たちの悩みを反映させるということも非常に大事でございますので、今後このメンバーを設定する段階で御意見を取り入れさせていただきたい、このように思います。 ○議長(亀谷博昭君) 十一番岸田清実君。    〔十一番 岸田清実君登壇〕 ◆十一番(岸田清実君) 私は、さきの通告に従い、大綱二点について質問を申し上げます。 第一の質問は、有機無農薬あるいは減農薬農産物についてであります。 今日、国民の思考の中に、安全と環境が大きなキーワードとなっています。ボーダレス時代と言われ、身の回りの環境を考えるためにも、国境を越えた地球規模での対策が必要であり、そのことを国民一人一人がみずからのものとして考え始めています。また、みずからの行動と生活が全体にどのような影響を与えるかが考えられなければなりませんし、そのこともまた進みつつあると思います。そして、それは農業あるいは農産物についても例外ではありません。農林水産省の新農政プランでも、環境保全型農業として打ち出されているように、人間と環境に優しい農業の確立が求められています。そして、そのことが進まなければ、今日の国民の意識の変化の中で、日本の農業が取り残されていくことになるのではないかとも考えるのであります。ポストハーベスト、すなわち収穫後の農薬散布など、輸入農産物の安全性の問題は、農産物市場開放反対の有力な論拠となっていますが、単位面積当たりでは欧米の数倍の農薬や化学肥料を使う国内産が、輸入物より安全という保証はないとの声もあります。また一方、今日社会的な問題となっているアトピーについても、農薬がその原因の一つと指摘する声もあります。安全な農産物の輸入をという声が出ないとも限らない現実であります。日本の農業と食料を守るためにも農業のあり方が再検討されなければならないと考えるのであります。 農林水産省は、昨年十月一日、有機農産物等に係る青果物等特別表示ガイドラインを制定し、本年四月一日より施行しています。有機農産物、無農薬栽培、減農薬栽培の三段階に区分し、これまでばらばらであったこれら有機無農薬農産物の表示に統一性を持たせ、消費者に信頼のおけるものにしようというものであります。減農薬や無農薬に取り組んでいるのは全農家の一%以下という農水省の統計もあり、必ずしも有機農業に積極的でなかったと言われる農水省の姿勢の変化とも言えます。 このガイドラインは、さまざまな問題点を抱えつつも、生産者に影響を与えているのも事実であります。これまでも安全農産物生産運動を進めてきた角田市農協では、このガイドラインの制定を機会に、将来有機農業が消費者に広く理解され、受け入れられて有機農業が拡大するとし、国庫補助事業として角田農業改良普及所の協力を得て、安全野菜づくりテキストを作成しています。作目ごとの部会を持ちながら、どのような農法によってどれだけ農薬を減らせるかが検討され、まとめられています。また、農薬の空中散布の中止は宮城県内で二万ヘクタールに及び、これは全国の空中散布の中止に匹敵するものであります。 このような動きを見ても、農水省のガイドライン制定を一つの契機として、改めて有機農業について県としても本格的な取り組みを開始すべきときに来ていると思うのであります。県では、このような動きにこたえて、今年度から園芸戦略拠点づくりの一環として有機野菜生産推進対策事業を行うことにし、この予算を当初予算に計上しています。三カ年計画の初年度として、今年度は県内における有機野菜の生産、流通の実態調査を行い、二年目以降はモデル実証圃を設置し、農水省のガイドラインに沿った野菜づくりに取り組み、将来的には県独自の認証制度をも視野に入れながら、検討を進めることにしていると聞いています。私は、冒頭述べた全体の動きから見ても、この事業が実り多いものになることを心から願うものであります。そのような立場に立って、他県の取り組み、関係者の意見などをもとにしながら、内容の具体化に当たって幾つかの点について御所見を伺うものであります。 まず第一に必要なことは、安全で環境に優しい農産物の生産を目指して、農薬の使用をできる限り減らし、有機農法へ転換していく方向が必要であることを県として明確にすべきだと思うのであります。熊本県では、一昨年九月、土づくり・減農薬運動推進指針を策定し、有機減農薬農業へ県内の農業を誘導することを明らかにいたしました。その中では、高生産性、高品質化を追求する反面、経営の単一化や労働力の減少のもとで、化学肥料や農薬に依存する傾向にあり、堆肥など有機物の施用が減少するなど、地力の低下や自然生態系への影響が心配されるまでになってきた。このような状況の中で、土づくりを基本とし、できるだけ化学肥料や農薬の使用を抑え、農地の地力維持増進や環境を保全していく農業への転換を図ることが大切と述べられています。 また、一九八九年十月二十一日、宮城県農協中央会と宮城県消費生協連合会は、宮城県農産物の安全性を高めるための共同見解をまとめ、発表いたしました。この中では、生産者は減農薬運動を展開し、有機農業への取り組みを推進すると述べるとともに、農薬に関する行政の十分な指導を求めるとも述べられています。今後の農業のあり方として、農薬は必需品という立場を転換し、農薬をできるだけ減らし、有機栽培を目指すことをはっきりと打ち出すべきであります。 第二の問題は、生産から流通に至る体系的な対策が立てられていくべきだという点であります。岡山県では、五年前から全国に先駆けて、有機無農薬農産物の認証制度を実施しています。農薬、化学肥料無使用の有機無農薬農産物と、県が限定する五つの生物農薬や天然殺虫剤を使った有機栽培農産物の二種類の指定とし、十人、計一ヘクタール以上のグループからの申請を受け、消費者を含む県内九カ所の審査委員会が審査し、県が認証するものというものであります。しかし、単に生産されたものにシールを張るだけの認証制度にとどまらず、生産から流通までの一貫した体制づくりに力を入れているのが特徴であります。産地の育成、推進リーダーの養成、生産技術の確立と普及、取扱店の開拓、消費者への啓蒙が一体となって進められています。農水省のガイドラインが表示の統一のみに終始し、生産、流通の問題に手をつけられないままになっているのとは大きな違いであります。県内では、有機農業を進める生産者は現状では個々ばらばらのまま、個々の努力に任されています。意識的につなげ、どう育成していくかが求められています。 黒川郡大郷町に、農家の若い後継者たちが集まってつくったみどり会というグループがあります。八年前、農家のお年寄りが自家用としてつくった野菜の余剰分を仙台に一緒に売りに出たことから始まって、今日では年間一億九千万円の売り上げ目標を目指すところまで来ています。畑から台所へを目指して産直活動を進めるとともに、安全な野菜づくりへ向けて除草剤は全面禁止、農薬もできるだけ減らし、堆肥を入れて土づくりを進めています。ほかの地域でも同様の生産者が点在しているに違いありません。安全な農業を進め、農家の実際の所得につなげ、農業のあり方への自信につなげていることは大きな財産ではないでしょうか。その経験を生かしながら、新しい有機農産物生産者をふやしていくことが求められています。今年度から始まる調査にぜひ期待したいと思うのであります。 流通の問題も避けることができません。有機無農薬農産物は、これまでの栽培法に比べて手間もかかり、なおかつ見た目も悪い場合が多くあります。一般の市場流通では、この手間の分の評価は行われず、しかも見た目の悪さゆえに、むしろ低い価格に抑えられるという結果になっています。岡山では、独自の販売店網を開拓するなど、販路についても努力が行われています。生産までの努力が正当に評価されるのでなければ、生産意欲が後退することは明らかであります。市場の中で、有機無農薬野菜がそれにふさわしい取り扱いを行われていくためにも、流通の問題について検討が行われるべきと考えます。 生産技術の確立の問題も重要であります。角田市農協では幾つかの農家に依頼し、個別の品目ごとに栽培技術の開発を行っていますが、個別の小さな努力では限界があります。どのような栽培法をとることによって、どの農薬が減らせるのか、どのような天候のときには作物にどのような影響があるのかが作目ごとにデータとして整えられる必要があります。農薬を減らしていくためには、そのための科学的な裏づけがなければなりません。試験研究機関を持つ県の役割が求められていると思うのであります。 更に、私は、当面農水省のガイドラインの不備を補い、体系的な有機農業への取り組みに至る中間駅として、県独自の栽培指針を策定すべきだと考えるものであります。農水省の基準では、例えば、有機農産物を化学合成農薬や化学肥料を過去三年間以上使わずに、堆肥を使った土で栽培したものと定義していますが、どの農薬が化学合成農薬に当たるのかなどには触れていません。このため、生産者、消費者双方からあいまい過ぎるとの批判が出ています。これに対して、兵庫県では栽培指針を策定し、使用できる農薬の種類を天然系や無機イオウ剤などに限定、また、使用できない土壌改良剤や肥料についても、石灰窒素、ポリエチレンイミン系など、具体的に示しています。更に、農家への有機栽培の手引として、化学農薬、化学肥料を使わない場合の栽培方法、病気に強い品種、家畜肥料の使用例などを、実例を盛り込んで紹介しています。兵庫県内産の農産物は、この指針に沿ったもの以外は、農水省の指定する表示を認めないとしています。農水省のガイドラインをその意図するように機能させるためにも、このような指針の策定が重要だと考えるものであります。 このように、生産、流通、生産技術の問題が一体的に検討されなければなりませんが、このためには関係部局間の連携もまた重要であります。表示の問題は生活福祉部、生産者にかかわる問題は農政部と所管が分かれています。現在の農水省のガイドラインと県が目指す有機野菜生産推進対策事業とが統一的に対処されるべきであります。以上、述べたことを踏まえて、具体的に幾つかの点について御所見をお伺いする次第であります。 一つは、できるだけ農薬を減らし、有機栽培を追求することが今後正しいという立場を明確にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。 二つ目の点は、有機野菜生産推進対策事業が単なる表示の問題にとどまらず、生産者の育成、流通に至る体系的な対策として進められるべきと考えますが、いかがお考えでしょうか。 三点目は、栽培法と農薬の関連等、有機農法の確立に向けて、県の試験研究機関での検討を進めるべきと思いますが、御所見をお伺いいたします。 四点目は、将来の体系的な対策に至る中間駅として、兵庫県で策定されたような使用農薬の可、不可の判別を含む農水省ガイドラインの不備を補う有機栽培指針の策定を検討すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 第二の質問に移らせていただきます。 廃棄物対策についてであります。 廃棄物処理法は、行き詰まった廃棄物行政の改善と地球規模で大きく問題になっている環境問題に対応するため、一九九一年十月、二十年ぶりに改正され、昨年七月四日から施行されています。それを受けて、本年四月より条例改正などを行う自治体も出ています。改正廃棄物処理法を生かして、新しい廃棄物処理行政を進めていけるかどうかは、今後この法律の自治体における運用にかかっていると言っても過言ではありません。そのような立場に立って、幾つかの点について知事の御所見をお伺いするものであります。 日本は非常に豊かになったと言われていますが、その社会構造は、使い捨て文化による大量生産、大量消費、大量廃棄の経済システムによって成り立っております。そのため、経済の効率性が重視され、環境問題などは軽視され続けてきました。この結果、ごみの増量と質的多様化は著しいものがあります。一般廃棄物は一九八五年以降、毎年三ないし四%増加しており、産業廃棄物はこの十年間で三二%増加しています。更に、今後十年間に一般廃棄物が三三%、産業廃棄物が三八%増加すると見込まれています。 日本の廃棄物問題は、量的増加に対しては従来の生活態度を改め、廃棄物の排出抑制を行う社会システムや経済システムを確立することが求められています。改正以前の廃棄物処理法は、出されたごみを処理するという受け身の行政でありましたが、改正案では、排出源までさかのぼって、国民の使い捨て文化の生活態度を改め、廃棄物の排出の抑制、減量化、リサイクル、有害な重金属などもできるだけ回収して、資源循環型の社会を目指して、社会経済システムの変更を求める内容に変わっています。 厚生省は、今回の法改正について、都道府県、政令市を集めて、昨年七月七日に行った説明会の中で、法律というのは単なる一つの手がかりにすぎず、大きな考え方、方向を示しただけであります。法の目的、責務、努力義務などのソフト面については、市町村あるいは都道府県の取り組み次第です。法律を改正して、更に前進するときには、自治体の取り組みをベースにして、市町村がこれだけ困っている、都道府県からこれだけ要望があるということがあって初めて、厚生省は関係省庁、産業界と話ができると述べています。法律の改正を受けて、地方での具体化が求められています。 産業廃棄物行政には確かに難しい問題が多く、業界との対応も難しい面が多く、比較的守りの姿勢が多く存在をしていました。それが事前協議制などの要綱行政という形になってあらわれていると言えます。しかし、今産業廃棄物の処理は、単純に廃棄物行政という狭い分野の問題だけでなく、産業活動をどう考えるか、あるいは地域の活性化、地域の町づくりをどう考えるかという観点から取り組むべき時代に来ています。厚生省も都道府県の主体的、積極的な取り組みを求めています。これを機会に、私は仮称でありますが、廃棄物の処理及び再資源化に関する条例の制定を検討すべきと考えますが、知事の御所見をお伺いするものであります。 現在、一般廃棄物をもあわせて所管している東京都のみが条例を持っているだけで、他の道府県は条例を持たずに、廃棄物処理法に対する施行細則のみで行政を行ってきています。今回の廃棄物処理法の改正は、特別管理産業廃棄物の指定、廃棄物センターの設置など、非常に大幅なものであり、条例化し、法的な根拠を明確にしながら、廃棄物行政に臨むべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。 以下、具体的な点について指摘いたしますので、御所見をお示しください。 一つ目の問題は、適正処理困難物についてであります。昨年、厚生省が全国の自治体から行った調査をもとに、厚生省が指定することになっております。しかし、処理に当たっては、業界への要請も必要であり、その処理施設についても独自に持つことは困難な場合が考えられます。広域的な協力体制づくりと業界などとの協議のために、県がその役割を果たすことを明確にすべきであります。また、必要な場合には、県が適正処理困難物を指定できるようにもすべきだと思うのですが、いかがでしょうか。 二点目の問題は、特別管理廃棄物の指定の問題であります。改正廃棄物処理法では、特別管理廃棄物の指定が非常に少なく、有害廃棄物に対する対応が改善されていません。県として埋立処分場における判定基準を設けて、特別管理廃棄物について知事が独自に指定できるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。 三点目は、特別管理廃棄物に関する廃棄物管理票についてであります。廃棄物管理票は、自治体に対する報告を義務づけられている廃棄物管理票交付者以外に、特別管理廃棄物を処分した者も県知事に報告を行うことを義務づけ、産業廃棄物に対する情報のより正確性を求めるべきであります。 四点目は、リサイクルに関する問題であります。古紙の回収が進んだこともあって価格が下落し、再資源化のサイクルが途切れる危険性さえ指摘されています。リサイクルの定着のためには、回収とともに活用の道の拡大が必要であります。県内には石巻の日本製紙、岩沼の大昭和製紙という大規模な製紙工場が操業しています。ここでの古紙の活用について協議すべきと考えますが、いかがでしょうか。 以上、大綱二点について御質問申し上げました。知事の前向きの御所見を期待し、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○議長(亀谷博昭君) 知事本間俊太郎君。    〔知事 本間俊太郎君登壇〕 ◎知事(本間俊太郎君) 最初に、有機農産物対策についてお答えをいたします。 初めに、有機栽培を推進すべきだと、こういう御意見でございますが、そのとおりでありまして、県では身近な環境から地球環境に至るまで、自然の生態系に十分配慮し、かつ豊かで潤いのある地域づくりというものを基本理念といたしておりますので、農業におきましても、従来から有機物のリサイクルによる土づくりの積極的な指導に努めてまいっております。 現在、農産物を安定的に生産、供給していくためには、農薬やそれから化学肥料の役割が大きいことも事実でありますが、近年こうした環境問題がクローズアップされてまいりましたので、また、消費者の食べ物に対する安全の志向というものも強まっておりますので、そういうことを十分に認識して進めていかなければならないと思っておりますが、御質問にもありましたように、大郷町のみどり会を初め、みやぎ生協と提携して、有機減農薬の野菜などを生産している宮城田尻町農協産直委員会もありまして、このように有機栽培に取り組むケースが年々増加するなど、農産物の多様な生産あるいは流通形態が生まれてきております。今後は環境への負荷を軽減して健康な作物を育てる、そのための土づくりの運動をなお一層進めながら、有機栽培を初めといたしまして、農薬に過度に依存しない栽培技術の指導というものを図って、環境に優しい農業というものをやはり本県の農業政策の一つの柱としても掲げながら、一層推進していく必要がある、このように考えております。 次に、有機野菜生産推進対策でありますが、県といたしましては、中山間地域などにおける収益性の高い農業の振興を図るために、有機野菜の栽培を取り上げて推進に取り組むことといたしております。しかし、有機野菜は作柄がやはりどちらかと言えば不安定になりやすい、あるいは規格品を一定の量確保することが難しいなど、いろいろ問題もあります、これは市場側の問題もあるわけでございますけれども。そういうことで、流通につきましても、産地直売等の方式がとられているケースが多くなってきております。したがって、本年度は生産、流通の実態の把握、それから実践事例の調査などを行いまして、問題点をぜひ明らかにしてまいりたいと思っております。そして、御指摘いただいたように、やはりトータルに取り組むべきと、こういう御提言でありますが、そのとおりでございまして、こうした調査結果を踏まえて、モデル実習圃の設置や施設、機械の整備、あるいは新たな流通ルートの開拓など、生産者の育成から流通に至るまで総合的に対応していきたいと思いますので、その対策をぜひ検討してまいりたい、このように思います。 次に、有機農法の確立の問題ですが、試験研究をすべきだということですが、現在までイチゴ、白菜など野菜類への天敵微生物の活用や、リンゴ、桃などについての性フェロモンによる防除方法を確立し、大きな効果を上げております。更に、全国に先駆けまして、技術開発をしたいもち病抵抗性の強いササニシキIL系統の育成や大豆の弱毒ウイルスによるモザイク病の防除法については、おかげさまで高い評価と関心が寄せられております。今後は農薬にかわるカビ、あるいは細菌、こうしたものを利用した害虫防除の方法の確立でありますとか、あるいはバイテクを活用した遺伝子組みかえによる病気に強いトマトなどの品種の育成、あるいは水稲の病害虫発生予察システムの開発研究などを進めてまいります。実用化に向けましては、いろいろと難しい点もございますけれども、減農薬栽培を初めとした有機農法確立のための試験研究を我が県としても積極的に取り組んでまいりたいと思います。 次に、有機栽培指針を県としても独自につくってはどうかということですが、御提言はそのとおりだと思いますけれども、農作物の種類あるいは作型、天候などによりまして、病害虫の発生様相がいろいろと異なるために、収量、品質の確保がなかなか難しいわけでありまして、栽培技術の確立など、いろいろと解決すべき課題も多いというのが実情でございます。私も国の農林水産技術会議の委員もやっておりまして、国の場合は非常に研究体制が厚いわけでございますが、我が県の場合、やはり基礎研究はなかなか十分に行えないというような問題もございまして、御趣旨はよくわかるわけですが、当面は宮城県農作物病害虫防除基準に基づいて、適正な農薬使用や各地域における有機栽培に対応した技術指導に努めていくということをまず第一にしてまいりたい、このように思っております。 なお、国に対しても、こうした面のガイドラインをできるだけわかりやすく全国に出してもらうようにお願いをしてまいりたい、このようにも思います。 次に、廃棄物対策についてお答えいたしたいと思います。 初めに、条例の制定を検討すべきではないかとの御質問についてでございますが、先般廃棄物の処理及び清掃に関する法律が大幅に改正されたことは、御承知のとおりでございます。県といたしましては、この改正法を適正に執行いたしますとともに、廃棄物行政の現状を踏まえまして、一昨日、高橋議員にもお答えいたしましたとおり、国に対して、地域住民と関係者の理解を得る方策などの制度化や、あるいは処理施設の技術上の基準などの見直し等、制度の整備充実等の措置を講ずるように要望してまいりたい、このように今考えておりまして、その研究をいたしております。 また、県では現在指導要綱の見直しを進めておるところでございますので、条例の制定につきましては、国あるいは地方自治体の動向を踏まえまして、慎重に対応したい、このように思います。 次に、適正処理困難物の処理についての御質問でございますが、適正処理困難物は、私もよくわからなかったのですが、大型テレビであるとか、冷蔵庫とか、こうした電化製品なり、あるいはスプリング入りのマットレス、タイヤ、こうした大型で、搬送あるいは破砕に非常に困難を来すものということになっておりますが、そもそも一般廃棄物であることから、その処理は市町村固有の事務ということでございます。 また、廃棄物処理法では、適正処理困難物を広域的に処理する場合にも、当事者である市町村間でそれぞれの一般廃棄物処理計画と調和を保つように定められておりまして、県といたしましては、廃棄物の広域処理状況を踏まえながら、その処理について市町村を指導してまいりたい、あるいは連携をとらしていきたいというふうに考えております。 なお、適正処理困難物の指定につきましては、廃棄物処理法によりまして、厚生大臣が関係省庁の意見を聞いて指定するということになっておりますので、御理解いただきたいと思います。 次に、特別管理廃棄物の指定につきましては、国が廃棄物の有害特性の有無あるいは廃棄物の発生量などを総合的に勘案いたしまして、生活環境審議会の意見を聞いて定めることとされておりまして、現行法では県独自には指定できないこととなっておりますので、御理解いただきたいと思います。 次に、特別管理産業廃棄物管理票に関する御質問にお答えします。 法律では、特別管理産業廃棄物の適正処理を図るために、知事に対し、各年度ごとに排出事業者に対する処理の実績や処分業者に対する処分実績の報告などが義務づけられてはおりますものの、個々の管理票の報告までは義務づけられておりません。県といたしましては、現行法に基づき、排出事業者や処分業者を指導するとともに、国に対し報告期間の短縮など、特別管理産業廃棄物の処理について充実強化するように要望してまいりたい、このように考えております。 次に、古紙の活用でありますが、リサイクルを促進するためには、古紙の回収を進めるとともに、その再生利用の向上に努めることが大切であります。こうしたことから、紙製造事業者においてもリサイクル法に基づきまして、古紙の再生利用に積極的に取り組んでいるところであります。 お尋ねの紙製造事業者の方々との協議の件につきましては、従来から県が設置しております廃棄物問題対策会議でも議論を重ねてまいったところでありまして、今後設置を予定している廃棄物の減量化、再生利用推進のための協議会におきましても、具体的な取り組みについて大いに協議をしていただきたい、このように思っております。以上でございます。
    ○議長(亀谷博昭君) 暫時休憩いたします。    午後二時二十一分 休憩   ─────────────────────────────────    午後三時三分 再開 ○議長(亀谷博昭君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑、質問を継続いたします。十八番相沢光哉君。    〔十八番 相沢光哉君登壇〕 ◆十八番(相沢光哉君) 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、大綱二点につき知事及び県当局の御所見をお伺いいたします。 まず、観光行政についてであります。 本年五月、第四次全国総合開発計画、いわゆる四全総の点検作業を進めている国土庁は、次期五全総における地域活性化の指標として、これまでの定住人口から、観光客など人の動きがどれだけ活発化しているかという交流人口に改める考えであることを発表しました。これは社会全体が出生率の低下によって人口の伸びが鈍化し、さまざまな政策によっても地域格差の是正がなかなか困難である現状を認めざるを得ないからであり、地域振興政策の機軸の変更にほかなりません。事実東北六県における人口減少市町村は、平成四年度末で三百一市町村、全体の七六%に達し、宮城県でも五十市町村、全体の七〇・四%を占めております。このうち出生者数より死亡者数が上回る人口自然減の自治体は三十二市町村、全体の四五・一%を数え、人口の変化が急ピッチで進んでいることを示しています。交流人口という国土庁の地域活性化新指標は、いわば地域の元気度を質的に評価してみようという考え方で、県土の均衡ある発展を目指す県政の推進にも大いに参考となる概念でなかろうかと思うのであります。特に、経済効果の高い観光による交流は重要であり、活性化に役立つ観光資源、文化遺産、伝統行事等の振興や、交流の手段としての道路、鉄道網の早期整備は、観光振興とリンクした事業として位置づけるべきであります。観光系学部を持つ県立大学の設置を目指す本間県政として、交流人口の実態把握とともに、本県の観光行政をどのように進めようとするのか、その基本姿勢をお聞かせください。 次に、本県への観光客入り込み数は、平成四年度は三千九百五十万人と、景気低迷の影響を受け、前年度に比べ微増に終わりました。東北六県で、全都道府県の平均入り込み数を超えているのは福島県と山形県のみで、本県は近年、国際観光の目覚ましい進展があるものの、まだまだ観光後進県であります。その理由は、道路、鉄道、航空路、航路がまだまだ未整備なこと、松島、仙台を除き知名度の高い観光地が少ないこと、東北は遠いというイメージと、宮城県の存在感が薄いことなどが挙げられ、特に関西以西の人々には、残念ながら魅力のある県とは映っておりません。その意味で首都圏はもとより東海、近畿、中国、九州地方に対して、東北六県、あるいは県内市町村、関連業界との連携を強化し、積極的に近くなった宮城の観光宣伝にもっと力を入れるべきと思いますが、いかがですか。 また、外国人観光客に快適に旅行を楽しんでいただくための受け入れ態勢の整備など、国際観光戦略についてお伺いいたします。 次に、仙台・松島国際観光モデル地区についてですが、海外に紹介し得る観光資源を有する観光地として、全国三十六地区の一つに指定を受けておりますが、その実態は、整備促進のため国から財政的支援があるわけでもなく、県を初め仙台市、多賀城市、塩釜市、七ヶ浜町、利府町、松島町、鳴瀬町によってつくられている仙台・松島国際観光モデル地区推進協議会が年間六百万円程度の予算規模で、英語、韓国語による観光パンフレットを作成するなどのささやかな活動をしているにすぎません。行政の垣根を越えた共通目的の機関があるのですから、本県を代表する観光地の振興のために、少なくとも現在の負担金の十倍規模まで県及び仙台市が政策支出によって拡大し、積極的な活動の道を開くべきと思いますが、知事の前向きの御答弁をお願いいたします。 さて、八月の組織改革の一環として、企画部に総合政策局、土木部に港湾空港局、都市住宅局を設けるなど、部制再編整備が進められようとしていますが、余暇の増大や所得の向上、国際化の進展、そして最初に述べたように、地域振興の手法としても観光行政の果たす役割は極めて大きいものがあります。その意味で、商工労働部の中に観光局あるいは観光政策局を設け、リフレッシュリゾート構想など、公的観光レクリエーション施設の整備はもとより、民間観光資本の誘致など、観光行政の統合と一元化を図るべきと考えます。 先日ちょうだいした松島観光協会の創立四十五年記念誌のとびらには、観光の「観」は、「真理を観ずること。心静かな清浄な境地で、世界のありのままを正しく眺める。」意味であると記しています。本間知事の明晰な観点からの御所見をお伺いいたします。 次に、県立大学及び県立図書館についてお尋ねいたします。 この二つの構想については、今月初旬宮城県長期総合計画第三次案が公表されて以来、にわかに論議の対象となり、議員全員協議会や我が自民党会派における三回にわたる説明会で明らかになったように、これだけのビッグプロジェクトにしては極めて論議不足のまま強引に提案されている感を禁じ得ません。特に、第二次案において、県又は公設民営による看護大学の整備とされていたものが、突然、第三次案に、看護系学部、観光系学部による県立大学の整備と変更され、その箇所づけとして、広域仙台都市圏北部地域、具体的には泉パークタウンに近い黒川郡大和町小野地区に想定していることが明らかとなりました。そして、本定例会に八千百五十万円の建築基本設計に係る補正予算案が提案され、まさにあれよあれよという超ハイペースで進められております。更に、県立図書館に関しては、第三次案グランドデザイン編の「文化創造・スポーツ振興プロジェクト」に記載されているものの、地域別発展計画には、その建設予定地泉区実沢地区が含まれる広域仙台都市圏北部地域の主要事業から欠落しており、まさにこの二つの大事業に取り組む姿勢としては、拙速、唐突の印象を免れないことは、議員の多くが指摘するところであります。それは、決して揚げ足をとって文句をつけるということではありません。長く県民の貴重な文化財産ともなるべき県立大学、県立図書館が「急いては事を仕損ずる」のたとえのように、検討不足、研究不十分な対応によって、将来大きな禍根を残すことを真に憂慮するからにほかなりません。 以下、具体的に数点にわたりお伺いいたします。 まず、県立大学についてでありますが、第一に、その建学の精神はいずこにあり、それをどのように持続させ、発展させるのかということであります。これまでの知事並びに県当局の説明では、二十一世紀を担う宮城の人づくり構想をもとに、今日的なニーズにこたえ、かつ幅広い人材育成と魅力ある大学づくりの観点から、ホスピタリティーとユニークさをキーワードとした看護系、観光系の複合大学をつくることを目的としていると伺っております。それはそれで結構でありますが、私の印象としては、まず宮城県として、他の自治体立大学に伍して、自前の県立大学を持ちたい。それには既存の大学と競合しない分野である看護系、観光系学部がよいのではないか。それではホスピタリティーがうってつけだという発想があったのではないかと思えるのであります。つまり、建学の精神よりも建設の精神の方が優先してしまったのではないでしょうか。教育後進県とは決して思えない我が宮城県にあって、あえて県立大学をつくる意義は、本来県民各層からの強い要望や、広範な期待があり、それが県民共通の理解のもとに、一つの精神として結晶するという過程が必要ではないでしょうか。特に、自治体立大学の場合、その運営がどうしてもお役所的色彩が濃くなることと、大学として実績に富む既存の国立大、私立大の研究レベルや教授レベルに及ばないことから、次第次第に平板で非個性的な、可もなし、不可もなしの大学になってしまうおそれなきにしもあらずであります。その意味で、時移り、人変わっても輝きを失わない建学の精神を、広く県民の英知を集めることによってわかりやすく構築することについて、また、大学の顔として今後の方針や性格を決定づける学長候補となるべき人材確保について、知事はどのようにお考えであるか、お聞かせ願います。 第二に、財政面であります。 大学の建設費は、用地費を含めどの程度でありましょうか。また、運営費についても、文科系、理科系の複合大学ということもあって、毎年二、三十億円の持ち出しが予想されるところですが、それらは詰まるところ、県民の負担となるものであります。入学生の出身県別や卒業生の就職先などがいずれ明らかになるにつれ、一般会計からの相当額の支出について、県民の理解を得るための方策が必要と思います。お考えをお示しください。 また、全国の公立大学四十六校の財政を見ますと、平成四年度一校平均の自治体一般財源負担額が三十二億九千万円であるのに対して、国庫支出金は一校平均わずか年額八千六百万円にすぎす、国立大学は論外としても、私立大学に対する私学助成金とも著しい開きがあります。これは学生数に応じた地方交付税措置などはあるものの、国の姿勢が、公立大学は地方自治体が自前で賄いなさいという態度に貫かれているためでありますが、全国知事会、全国市長会等を通じ、国庫支出金増額の働きかけをすべきと思いますが、いかがでしょうか。 第三に、立地場所の選定についてであります。 仙台一極集中を緩和し、県土の均衡ある発展を図ることが県政の大きな目標であることから、今回の選定について各議員から強い反対意見がありました。私は、県当局がこのことに関してあらゆる角度から検討を加え、万やむを得ぬ結論として、将来学術研究都市の中核地域として整備される仙台圏北部地域に選定したものと、その検討経過を了とするものでありますが、その理由を拝見しますと、主に看護系大学のための実習病院確保と教員確保の必要性、面積、自然環境、用地取得の容易性、交通の利便性、そして良好な教育研究環境としての将来性となっております。私は、県立大学の立地が、諸般の理由から仙台圏に位置せざるを得ないという結論に達したのであれば、何ゆえこの場所より立地条件に勝る青葉山県有地の活用を検討しなかったのか、疑問に思うのであります。青葉山県有地については、現在東北大学が、片平キャンパス、農学部、歯学部、更には医学部など、市内に散在する用地の集約移転先として希望する動きがあり、それはそれとして、遠からず県政上の重要課題として浮上してくると思いますし、最近知事の前向き姿勢がうかがえることを歓迎いたしますが、ちょうど一年前の定例会で、この問題について論じたように、現在の青葉山ゴルフ場の不安定な土地貸借関係を考えれば、むしろ県は誠意を持って良好な近隣地へのゴルフ場移転をあっせんし、青葉山県有地を本来の公用、又は公共用に供するため、今回の県立大学構想との整合性を図ることも知事の勇気ある選択の一つであったのではないかと思います。御所見をお伺いするものであります。 なお、大和町小野地区の交通利便性を考えた場合、少なくとも北四番丁大和町線の全面開通が不可欠と思います。現在ネックとなっている北山荒巻地区の早期整備について、事業主体の仙台市とどのような対策を講じ、また完成年次をいつごろと考えているか、お尋ねいたします。 第四は、平成八年四月を開学目標としている点についてであります。 全員協議会でも質問のあったところですが、あとわずか三年足らずで果たして間に合うのかということは、だれもが危惧する点であります。特に、全国で初めての観光系学部を擁する県立大学の設置認可について、文部省との協議が難航することが予想されるほか、自治省、文部省との事前協議がそれぞれ約一年ずつかかることや、ソフト面の整備、すなわち教員組織や教育課程の編成、学則、管理運営計画の策定などが入試など開学準備と並行して進めなければならず、まさに突貫工事の体をなすのではないかと思われます。 また、例えば私立の多摩大学学長で、革新的な教育者として著名な野田一夫氏は、大学の建物のデザインや設計は、大学の理念や性格を決定づけるものとして極めて重要であり、特に造形的に美しく、機能的にすぐれているゆえに話題性に富むこと、学生のみかコミュニティーの人々が誇りにし、また好んで利用したがること、二十四時間オープンの図書館、眺望のきいたすてきな学生食堂、スポーツイベントが可能な屋内多機能スペース施設を整備すること、この三点をカレッジアメニティーの要点として強調しております。県立大学構想の余りにあわただしい展開の中で、このようなしっかりとしたコンセプトや哲学が生かされる余裕があるのだろうかと心配されるのであります。開学年次及び建設、設計への取り組みについてお聞かせ願います。 第五は、県立宮農短大との関連についてであります。 総合計画第三次案、各論編では、大学等高等教育の充実を図る上で、次のように述べております。 本県のあすの産業を担う人材を育成するため、先端的科学技術を開発研究するとともに、実学、実践を重視する新しい運営理念を導入した自然科学系高等教育機関の設置を促進し、あわせて農業短期大学を発展的に改組し、新しい学部学科とした整備を進める。注意深く読めば、宮農短大を四年制大学に改組するとは言っていないことがわかりますが、大学への昇格は、長年の悲願であり、農業県である本県の先進的農業経営体の育成や人材養成のためにも、また県民ニーズの高まりから言っても、唐突に出現した感のある観光系学部より、むしろ先行して検討されてしかるべきと思います。今回の県立大学構想と将来どのような接点が生まれるのか。あるいはその可能性が難しい場合、どのような方向となるのか、お尋ねいたします。 第六点は、観光系学部についてであります。 今日、全国の大学の中で観光系学科を設置しているところは、立教大社会学部観光学科、横浜商科大商学部貿易観光学科、流通経済大社会学部国際観光学科、宮崎産業経営大経済学部観光経済学科の四大学で、いずれも学科にとどまり、観光系学部を置いているところはまだありません。それだけに、今回かねてから検討されてきた看護系学部と理念を共有するという観点から、全国国公立大学として初めて観光系学部を設置するということが急浮上したことは、検討の積み重ねという行政手法や、諮問委員会の答申を得るというオーソドックスな行政手続が省略されている点に新鮮な驚きを感じますとともに、わずか三カ月前の本年三月定例会における我が会派の同僚議員、遊佐雅宣議員の観光系大学に関する提言を嚆矢とするならば、遊佐議員の先見の明に心から敬服するものであります。かつまた総合計画第二次案を急ぎ改編させ、具体案策定をトップダウンで盛り込ませた本間知事の積極果敢な決断は、もしかしたら遠く慶長の昔、支倉常長をローマに派遣した政宗公の気概に一脈相通ずるのかなと、ひそかに思うのであります。 私は、本間知事がこの決断を下すに当たって、必ずや並の大学はつくりたくない、いつの日かその先見性とユニークな個性から、日本国内はおろか世界各国から人材が集まる大学にしてみせるというほとばしる思いがあったものと推察いたします。それだけにこの構想が着実に根づき、花を咲かせるためにも、以下の諸点について確認の意味合いを含めお尋ねいたします。 第一点、企業は人なりというように、教育はもとより、リーダーの力量が絶対であります。前にも伺いましたが、観光学を統率し得る人材の確保について自信がありますか。第二点、観光学は、まだ我が国では学問体系上定着したものとはなっていないと思われます。大学では、いわゆるアカデミズムや正統性が問われるだけに、学部レベルとした場合、カリキュラム編成上支障は起こりませんか。第三点、国際化に対応する意味から、例えば国際学部観光学科というような編成は考えられませんか。また、その場合、東北の地域性を重視し、例えば環太平洋圏、環日本海圏の国際交流、経済交流を対象とする学際学や帰国子女の積極的受け入れなど、知事の提唱するアジア・太平洋の拠点を目指す新・伊達なクニづくりの体系化を図ってはいかがですか。第四点、県立大学に観光系学部を設置する以上、大学の研究成果を本県の観光行政に役立てることについて、どのようにお考えですか。 県立大学に関する第七番目の質問は、看護系学部の取り組みに関してであります。 高齢化社会の到来を迎える今日、本県が潤い豊かな地域づくりと県民の健康で生き生きとした生活を支えるマンパワーの育成確保のために、医療技術の高度化、専門化に対応する資質の高い看護職の養成拠点として県立大学を整備することは、まことに時宜を得たことであります。かねてから看護大学の設置や看護婦等医療従事者の充実確保を希望してきた医師会、看護協会、社会福祉協議会、ボランティア連絡協議会等の期待に沿うことであるとともに、本県における保健・医療・福祉の統合化、一体化の実践を具現化する中核施設がいよいよ誕生することを心から歓迎するものであります。 私は、人々に喜びと幸せと希望を与えるホスピタリティーの理念を基調とする看護系県立大学の設立に当たって、ぜひ知事の御理解と御賛同をお願いしたい一つの提案があります。それは、長期入院中の患者やターミナル期にある患者に対して、顔や首、肩や手へのマッサージを施し、そして何よりも久しく美容院などに行っていない女性の患者に化粧を施すことによって、リフレッシュな気持ちよさ、精神的安らぎと満足感を与え、症状の回復を促進させるビューティケアを、ぜひ本学の特徴あるカリキュラムコースの一つに加えていただきたいということであります。 ビューティケアは、一九五〇年代に、イギリスの赤十字奉仕団によるボランティア活動として始められ、我が国では、一九七六年、昭和五十一年に現在の麗人会赤十字奉仕団委員長である今野清子さんが、英国での研修の成果を得て、仙台市で実践活動を始めたのが最初であります。以来、十七年間、ボランティア活動のともしびは途絶えることなく続き、現在は麗人会赤十字奉仕団のほか、東北福祉大学の学生サークルによる特別養護老人ホーム洛風苑への定期奉仕活動を初め、他県への広がりを見せております。今日ビューティケアは、病院や老人ホームでの福祉ボランティア活動として位置づけられておりますが、むしろ今求められる患者サービスの一環として、看護実践の中に組み込み、積極的に活用していくことこそ必要ではないでしょうか。療養生活が長くなり、回復が思わしくない患者は病床でふさぎ込み、人生への興味を失いがちとなります。ビューティケアは、そのような患者に人間的な欲求を満たし、世の中に自分の場所があり、世の中で必要とされているという実感、望み、自立心を芽生えさせてくれます。昨日も高橋善幸議員からホスピスに関する提案がありましたが、看護本来の医療ケアの上に、このような新しい試みを一つずつ勇気を持ってプラスしていくことが、新設の看護系学部に鮮烈な個性と躍動感あふれる活力を与えることにつながると確信するものであります。今更ありきたりの大学は要りません。ビューティケアについて知事の積極的な取り組みをお願いし、御所見をお伺いします。 最後に、県立図書館についてお尋ねいたします。この件に関しては、既に述べたとおり、議会側に対しての事前の説明と論議不足を痛感するものでありますが、これまでの質疑応答の経過を踏まえ、知事提案の移転計画案をやむを得ぬものと了解した上で、より望ましい図書館整備を促進する観点から質問いたします。 第一は、交通の利便性にすぐれた現在地から泉区実沢地区に移転することによって、コンピューター・ネットワーク・システム導入による利用増はともかく、直接の入館者数がかなり減少するのではないかという点であります。平成三年度の一日平均入館者数は三百八十・六人。個人貸し出し登録者数は四千八百七十五人、その八割ないし九割は、仙台市内在住者であり、一年間の延べ入館者数十万七千四百三十人のおおよそ半分は、本を借りに来る目的でなく、静かな環境の中で受験勉強やレポート作成のためにテーブル、椅子を求めてくる人々と見込まれ、当然遠隔地への移転によって利用を断念するケースがふえると予測されます。もちろん、自然環境の中の新図書館の魅力によって新たな、特に近隣在住者による需要増はあると思いますが、今述べた図書館の利用実態からすると、蔵書数の増加はステイタスの増大とはなっても、入館者数の増加には直接結びつかないと考えられます。 そこで、質問ですが、第一点、新図書館の入館者数とコンピューター・ネットワーク・システムの利用者数は、どの程度見込んでおりますか。第二点、利用拡大のため、現行の休館日、毎週月曜日、祝日、月末日となっておりますが、その変更や利用時間の延長はどのように考えていますか。第三点、障害者や高齢者の利用について、建前と現実のギャップを解消するために、どのような具体的対策を講じておりますか。第四点、交通の利便性の確保のために、具体的にどのような準備を進めておりますか。 第二に、新図書館は、交通利便上の難点を除けば、ほぼ理想を具体化した形として評価を受けるものと思われます。問題は、広く県民に利用してもらうための新しい機能であるネットワーク化がスムーズに活用されるかどうかで、いたずらに宝の持ち腐れになってしまっては何にもなりません。 そこで質問ですが、第一点の市町村立図書館との連携について、県内七十一市町村中十市六町にしか自治体立図書館が整備されていない現状では、せっかくのネットワーク化を利用したくても利用できない五十五町村の県民が取り残されることについて、県レベルでの何らかの対策を講じるべきと思います。 第二点、高等教育の集積度の高い仙台市には、四年制大学の蔵書総数が四百六十万冊に上ると言われております。その積極的活用について方策をお聞かせください。 第三点、コンピューター・ネットワーク・システムの導入には、相当の財政負担が要求されると思います。新図書館の建設費総額と運営費についていかほどであり、またどのような財源措置を講じていくのかお知らせください。 以上をもちまして質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。 ○議長(亀谷博昭君) 知事本間俊太郎君。    〔知事 本間俊太郎君登壇〕 ◎知事(本間俊太郎君) お答えしたいと思います。 まず、観光ということについての考え方ですが、本来、仏教の一番基本の一つにあります「観想」ということがあるんですが、これは移り変わる、変転する自然をよく見て、その背後にある真の相、姿を体得する、こういう意味の深い意味が「観」にはあるわけです。「光」はそうした自然の神秘的な、またそれを超えた造化といいますか、美しさなり、そういうものをひとつ念頭にありますし、それから同時にまた人間のつくったすぐれた人工の創造物といいますか、こういうものも含めた光を通して見るという深い意味があるというふうに私は思っておりますけれども、観光は、お話のように、地域経済の活性化にとって大変大きな役割があります。具体的には、昭和六十一年に策定した観光基本計画などに基づいて、県内を仙台・松島、蔵王・阿武隈、栗駒・大崎・迫、それから気仙沼・南三陸・金華山、こうした四つの観光ゾーンに区分しておりまして、それぞれのゾーンごとに地元市町村と一体となりまして、観光振興計画をつくり、施設の整備やあるいは観光客の誘致の活動を図ってきたところであります。御案内のとおり、近年、余暇時間の増大あるいは価値観の多様化などに伴いまして、観光レクリエーションの需要は急激に高まっておりまして、更には御承知のように、東北新幹線の東京駅乗り入れ、あるいは仙台空港の国際化、三陸縦貫自動車道の進展、常磐自動車道も含まれますが、こうした交通ネットワーク化が非常によくなってきたということで、本県の環境の置かれている状況というものは、非常に格段によくなってきたというふうに考えております。 県としましては、こうした客観情勢を踏まえまして、また時代のニーズにもこたえられるように、観光地づくりを市町村あるいは観光業界と一体となって推進しておるわけでございますが、何よりもすぐれた宮城県をつくっていく、いろいろな意味で。そのことが狭い意味での観光資源だけではなくて、大きな観光においても魅力を発揮するものと思っておりますが、現在、宮城県総合計画の中におきましても──策定中でありますけれども、その観光を含めた地域づくりの重要な施策について位置づけております。また観光で一番大事なことは、やはり人が、先ほど申し上げたような深い意味のある観光をする過程で、やはり感動を受けると言いますか、あるいは心の安らぎを受けるという意味から言っても、ホスピタリティーというか、優しさでありますとか、思いやりでありますとか、こういうことに触れるということがやはり一番大事なものでございまして、そういうホスピタリティーの推進や観光情報を提供する施設の整備促進などを行い、心の豊かさを実感できる観光地づくりを目指してまいりたいと思います。 なお、交流人口については、将来、二〇二〇年、二〇三〇年ということになりますと、我が国の人口は、一定の静人口、若しくはやや減少傾向になるということでありまして、むしろこうした交流する人口に着目して地域をとらえていかなければならないということで、第四次全国総合開発計画の中間報告に出てきた用語でもございますが、もちろんこれは観光だけではなくて、学問のために移動する人もあれば、ビジネスのために移動する人もあって、多様なコミュニケーション全体を意味しているというふうに思っております。したがって、その人口の把握については、今後いろいろな調査が行われなければならないというふうに思っておりまして、そうした調査活動等、よく見極めて、我々としても問題の核心を十分に把握できるようにしてまいりたい、このように思います。 次に、観光宣伝でありますが、これまで首都圏を初め大阪、広島などでの観光キャンペーンのほか、神戸、横浜、千葉などの主要都市で観光と物産展を開催し、極めて大きな成果を上げております。青葉かおるみやぎ路への誘客活動──率直に言って、このスローガンもだいぶ古くなってまいりましたが、誘致活動を積極的に実施してまいりました。本年度は、こうした事業を初め東京ドームで、先日七夕ナイターを開催いたしまして、お米でありますとか、いろんな物産の宣伝を行いました。こうした観光キャンペーンに合わせて、観光CMもテレビ放映することといたしております。また、広域的な観光に対応するために、東北六県と協調し、東北新幹線の東京駅乗り入れを記念するキャンペーンを展開してまいりましたほか、三陸海の博覧会などにも、東北未来館を出展したところであります。 更に、観光の国際化に対応するため、国際定期便の就航している韓国、シンガポール、こうしたところでも観光懇談会を実施しましたほか、米国デラウェア州で宮城県紹介展を開催し、本県への誘客に努めたところであります。本年度は、ドイツ・ザールランド州との交流を拡大するために、宮城県紹介展を開催いたしますほか、東北六県と共同で、台湾・シンガポール観光ミッションを派遣することといたしております。 また、外国人観光客の受け入れ態勢の整備についてでありますが、快適な旅行を楽しんでいただくために、外国人の観光客受け入れ講習会の開催や、外国語版の観光パンフレットの作成、観光案内板の設置などを行っております。今後とも県、市町村、観光関連の業界が一体となりまして、本県の観光宣伝を積極的に推進し、また国際化にも対応した魅力ある地域を大いにPRしたい、このように思っております。 次に、仙台・松島国際観光モデル地区推進協議会についてでありますが、この協議会は、国際観光モデル地区の推進組織として昭和六十三年四月に設立され、英文等による案内標識の設置や、外国人向けパンフレットの作成、善意通訳者の養成などの事業を行い、外国人観光客の便宜を図ってまいりました。御質問の事業費の増額については、今年度事業の拡大を図るため、構成市町と協議し、負担金の増額を図ったところでありますので、今後の事業内容を勘案しながら対応さしてまいりたいと思います。 次に、観光行政の一元化を図るために、商工労働部に観光局あるいは観光政策局を設置してはどうかとの御提言でございますが、観光にかかわる行政分野は、観光施設の整備や観光PRなどに限らず、リゾート開発、道路等の交通インフラ、公園の整備、更には都市と農山漁村との交流の推進など、広範かつ多岐にわたり、すなわち我が県行政すべてがかかわっていると言っても過言ではございません。お話のありました局の設置ということになりますと、担当すべき業務の性格や量、更には行政運営の簡素効率化、こういう要請なども十分考慮する必要もありますので、やはり現段階では、現行の組織体制によって、関係各部各課の緊密なむしろ連携が重要ではないかと、このように思っております。そうした横断的な展開を心がけて事業展開の充実に努めてまいりたいと思います。今後とも観光に対するニーズや施策展開の方向も十分踏まえながら、観光振興に向けた組織体制のあり方についてもいろいろと勉強してまいりたい、このように思います。 次に、県立大学の件についてでございますが、いろいろ御理解をいただきまして、大変ありがたく思うわけでございますが、今回設置しようとする県立大学は、やはり御心配いただいておりますように、県が積極的に乗り出すということになれば、やっぱり国のように多額の投資ができない。したがって、政策経費が重点的に、しかもその教育内容においては日本一の水準を維持し、かつすぐれた人材を供給していく、こういう理想に燃えてつくっていく必要があろうかと、このように思っております。そういう観点から、あれもこれもやるということではなくて、限られた部門に焦点を当てて、我が国における、大学たくさんありますけれども、きらりと光るようなものにしてまいりたい、こういうふうに思っておるわけです。 したがって、二十一世紀の宮城の発展というものは人づくりですから、地域の経済発展にも役立ち、かつ我が国、そしてアジア太平洋の要になるということも、我が宮城県の構想の一つの視点でございますので、そういう点に立って県立の四年制大学をいかに計画するか、企画するかということで、私どもこの数年間いろいろと勉強を重ねてまいりまして、時代のニーズにかんがみて、総合的に検討した結果、当面看護系学部と観光系学部で構成いたしたいというふうに焦点を絞ったものでございます。これら二つの学部は、いずれも人間に奉仕するという専門的な、また大変重要な職種に就く人材を育成するということが基本でございますが、その応用は、非常に今後社会の変化によって変わっていくだろうというふうにも考えられるわけであります。すなわちホスピタリティーを重視する点で、この二つの学部は理念的にもちろん結ばれておるわけでございますが、やはり大学の設置ということは、人間を育てていくわけですから、その開学の理念なり建学の精神というものは、極めて重要でございます。この二つの学部だけではなく、当然あらゆる教育というものは人間というものに立脚しなければならないことは当然でございますが、英語で言えばヒューマンデベロップメントといいますか、人間、そしてその能力開発というところに開学の理念というものを集約していくべきではないかと思いますが、これからもちろんいろいろな方々に御意見をちょうだいして、よりよいものにしてまいりたいと思います。 更に今回、大学をつくる場合に、既存の日本の大学の現状についてさまざまな批判と、また大学自身変革しなければならない、こういう大きな動きが起きておるわけです。それはどういう点で批判が起こっているかと言いますと、極めて閉鎖的である、特に人材の登用等についても、広く一般社会で経験を積んだ人も登用すべきじゃないかと、あるいは教育内容についても十年一日のような講義内容であるとか、あるいは人間と教師との人間的な関係が十分尽くされてないというような問題、また教育と研究が大学の使命でございますけれども、教育において情熱に欠ける点が多々あるんじゃないか。また、その教育の内容につきましても、一般的に我が国の大学は、基礎的な教育、あるいは概念的な──例えば法学部であるとか、経済学部もそうなんですが、ものを中心にしておって、大学出てもさっぱり実践的に役に立たないというような問題も出ておる。欧米の大学に比べてプログマチックな面が足りないのではないかといういろいろな問題がございます。こうしたこれまでの大学の現状への反省を踏まえていかなきゃいけないというふうに私としては考えております。 したがって、第一に、こうした看護系あるいは観光系を出る人々が実際の社会に本当に役に立つ人材、かつ人間的にも深い人間形成をしてもらいたいということですから、第一に実学実践ということも重視してまいりたいと思いますし、更に個性的でかつ人間形成が行われるような場になる必要があるというふうに考えております。 第二に、やはり開かれた大学ということでございます。これは社会に開かれていなければなりません。学問の分野におきましても、教育に当たる人材にしましても、広く国際社会にも開かれたものでなければなりませんし、地域社会とも連携していく、こういう姿勢も必要でございます。とかく象牙の塔などという意見もございますが、そういう意味で社会に開かれた総合的な意味での大学にいたしたい。 また、第三には、グローバルな社会となってまいっております。国際交流も積極的に担って、少なくともアジア太平洋の圏域内からも集まってくるような魅力のある大学でありたいと思いますし、またそこで教育された人々が世界の中でも大いに役に立ってもらいたい、こういうふうな私としては理想に燃えておるわけでございますが、今後創設準備委員会などを開催いたしまして、特に議会の代表の方々なり、専門家なり、こういう方々にも入っていただいて、よくよく内容を詰めていただきたい、このように思っております。 次に、学長候補者でございますが、御指摘のように、教育はすべてが人です。建物だけではありません。もちろんすぐれたキャンパスも必要でございます、設備も必要でありますが、結局のところ人間対人間の対決であり、また相互に切磋琢磨し合う。先生も、また生徒も同じ道を志す仲間であるわけでありまして、いかにすぐれた人間性のある、また学問的にも水準の高い人を集めるかということが、かかっている一番大事な問題点でございます。したがって、学長候補者については、単に学問ですぐれているという以上に重要な職責であるわけで、大学運営が硬直化したり平板になるということがあってはなりませんので、大学の新設やあるいは改革に情熱と、また経験、実績があり、しかも国際派で──欲が深いわけですが、経営感覚にもすぐれている、しかも強力なリーダーシップを発揮できる人材を求めてまいりたい、このように思っております。 次に、財政面の御質問についてでありますが、いろいろ用地費を含む建設費につきましては、木村洸也議員の御質問でもお答えいたしましたとおり、二百三十億円程度と見込んでおります。運営費につきましては、事務的には粗い試算をいたしておるわけですが、今後教員の内容なり、事務職員の問題なり、経常的な経費の問題なりを検討を重ねていく必要があろうかと思っております。極力県財政に頼り切らないような自立した経営も目指す必要があるだろうと思っております。 なお、県民の理解を得るための方策といたしましては、やはり県民の中から試験を通って合格した人材については、やはり奨学金等で大いに支援をしてまいりたいというふうに思っております。優秀な人材を出すことによって、県内外への貢献、更にはまた自立的な経営もできるだけ考えていくということですから、大学のすぐれた人材が集まってくるわけですから、そうした人たちが社会にも活躍するように、シンクタンク機能を持つとか、あるいはこれから生涯学習という問題でも非常に重要でございますので、一般社会人に対してもいろんな形で教育機能を発揮してもらいたい、そういうことによって地域社会に大きな、いわゆる学生のためだけの大学ではなくて、地域社会全体にも大きな貢献を果たしてもらいたい、このように思っております。 次に、国庫支出金増額の働きかけについてでございますが、本当に地方自治の基盤があれば、国などに頼らずにやっていきたいというのが地方人としての考え方でありますけれども、現行の行財政システムではそうはいかない。したがって、お話のとおり働きかけをする必要があるだろうと思っております。大学設置の利益というものは、当然のことながら、全国におります、すぐれた大学になればなるほど、いろんなところからも学びたいというふうにやってくると思いますが、運営費の充実強化はもとよりですけれども、建設費に対する国庫補助制度の創設なり、更には交付税の増額措置についても、ぜひ議会の皆さんの御協力をいただきまして、強く国に対して働きかけてまいりたい、このように思います。 次に、青葉山県有地を県立大学用地として利用することはできなかったかということですが、昨日高橋善幸議員の御質問にもお答えいたしましたように、青葉山県有地の利用方法については、現在懇談会を設けまして御検討をいただいているところでございます。県といたしましては、懇談会の御提言を受けて、県民にとって最良の利用方法を考えてまいりたい、このように前向きに目下取り組みつつあるわけでございます。御承知のように、東北大学も希望している地域でもあるということもございますが、そうなるかどうかは別といたしまして、今後もし何らかの用途に活用するということになれば、やはり交渉問題等々もあって時間も相当かかるというふうにも考えられますので、スケジュールの面で非常に厳しい事情にもございまして、検討対象には加えられなかった地域だというふうに思います。 次に、北四番丁大和町線の整備についてでありますが、この路線は、重点的に整備すべき交通施設として仙台市におきまして鋭意その整備に努めております。御質問の北山荒巻地区につきましては、御承知のとおり、JR仙山線、市指定文化財輪王寺などを有する地域でございますので、仙台市においてその構造などにつきまして検討しております。いずれにしましても、大分あの路線はよくなってまいりましたので、北四番丁大和町線は、早期に整備が図られるべきであろうと思っておりまして、いろいろと国に対しましても要請してまいりたい、このように思います。 次に、開学年次の問題でございますが、平成八年四月を目標に準備を進めておるわけです。大学設置審に認めていただかなければならないわけでございますが、看護系の学部については、質の高い看護職のニーズに早急にこたえる必要があるということで、全国的にこうした動きが起きてきておりまして、平成六年以降、本県を含めまして二十三の大学で学部、学科の新増設が予定されておるという、ラッシュみたいなものでございまして、教員の確保は極めて厳しくなるということが予想されます。したがって、急がなければなりません。また、観光系の学部におきましても、将来性のある分野として、全国数カ所で学科等の設置構想がございまして、開学がおくれればそれだけ優秀な専任教員の確保が難しいということも予想されます。したがって、こうした開学目標というものを設定いたしておるわけでございます。時間はたくさんあればいい仕事ができるというわけじゃなく、充実して勝負をしてまいりたいと、このように思っております。 また、建設設計については、これは何も大学だけではなくて、あらゆる建築計画におきましてその基本的なコンセプト、理念が、建築なり都市計画に反映されることは常識でございます。したがって、大学の教育理念及び教育目標が十分に反映されるように、議会代表者及び有識者によります創設準備委員会の方々の意見や建築の専門家の意見も伺いまして、県民の誇り得る大学にしてまいりたいと思っております。 次に、宮城県農業短期大学についての御質問でありますが、全国における農業系の大学あるいは農業短大におきましては、近年の科学技術の進展、あるいは農業を取り巻く環境の変化、こうしたものを背景にいたしまして、学部学科の再編などの動きが見られるところでございます。農業という字をなくしているような大学も出てきております。こうした状況の中で、本県におきましても、大学内部において既に学部学科の再編をやりたい、あるいは四年制への移行をいたしたいということで、将来計画について検討がなされております。再編の具体的な方向なり設置場所、あるいは東北大学との役割分担など、さまざまな課題がありますので、今回の大学構想には含めないこととしているわけであります。 基本的には、いずれ時機を見て四年制の自然科学系高等教育機関として整備していく、もちろん四年制ですから大学化も含む問題になろうかと思います。この高等教育機関としたのは、ちょっと紛らわしいわけですが、現在でもなかなか農業をせっかく学んでも、農業に実際に携わらないという人が多くなってきているわけで、その点はどうするかということもあわせて考えなければいけないわけですね。実践大学校などで実際に農業をやる人を育てておるわけです。こういうものとの関連性もよく考えていくという意味で、こうした言葉にいたしておるわけでございます。 次に、観光系学部の人材の確保とカリキュラム編成についてでありますが、観光学につきましては、既に昭和三十五年から日本観光学会が組織されまして、昭和四十二年には立教大学社会学部に観光学科が設置され、その後全国の三大学に御質問にもありましたように観光系学科が設置されるなど、学問としての基盤も確立されつつあり、お話のような人材確保は可能と考えております。 また、カリキュラムの編成に当たりましては、県立大学創設準備委員会に設置します専門部会の中で、県内外のさまざまな専門分野の学識経験者の方々から御意見や御指導をいただき、更には観光教育、ホスピタリティー教育に実績のあるアメリカの大学のカリキュラムも積極的に導入いたしながら、個性的で活力にあふれ、かつ実践的で、国際性豊かな人材の育成を目標としたカリキュラムにしてまいりたいと考えます。また、御指摘の国際化、学際性、地域性につきましては、まさに観光あるいは観光学が持つ大きな特徴でもございますので、十分反映させてまいりたいと思いますし、帰国子女、留学生等につきましても、十分対応できる大学にすべきではないかと考えております。 また、大学と観光行政とのかかわりでありますが、観光系学部は、観光を戦略とした地域づくりや産業振興などに関する分野におけるシンクタンクとして、市町村や企業などからの受託研究なども受け入れるように目指したい。また、個々の教員には、行政のいろんな分野においても積極的に参画を求めてまいりたい、このように思っております。また、社会に開かれた大学という意味からも、行政機関なり、企業からも受託研究生も受け入れる。そして、理論と実践力を兼ね備えた、あらゆる観光分野のリーダーの養成ということに的を絞ってまいりたいというふうに思っております。 次に、ビューティケアという、私どもも余り耳慣れなかった言葉で御質問いただきましたが、大学のカリキュラムに加えてはという御提言、まことに傾聴に値すると思います。多分ビューティフルライフとか、すばらしい人生、あるいはすぐれた人間的生活とか、そういう意味合いがこのビューティという意味に込められておることと思いますが、お話のような人間的な要求を満たし、世の中に自分の場所があり、世の中で必要とされているという実感、あるいは望み、自立心というものを育てるというねらいがあると思いますので、そういったケアの技術というものは、本来看護技術の一部でもあり、また看護に携わる人の本来の目標でもございます。本県が設置を目指す県立大学の看護系学部におけるホスピタリティー教育の推進の見地からは、大変示唆に富む御提案でございますので十分参考にさしていただきたい、このように思います。 次に、県営図書館についてでございますが、本来の図書閲覧というねらいとは、我が国における図書館の利用は、ややずれが出てきているというのも現状なんですね。子供たちが夏休みになると図書館へ行って宿題をやったり、受験生なり、高校生なりが、勉強部屋がないのかどうかわかりませんが、そういう場所にもなっておる。しかし、いずれにしましても、図書館に親しむということは悪いことではございません。ですから、図書館の本来のあり方と、そうした学習の場の提供というものは、分けて考えていくべきものかなと私は思っておるわけですが、いずれにしてもそういうような利用の仕方も実際問題としては多いわけでございます。ですから、そういう意味で図書館の入館者数について御心配があるわけでございますし、私どもももちろん心配いたしておりますが、しかし、なかなか都心部に広い用地が得られないということで、どこの県なり、主な市でも、どうしても都心部から郊外部分に移転しているというケースがふえておるわけでございます。 そうした図書館の場合に、一般的にどうかというと、利用者が増加しておって、施設の内容もよくなっていくということもあろうかと思いますけれども、大体三倍ぐらいに増加したケースもございます。ですから、県民が利用しやすい図書館の建設、あるいは駐車スペースの確保なり、交通アクセスももちろん考えて、更には学術文化ゾーンとしての成熟、発展などによりまして、その図書館が単に図書を読むだけでなく、いろんな文化活動も展開できる、あるいはイベントとか、図書の展示会とか、いろんなことが行われやすいような配慮もすべきではないかと思っております。そういうことで、いろんな配慮を加えて、すぐれたものにしていくということが入館者が増加するということにつながっていくものと思いますし、また、県内の各学校においても図書館の見学なり、そういう経験のチャンスを学校教育の中でも取り入れるべきではないかと、このように思っております。また、コンピューターの端末は、各市町村の公共施設に設置することが可能のように設備をいたしたいと思っておりますし、端末さえ据えればいいわけですから、こうした利用者も大幅に増加させたいというふうに思っております。 それから、御質問にもありました休館日等についても、開館後の利用の実態を見た上で検討するわけでございますが、世界的にも大都市などは二十四時間態勢なんというところもありますけれども、宮城県はそうはいかないと思いますが、利用できる時間のもっと効果的なやり方ということも当然工夫が必要ではないかと、このように思っております。 次に、障害者、高齢者の利用に対する具体策につきましては、専用駐車場の確保や館内誘導システムの整備及び介助サービスを行いますとともに、対面の朗読室でありますとか、あるいは点字図書室ですね、こうしたものの専用スペースの確保、こういうことも図って、安心してお年寄りから子供たちまであらゆる階層の方々にぜひ御活用いただきたい、このように思います。 次に、交通の利便性確保については、現在地下鉄泉中央駅から一時間に四ないし五本の路線バスという運行状況でございますが、利用拡大に向けまして、大学等も設置されますと、こうした利便性も高めなければいけないことでもございますし、バス路線の新増設なども関係機関に働きかけてまいりたいと思います。 それから、図書館のない町村においては、公民館図書室などに、先ほど申し上げました端末を設置していただきまして、できるだけ隅々にセンターとなる図書館が県民すべての方々に活用できるようにいたしたい。 更に、大学図書館蔵書の積極的な活用方策についてもそのとおりでございまして、東北大学にある、たくさん図書がございますが、約三百万部もあるそうでございますので、当然こうした大学の図書館ともネットワークシステムを形成すべきだというふうに考えておりますし、市町村の図書館、図書室との連携も図りたい、そして国立国会図書館など、国内においても幅広くリンクさせることが望ましいと思っております。建設費につきましては、今年度の基本設計の中で検討し、算出するということになりますが、粗い計算でございますが、おおむね百億程度と見込んでおりまして、財源といたしましては、地方交付税措置のある地域総合整備債を活用するなど、極力一般財源の負担の軽減を図ってまいりたいと思っております。    (「議長、十八番。」と呼ぶ者あり) ○議長(亀谷博昭君) 十八番。 ◆十八番(相沢光哉君) 大変詳しく御回答をいただきましたので感謝を申し上げておりますが、一つ、県立大学についての知事の理想、また意気込みというのは、十分わかるわけであります。それで、やはり一番心配することは、申し上げるまでもなく、私立大学であれば創始者の強烈な個性とか、民間活力そのものというものを採用できる。国立大学の場合には、国という、これは大きなバックがあり、かつ国から見れば国立大学はいっぱいある。また歴史も長いというふうなことあるわけでありますが、公立大学の場合には、どうしても普通は一自治体一大学という形になってきまして、それで大学の一挙手一投足が自治体の方で気にかかるというか、全部目に見えてくる。そうしますと、先ほどの知事の高邁な理想、哲学はわかるんですが、だんだん時間がたつにつれて、どうしても役所的な対応に変わっていくんではないかというのが一番心配するところであります。ですから、それだけに教育の自律性を確保するためにも、やはり大学管理面での人材ではなくて、大学の教育面での個性のある学長というものを発掘していただきたいし、そういう面で知事のお話を伺っておりますと、今のところは本間知事が一番学長にふさわしいんじゃないかとすらむしろ思うわけでありますが、ぜひ建学の精神と、そしてまた教える側の人材確保ということについて、これは要望としてぜひ重視をしていただきたいということで申し上げます。 また、ビューティケアにつきましては、大変積極的な御回答をいただきまして、心から感謝を申し上げております。 議事の進行に御協力する意味で、以上で終わらしていただきます。 ○議長(亀谷博昭君) 十五番佐藤勝彦君。    〔十五番 佐藤勝彦君登壇〕 ◆十五番(佐藤勝彦君) お許しをいただきましたので、記念すべき第二百五十回宮城県議会六月定例会において一般質問を行うものでありますが、御質問を申し上げる前に一言、知事の二期目の御当選と八木新副知事並びに大立目新出納長の御就任に対しまして心からお祝いを申し上げる次第であります。 選挙期間中は投票率の低迷が予想され、場合によっては三〇%を割る声もありましたが、自民、社会、公明、民社の四党、連合宮城、市民グループの結束と、一期四年間県政運営に取り組まれた姿勢に対する極めて非常に高い評価により、知事選史上最高の得票六十四万七千九百二十票の大勝で信任されましたことは、大変うれしく、また力強い限りであります。知事は、個人演説会場で、角田は私の第二のふるさとですと申されました。角田選出の県会議員として、全幅の信頼をもって御期待を申し上げる次第であります。 質問に入ります。 御質問の第一点でありますが、知事の基本姿勢であります市町村を大切にする県政についてお伺いするものであります。 ことし四月発行されました東洋経済新報社の都市データパックによりますと、全国の都市六百五十六市を対象に、安心度、利便度、快適度、富裕度を示す十五指標、すなわち病床数、死亡率、八十五歳以上の人口比率、小売業販売額、金融機関数、通勤時間、下水道普及率、一住宅延べ面積、住宅地価、三年間の転入転出人口差、都市公園面積、財政力指数、課税対象所得額、持ち家比率を用いて算出した結果、住みよさAと格付されましたのは、百七十一市、東北においては県庁がある六市を含め二十八市が格付されております。県内十市においては、仙台市、岩沼市がA、塩釜市、古川市、気仙沼市、名取市がB、石巻市、多賀城市、白石市がC、角田市はDとランクづけされておるのであります。東北六県、六十三市のうちDと格付されましたのは岩手県の釜石と江刺市、山形の尾花沢市、そして角田市の四市であります。隣の山形県は、十三市のうち十市がA、福島県は、十市のうち七市がAと、県全体のAランク比率が非常に高い評価であります。比べて、宮城県は、十市のうち、住みよさAランクの市はわずか二市だけであります。調査によって、住みよい都市には、利便度で非常に共通性が高く、地域活性化のために若者を定住させようと、ふるさとの魅力向上努力やPRにも余念がないし、十五指標、押しなべて高得点が目立ち、十点をとる指標も多いのでありますが、逆に、大変住みにくい都市は、出生率、小売業販売額、金融機関数、下水道普及率の成績がいずれも一点にとどまり、共通して、利便性、快適性の悪さなど、指標全体が低位であるという全都市住みよさ格付の調査結果が公表されたのでありますが、県御当局は、この算出結果をどのように認識されるか、そしてまた、県政運営にどのようにサポートなさるか、お伺いするものであります。 また、日本女子大学の大友教授が日本能率協会の委託で作成した日本の全市の将来推計人口によりますと、二〇一〇年には、仙台市は一八・二%増の百八万六千人、石巻市は一一・七%減の十万八千人、塩釜市は九・五%減の五万六千人、古川市は一七・七%増の七万六千人、気仙沼市は二二・五%減の五万一千人、白石市は一一・一%減の三万七千人、名取市は一五・二%増の六万二千人、角田市は三・八%減の三万四千人、多賀城市は二三・九%増の七万二千人、岩沼市は九・二%増の四万二千人と、都市機能の集積が集積を呼び、過疎が過疎を呼ぶ悪循環の中で、このような人口増減に推計されておるのであります。医療状況においても、ベッド数三百床を超える県内二十二病院のうち、仙台市、東北大医学部附属病院を含む十四病院総ベッド数六千八百二十七床、常勤医師八百十一名、白石市、公立刈田総合病院、ベッド数三百四床、常勤医師二十二名、山元町、国立療養所宮城病院、ベッド数五百二十床、常勤医師二十名、名取市、県立名取病院、ベッド数三百五十四床、常勤医師十名、塩釜市、坂総合病院、ベッド数四百十六床、常勤医師五十一名、古川市、古川市立病院、ベッド数三百五十二床、常勤医師三十二名、迫町、国立療養所東北新生園、ベッド数四百六十床、常勤医師八名、石巻市、石巻赤十字病院、ベッド数四百二十三床、常勤医師四十三名、気仙沼市、公立気仙沼総合病院、ベッド数五百二床、常勤医師三十六名となっております。更に、県内全体の医師従業地別に見ますと、仙台市二千四百五十三名、石巻保健所管内一市九町で二百二十五名、塩釜保健所管内二市三町で百七十六名、大崎保健所管内一市十三町で二百三十三名、気仙沼保健所管内一市四町で百名、仙南保健所管内二市七町で百七十三名、岩沼保健所管内二市二町百六十二名、宮黒保健所管内三町一村で三十一名、栗原保健所管内九町一村で九十三名、登米保健所管内九町で八十一名となっており、仙台を除いた市町村の医師数は千二百七十四名と、仙台市の二分の一程度となっておるのでございます。 このように、医療においても、仙台から離れるほど医師が不足しており、すべてにおいて地域格差が広がり、大都市志向する若者たちがふえ、仙台市への集中が加速する反面、地方市町村は、新たな衰退の危機に直面しているのでございます。市町村という小さな単位で限界を感じておる市町村長さんたちは、市町村を大切にする県政、均衡ある県土の発展を目指しております本間県政の二期目に対して大きな期待を寄せておるのであります。このことは、知事御自身も、選挙戦を通じて各地域を遊説された際に、市町村長さんたちの熱い願いを肌で感じたことと思うのであります。安心して住める町づくりに公立病院の建設こそ急務であると思うのであります。先ほども今野先輩が救急医療について御質問申されました。まさにそのとおりだと思っております。しかし、残念でありますが、現在の医療構造の複雑な問題やあるいは高負担の財政問題、そして、ただいま申し上げましたように、将来の推計人口等から見ましても、医療格差の早急な解決は極めて困難であると判断をせざるを得ないのであります。しかしながら、多くの県民は、県内どこでもいつでも安心して医療を受けることができることをこいねがっているのであります。特に休日診療や夜間診療は、それぞれの地域の医師会の協力によって当番制医療を進めてはおるようでありますが、専門的処置が不十分であったり、救急車のたらい回しによる手おくれなども聞くのであります。 したがって、このような状況に対処するため、とりあえず、県サイドの対策といたしまして、仙南に一カ所、仙北に二カ所の救急処置センター設置をぜひお願いするものでございます。具体的な御提言になるのでありますが、常時医師三名、看護婦、看護士を含め六、七名程度の三交代による完全な二十四時間体制によって的確な救急処置を行い、その後の患者の移動手配については家族に対し正しい指導が行われるような医療施設、すなわち仮称宮城県救急処置センターとして設置されますよう、強く強く御要望を申し上げるのでございます。このことは、手おくれのお話は数々聞きます。そしてまた、市町村の小さな財政のために総合病院を建てたくても建てられないという実情にございます。知事がおっしゃるように、常々県全般にわたって公平の欠くことのない県政をしてまいりたいとおっしゃっておりますので、どうか市町村の苦しい実情をお考えをいただきまして、何とぞ仙南、仙北に設置されますようにお願いを申し上げる次第でございます。本間県政二期目の目玉政策としてぜひお願いを申し上げるものでございますが、知事の積極的な御回答を御期待申し上げるものでございます。 次に、第二点といたしまして、阿武隈急行線の運営についてお伺いを申し上げます。 阿武隈急行株式会社の取締役会が開催され、昭和六十三年七月の全線開通以来初の黒字を見込んだ平成五年度予算を承認との掲載記事は、一見黒字経営のように受け取られたのであります。しかしながら、経営内容は、開業以来利用率も伸び、平成元年度一一%増、平成二年度一三%増と順調に増加が推移するものと期待されながら、平成三年度九・四%、平成四年度五・一%と、鈍化傾向になってきている状況であり、また累積赤字は六十三年度三億三千三百二十四万円、平成元年度三億七千五百三十七万円、平成二年度四億六千七百三十六万円、平成三年度五億四千三十万円、平成四年度五億八千万円と、毎年増高し、平成五年度をピークに平成六年度から累積赤字が徐々に解消の見込みのようであります。更に、運輸省からの補助金六千八百万円もことしで打ち切られ、平成五年度から三カ年で築堤盛り土応急処置費二億八百四十五万円、平成七年度から二十一駅にホーム上屋新設費用三億六千八百二十五万円、平成七年度から二カ年で、行き違い設備新設二億三千八十万円等々、営業上必要な設備投資が次々予定されておるのであります。したがって、このような状況のもとで黒字へ転換を図るには、更に利便性を高め、安定した乗車率の向上こそ不可欠であると思うのでございます。 このようなとき、県やJRなど関係団体で構成する仙台空港鉄軌道系アクセス整備検討委員会において具体的な方針が示されました。平成十七年供用開始を目指して本年度から調査に入り、委員会では、運行時間の正確さ、利用者の広域性、計画実施の容易さなどの点で、JR東北線の分岐案を支持する意見が大勢を占めるようであります。この分岐案は、JR仙台駅から名取駅まで在来線を利用し、名取駅ー仙台空港ターミナルビル間五・九キロメートルに新たな鉄道を建設し、二駅設置も予定しており、建設費用は、用地買収を含め約二百五十億円が見込まれ、県やJRを中心に経済界も含めた第三セクター方式の株式会社が想定されているとのことであります。しかし、阿武隈急行の仙台駅直接乗り入れを熱望する沿線住民としては、この計画と同様に、仙台空港から槻木間の十キロ未満の部分にも新たな鉄道を建設し、福島から仙台国際空港経由で仙台駅に直接乗り入れする方法が、盲腸線をつくるよりもより望ましく、理想的交通機関になると考えるものでございます。なぜなら、知事がお考えになっておりますように、東北がアジア・太平洋の拠点を目指すため、空港の利用者数を百万人と見込み、隣県からの利用客を含めると、将来五百万人くらいと推測し、三千メートル滑走路の早期実現、更には四千メートルを目指す考えを示されておるからであります。繰り返し申し上げるようでございますが、多くの空港利用者のために利便性の高い鉄道として建設するならば、単なる仙台空港への折り返し鉄道でなく、接続による仙台駅から空港経由福島間の鉄道として建設することが隣県福島からの空港利用者を運ぶ最良の方法であると考えるものでございますが、知事のお考えをお伺いするものでございます。 加えて、仙南地区に近々建設される運転免許サブセンターについてお伺いするものでございます。 運転者管理システムの整備拡充を図り、更新免許証の全県即日交付を実施、行政サービスの均等化、効果的な安全教育推進のために、第三次宮城県長期総合計画に基づいて、昭和六十一年度から平成十二年度まで交通安全施設等の整備事業を進めておられます。その一環として、運転免許サブセンターを仙北三カ所仙南一カ所の四カ所に建設を計画し、既に古川地区には完成をいたし、平成二年四月から業務開始をいたしております。これからの仙南圏域は、宮城県総合計画の三次案にも明記されておりますように、広域交通幹線が結節する交通の要衝にあり、人、物、情報等が合流する拠点圏域として位置づけられております。これを有効に活用し、各種機能の有機的連携によって圏域の一体化を推進する一方、白石、角田、柴田地区の三つの拠点の特性に応じた都市機能の整備を進めることであり、トライアングルの中で均衡のとれた公共施設の設置を図るべきと考えるものであります。近々予定されております仙南地区の運転免許サブセンターの利用範囲に、亘理町、山元町、そして丸森町も含まれるとすれば、歴史的背景の設置場所は角田ということになると思うのであります。現在県の仙南地区出先機関についても、すべて大河原集中、更に県の芸術文化センターの建設も既に大河原町に決定をいたしておりますので、今後の施設計画は、均衡のとれた、そして公平欠くことのない推進を強く望むものでありますが、御再考によって、運転免許サブセンターが角田市に建設されますと、阿武隈急行線の乗車率の向上が期待されることは間違いなく、まさに一石二鳥ということになるのでございます。知事並びに本部長の御厚情ある御答弁を特にお願いするものでございます。 最後に、阿武隈川下流の抜本的水害対策についてお伺いいたします。 阿武隈川は、流域面積が五千四百平方キロメートル、延長二百四十キロメートルの、東北では北上川、最上川に次ぐ大河川であります。母なる流れ、阿武隈川は、飲料水、農業用水、工業用水にと、周辺流域に多大な恵みをもたらす日常生活に欠かすことのできない川でございます。反面、明治初めから明治四十三年までの間には、大小二十回の水害をこうむっており、堤防は数箇所で決壊、市街地はもちろん、山ろくに及ぶ地域まで大水害を受けておるのであります。 その後においても、昭和十三年六月に、警戒水位を突破、死者二十三名の大惨事。同年九月にも再び死者二十名、堤防崩壊、河川決壊百二十五カ所。昭和十六年七月、警戒水位を突破、全壊家屋百十三戸、浸水四千百三十九戸。昭和十九年十月、死者九名、流失及び全壊家屋十一戸、床上浸水二百八十七戸、床下浸水四千九百九十七戸。昭和二十二年九月、死者十一名、床上浸水五百六十二戸、床下浸水三千二百四戸。昭和二十三年九月、罹災者六千六百七十名、流失及び全壊家屋百五戸、床上浸水四百六十三戸、床下浸水千二十四戸、河川決壊及び破損二十一カ所。昭和三十三年九月十九日、死者十三名、流失及び全壊家屋七十二戸、床上浸水八百四十二戸、床下浸水四千八百十九戸。同年九月二十七日、死者六名、負傷者七名、流失及び全壊家屋六十一戸、床上浸水三千百六十九戸、床下浸水九千五十二戸、堤防決壊百二十二カ所。昭和四十一年九月、岩沼で六・五九メートルの警戒水位を記録。昭和六十一年八月、警戒水位を突破、本支川合わせて四カ所で堤防決壊し、今日まで八十二名に及ぶとうとい犠牲者を出し、数え切れないほどの家屋や農作物の大被害を受けておるのであります。 このように阿武隈川は、下流一帯に大昔から定期的に大洪水を繰り返し、大惨事となっておりますが、二度とこのような大災害を引き起こさないためにも、生命と財産を守るための抜本的治水対策を緊急に講ずるようお願いするものでございます。県内における阿武隈川の状況は、丸森橋の下流二キロメートル地点で大きく三百度ほど旋回しながら北に向かって流れております。その旋回地点から下流に長さ五キロメートル、幅一・四キロメートルの広大な河川敷地が洪水時のための遊水地域以外の下流、つまり角田橋付近から柴田、岩沼付近の河川幅は六百メートルから八百メートル程度に狭くなり、流れているのであります。下流ほど川幅が広くなっていくのが当然でありますが、遊水地域に広大な面積を保有するため、増水時は、そこに流れがよどみ、流れ下るときには下流堤防に大きな圧力が加わり、堤防の崩壊や河川決壊などの危険が起きるものと思われます。しかし、建設省は、洪水のたびにこうむる堤防の決壊あるいは脆弱な箇所などの部分的補修や改修を行ってはいるものの、十分かつ安全な対策とまで到底思えない状況でございます。阿武隈川治水の抜本的対策として、洪水時に排水できる水路をぜひ丸森町小斎地区の地点より真っすぐ東へ分水延伸させ、山元町坂元川に接続し排水することによって、歴史的に繰り返された大水害から阿武隈川下流地域の住民の生命と財産を守ることができるのであります。 ことしもまた、台風や集中豪雨の季節が近づいてきました。一日も早い阿武隈下流の治水対策計画立案と実現をお願いをするものでございますが、知事の御答弁をお願いするものでございます。 以上申し上げさしていただきましたけれども、議員各位の力強い御支援を心からこの際お願いを申し上げたいと存じます。非常に交通の便も悪い、角田、丸森地域をひとつお見捨てなく、福島県の角田、丸森ではございませんで、宮城県でございます。その点よろしくお願いを申し上げまして、一般質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(亀谷博昭君) 知事本間俊太郎君。    〔知事 本間俊太郎君登壇〕 ◎知事(本間俊太郎君) お答えいたします。 まず第一点の御質問の全都市住みよさ格付ですか、こういうものがございますが、この調査結果については、いろいろと指標項目の制約などがございまして、単に県内各都市の住みよさの一側面をあらわしたものと思います。住みよさというものをとらえる際には、本県の誇るべき豊かな自然でありますとか、あるいは伝統、文化、生活圏の拡大に伴う市町村を越えた広域的な視点についても考慮されるべきものと思っております。 本県といたしましては、策定中の県総合計画におきまして、二十一世紀初頭における県民の暮らしの姿を、時間、空間、経済、安心、安全の五つの側面から示しているとおり、県民一人一人が真の豊かさを実感できる地域社会の実現に取り組んでまいることといたしております。この実現のため、引き続き県、市町村間における課題の共有と合意の形成を図りまして、お互いに役割も分担しながら、また連携をし合いながら、身近な地域づくり、市町村づくり、また広域市町村圏づくりを通しまして、県民総実践による住みよい県土づくりを進めてまいる所存でございます。 次に、救急問題でございますが、この前もお答え申し上げましたとおり、救急医療問題につきましては、大変重要な課題と認識をいたしております。 現況につきましては、制度的なものといたしまして、救急告示医療機関、初期救急医療としての休日・夜間急患センター及び在宅当番医制、また、二次救急医療としての病院群輪番制、三次救急医療としての救命救急センターがあります。こうした制度的なもののほかに、随時それぞれの医療機関において診療の時間外応需が行われております。こうしてこれまでも救急医療体制はいろんな面で取り組んでまいりました。しかし、佐藤議員のお話のとおり、本県の救急医療を含む医療機能というものはかなり高いものがございますが、やはりどうしても仙台市に集中しているということはそのとおりであろうかと思っております。 このため、県といたしましては、県の医師会と協力いたしまして、救急医療情報システムの見直しによる医療施設間の連携強化に努めておりますほか、高次救急医療に対応した初めて地方圏にもこうした施策を行っていこうじゃないかということで、古川救急医療センターに対する助成などを行ってまいっております。また、救急救命士の育成などを図っておるわけでございますが、熱意のある御要望もちょうだいいたしましたが、しっかり胸に受けとめさせていただきまして、今後予定しております救急医療の需要予測調査の結果を踏まえまして、お話のような救急処置センターを含めまして救急医療体制の整備充実について今後検討を進めさせてまいりたいと思います。 次に、阿武隈急行の問題でございますが、私も就任以来、この社長も兼務させていただいておりまして、何とか経営をよくしたいと努力をいたしておりますが、ことしあたりは比較的経営が改善されたのではないかと思っております。 そこで、これに関連するお尋ねでございますが、仙台空港への鉄軌道系アクセス整備についてでございますが、仙台空港が名実ともに東北、東日本における拠点空港としてその先導的役割を果たすためには、仙台市──交通の結節点でございますから、この中心部から空港まで到達するためにどれだけ早く、また、きちっとした安定した時間内で到着できるかということが非常に大事な問題でございます。また、北関東、東北各県からの新幹線利用ということもありますから、広域的な視点から見ましても、空港を利用する方々にできるだけ便利にしていくということが必要でございまして、仙台空港鉄軌道系のアクセス整備検討委員会を設置いたしまして、この鉄道問題の可能性についていろいろ検討を重ねてまいりました。本年四月には、同委員会から、最も合理的な、投資額の面で見ましても、効果的な面で見ましても一番最適なものはどういうことかということで基本方針がようやく出たわけでございます。それは、最も現実的と考えられるJR東北本線からの分岐案について、館腰駅からとか名取駅からとか、いろいろ方法がございますけれども、今後もちろんもっと詳しく検討してまいるために、一応の方針が示されたわけでございます。県としましては、この委員会から示された基本方針やこれまでの検討経過を踏まえまして引き続き関連諸調査を実施し、JR本社なり運輸省なりあるいは建設省なり関係機関などの協力を得ながら、早期の事業化に向けて努力してまいりたい、このような考え方でおるわけでございます。 なお、佐藤議員からの御提言は非常に壮大な構想でございますが、単なる仙台空港への折り返し鉄道ではなくて、仙台駅から空港経由で福島駅間までの鉄道として建設してはどうかという御提案でございますが、大変評価はできると思いますけれども、名取駅から仙台空港までの路線であっても、相当長期を見ないと採算性が得られない。十五年とか二十年とかいうものでございます。それに加えて、大きな構想でございますと、ルートとしては大変ユニークでございますけれども、やはり膨大な建設資金が必要ではないかとも思われます。そして同時に、それに見合う果たして十分な需要が確保できるかという採算面から見ますと、なかなか難しい点があるのではないかと思いますので、とりあえず今取り組んでおります課題をまず解決して、その後に将来において検討させていただくべき問題ではないかと、このように思いますので、御理解いただきたいと思います。 次に、阿武隈急行線の乗車率の向上を図るには、会社自身の経営努力はもとより、沿線市町の阿武隈急行線と連携した地域開発や観光施設などの整備などが重要であるということはお話のとおりでございまして、これまでも沿線観光施設の整備、駅駐車場、駐輪場の整備、記念乗車券の発行あるいは企画を組んだ列車の運行など、いろいろと努力してまいっておりますけれども、一定の定着は見てきておりますけれども、なかなかこの効果が上がらない、これが大きな悩みでございます。ですから、県といたしましても、今後乗車率向上のための施策が一層強化されるように、あるいは仙南免許センターの問題の御提言もございましたが、今後角田市などにふさわしい政策はどういうことか、市などともよく協議して我々も考えていかなきゃいけないと思いますし、また、住宅政策などでも鉄道会社などでも取り組む考えもあるわけでございます。したがって、福島県などとも協力しながら、いろいろな総合的な面で支援していかなければならない、このように思っております。 次に、阿武隈川の治水対策でございますが、本県を流れる二大河川の一つであります阿武隈川は、明治から戦後にかけてたびたび大洪水を起こし、流域住民のとうとい人命を奪い、財産に多大の被害をもたらしているということはそのとおりでございまして、こうした大きな歴史を持っておるわけでございますが、したがって、国管理の河川といたしまして、昭和三十五年から始まりました八次にわたる治水事業五箇年計画に基づいて改修の促進を図ってまいっておりまして、現在その安全度はかなりレベルアップしている、向上してきたのではないかとも思われるわけでございますが、御提案の放水路につきましては、独創的な案とは存じますが、阿武隈川下流部の治水対策については、現在流域全体に及ぶ総合的な調査検討により策定されました阿武隈川工事実施基本計画に基づきまして、百五十年に一度の大洪水に対処することを基本といたしまして、当面戦後最大の洪水に対処するということを目標にいたしまして、現在国の直轄事業として治水安全度の更なる向上を目指しまして、ダムによる洪水調節を含め各種工事が進められております。したがって、現在の計画でまず事業の促進を図っていくということが当面している課題ではないかと思っております。 なお、阿武隈川下流域は、土地利用の高度化が図られつつありまして、住宅、工場などが進出してまいっておりますから、今後とも改修促進につきましては、国に強く働きかけてまいる所存であります。 ○議長(亀谷博昭君) 警察本部長増田生成君。    〔警察本部長 増田生成君登壇〕 ◎警察本部長(増田生成君) 警察から、仮称でございますが、仙南免許センターの建設計画についてお答えをいたしたいと思います。 仙南免許センターは、大河原、白石、角田、亘理の四警察署管内の二市九町を対象といたしまして、地域の方々の利便を図るとともに、交通安全教育を推進するために、県免許センター、古川免許センター及び石巻免許センターに次いで第四番目として建設することを考えております。 同センターの建設予定地につきましては、この地域の方々の利便性や免許人口等を総合的に判断をいたしまして、国道四号線に近接をしております大河原地区を有力な候補地に選定をいたして諸準備を進めておるところでございまして、御理解を賜りたいと思います。 なお、質問にございました阿武隈急行線の乗車率の向上につきましては、ただいま知事から答弁のございました施策にお願いをいたしたいというふうに思っております。 ○議長(亀谷博昭君) あらかじめ会議時間を延長しておきます。 十五番。 ◆十五番(佐藤勝彦君) 自席から再質問を申し上げます。 今知事から答弁をいただきましたが、大変御配慮いただいておられるような感じは受けるんです。しかし、何一つこれ満足感を味わったような答弁ではございません。きょうは時間の関係もありますので、追ってまた、知事とよく相談をさせていただきたいと思います。 それから、本部長の簡単明瞭な答弁ではありますけれども、今後仙南地区におきまして、やはり白石、角田、柴田地区と、この三地域をそれぞれ切磋琢磨して、そして三つの地点でもって圏域を伸ばしていくということを考えていただかないと、柴田だけをあくまでも伸ばすようなことであれば、これは均衡のとれた県土づくりとはこれは絶対言えないじゃないかと思います。すべての面で、医療の面でもそうです。したがって、十分配慮した考えを今後入れていただきまして推進なさるように、ひとつこの際ですからお願いしておきたいと思います。時間の関係できょうは終わります。ありがとうございました。 ○議長(亀谷博昭君) 残余の質疑、質問は、明日に継続することにいたします。   ───────────────────────────────── △議員の辞職許可 △あいさつ ○議長(亀谷博昭君) 日程第四、議員の辞職許可についてを議題といたします。 鈴木昇君から、一身上の都合により本日をもって議員を辞職いたしたい旨の願い出がありました。 お諮りいたします。 鈴木昇君の議員の辞職を許可することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(亀谷博昭君) 御異議なしと認めます。よって、同君の議員辞職を許可することに決定いたしました。 鈴木昇君からごあいさつがあります。    〔番外 鈴木昇君登壇〕 ◎番外(鈴木昇君) 発言の機会をお与えいただきまして、心から感謝を申し上げます。 今政治改革をめぐり、日本の政界は大きく揺れておりますが、私は、これまでの政治経歴の中で、政治のあり方について抱いていた信念に基づき、やはりこれは断行しなければならぬと考えている一人でございます。 顧みますと、先輩、同僚各位の御指導と御交流の中で、私はいろいろ勉強させていただき、また、知事初め行政当局の皆様方にも多大なる恩恵をいただき、三期にわたる県議会議員の職責を全うすることができましたことにただただ感謝いたし、深甚なる御礼を申し述べる次第でございます。 これから厳しい選挙戦に入るわけでございますが、新しい日本の政治をつくり出すという大きな目標に向かって努力を続けてまいる所存であります。 各位の御健勝とともに、あすの宮城県政の更なる発展を心から祈念し、私の県議会議員辞職のあいさつといたします。本当に皆さんありがとうございました。(拍手)   ───────────────────────────────── △散会 ○議長(亀谷博昭君) 以上をもって、本日の日程は、全部終了いたしました。 明日の議事日程は、追って配布いたします。 本日は、これをもって散会いたします。    午後四時五十七分 散会...